↓ ナショナルジオグラフィック公式日本語サイト より
ロシアの東シベリアで地表付近の永久凍土が融解し、過剰な土壌中の水分に
よってカラマツ林の枯死が進んでいることが、海洋研究開発機構地球環境変動
領域の飯島慈裕・主任研究員らと名古屋大学、ロシア科学アカデミーなどの
共同チームの研究で分かった。
大規模な森林の変化は、東シベリアにおける大気と陸の間の熱や水蒸気のやり
取りも変化させ、日本を含む北東アジアの気候に影響する可能性があるという。
↓ Wikipedia より(以下2点) 北半球での凍土の分布。
紫:永久凍土,青:季節的凍土(土壌の凍結が年間15日以上の地域),
ピンク:季節的凍土(土壌の凍結が年間15日以下の地域),黒線:積雪地域
南限(平均)
研究チームは1998年から東シベリアのヤクーツクで、気温や降水量、地温、土壌
水分などの総合的な観測を行っている。
その結果、2004年以降に冬の積雪量と夏の降雨量が共に増加する年が3年間
続いたことで、地表付近の永久凍土の融解が進み、表層土壌の水分が過剰な
状態となっていること、森林の枯死も07年から顕著になっていることが分かった。
森林が枯死している場所は、調査指標とした50メートル四方のカラマツ林のうち
でも、永久凍土が周囲よりも深く融け、地下水が集まりやすくなっていた。
2006~11年の間に約15%のカラマツが枯れ、生き残っている樹木の蒸散能力も
かなり低下していた。
根の生育環境が悪化したことで、枯死が進行していると考えられるという。
↓ ポリゴンと呼ばれる凍土が解けた水溜り
こうした現象は、地球温暖化の影響による「水循環の変化」が、東シベリアでの
降雪量・降雨量を増加させ、陸上植物に現れたものと考えられる。
永久凍土の融解は、森林の衰退による炭素の収支にも変化をもたらし、永久凍土
地域からの二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの放出にも影響を与えること
から、今後も北極域の変化に注視していく必要があるという。
永久凍土には、(海底に比べれば少量とはいえ)メタンハイドレートが含まれて
いるので、高圧低温の条件が崩れ、これが融解気化するとメタンが発生します。
すると更に温暖化が加速します。
また、カラマツ林の消失も、水の循環に変化が起こるでしょう。
広さが広さですから、地球規模の影響が出てくる(もう出ている?)のかもしれ
ません・・・
参考記事:「3万年越しの開花―ロシア」
「永久凍土のバクテリアに老化を遅らせる効果―ロシア」
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