↓ AFP(2015.9.9) より
仏研究チームは、ロシア・シベリア(Siberia)の永久凍土で採取された
3万年前の巨大ウイルスを蘇生させる計画を発表した。
気候変動が原因で、危険な微小病原体が目を覚ます可能性があると
同チームは警鐘を鳴らしている。
米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of
Sciences、PNAS)に今週、掲載された研究論文で、研究チームはこの
巨大ウイルス「Mollivirus sibericum」の発見を発表した。
2003年以降に発見された先史時代のウイルスとしては4種類目で、
同チームによる発見はこれで2個目となる。
↓ Mollivirus sibericum の細胞
研究チームはウイルスを蘇生させる際、動物や人間に病気を引き起こ
す可能性がないことを事前に検証する必要がある。
ウイルスが「巨大」とみなされるには、全長が0.5ミクロン(1ミクロンは
1000分の1ミリ)を上回るものでなければならない。
「シベリア由来の柔らかいウイルス」という意味の名前のMollivirus
sibericumは、ロシア北東部の永久凍土層で発見され、0.6ミクロンで
巨大ウイルスの仲間入りをした。
■無防備な産業化で天然痘復活も
北極と亜北極の地域では、気候変動によって世界平均の2倍以上の
ペースで温暖化が進行している。
これは、永久凍土層がもはや「永久」ではなくなっていることを意味
する。
今回の研究を率いた研究者の1人、ジャンミシェル・クラベリ(Jean-
Michel Claverie)氏は、AFPの取材に「潜在的な病原性ウイルスを
復活させるには、感染しやすい宿主が存在する下で、感染力を依然
として持つウイルス粒子が数個あれば十分かもしれない」と語った。
これらの巨大ウイルスが発見された地域では、鉱物資源、特に石油の
乱開発が進められており、氷の融解が進行するにつれて、産業開発
がますます盛んになることが見込まれる。
「これらの地域で無防備に、感染予防策を講じずに産業化を進めると、
根絶したと考えられている天然痘などのウイルスを目覚めさせる事態
を招くリスクを負うことになる」とクラベリ氏は続けた。
クラベリ氏と研究チームは、安全な実験室条件の下で、宿主となる
単細胞アメーバと同じ環境に置くことで、新発見のウイルスの蘇生を
試みる予定だ。
↓ CNN より Pithovirus sibericum 二本鎖DNAウイルスである
ピソウイルスで、1属1種。
フランス国立科学研究センター(National Centre for Scientific
Research、CNRS)で研究室を運営するクラベリ氏と研究チームは
2013年、今回と同じ場所でPithovirus sibericumと呼ばれる別種の
巨大ウイルスを発見し、シャーレ内で蘇生させることに成功している。
これらのウイルスは、永久凍土を掘削して取り出した3万年前の
氷床コアから採取されました。
だからといって、いつ未知のウイルスが現代に甦らないとも限りま
せん。
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