何となく恒例になってきた感の干支にまつわる話ですが、今年は未(ヒツジ)
ですね
妖怪で羊関連というのは、思い浮かびません
古くから身近、という動物ではないので致し方無いですね
なので海外も視野に入れるのですが、すぐに思い至るのは、
スキタイの羊
です。
スキタイの羊
・・・別名:バロメッツ(Barometz)、韃靼(だったん)人の羊、タタール人の植物
子羊、プランタ・タルタリカ・バロメッツ(Planta Tartarica Barometz)
「羊の生る植物」という共通項を持ち、様々なタイプが描かれる、
伝説の植物。
一例として、「放射状の葉の中心から伸びた茎の先に、生きた羊が生り、
周囲の草を食べてしまう。草が枯れると羊も死ぬ。」
また、その毛は黄金色で、切れば血の様な汁を流す、とも。
これは博物学的な誤謬から生まれたもので、木綿の存在を伝え聞いた
中世ヨーロッパ人が思い描いたものなのです。
中には、シダ植物と結び付いたタイプも有ります。
恐らく、毛に覆われていたり、ゼンマイの様な渦巻き状の形が羊の角を
思わせたのでしょう。
南方熊楠も、「韃靼の植物羊」として、『十二支考』 で言及しています。
↓ 不詳。フランスの版画(1728年) 丁度、茎がへその緒の様に・・・
↓ ハルトマン・シェーデル(Hartmann Schedel:1440~1514年)・著、
『Liber Chronicarum(通称:ニュルンベルク年代記)』(1493年) より
↓ フリードリッヒ・ヨハン・ユスティン・ベルトゥッヒ(Friedrich Johann Justin
Bertuch:1747~1822年)・著 『子供達の絵本』 より
これはシダ類の根塊を上下逆に置いたものですね。赤いのは根、脚に
見えるのは茎です。
↓ 『Svenska Familj-Journalen vol.18』(1879年) より
これもシダ植物由来のイメージですね
↓ ジョン・マンデヴィル(John Mandeville)・著、『東方旅行記(The Travels of
Sir John Mandeville)』(1357年頃) より
世界各地への旅行記という触れ込みで出版され、コロンブスをはじめ多く
の探検家に影響を及ぼしたものの、この一葉を見ても分かるように、
およそ現実離れした内容の為、その後、評価されなくなりました。
今ではジョン・マンデヴィルの実在自体、疑われています。
左下に、莢から生まれるタイプのスキタイの羊が描かれています。
こうした情報は、現代では用をなさないのかもしれませんが、面白いですね~
(^ω^)
それに、伝聞からあらぬ情報が構築されるのは、現代でも同じですしね
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