オーバーマントルミラー(Overmantle Mirror)とは
オーバーマントルミラー(Overmantle Mirror)とは、
マントルピース(暖炉)の上のスペースに設置される鏡のこと。
ここで少し暖炉の歴史をみてみましょう。
暖炉の歴史は人間の文化的生活の歴史そのもの。
ローマ人はかつて暖炉を focus(焦点)と呼んでいました。
それは家族生活の中で皆が集まる場所という意味であり、
暖かい火の周りで生活することは必要不可欠であったのです。
英国では19世紀前半くらいまで、労働者階級の人々は
リビングルームの大きな暖炉の前ですべての生活をこなしていました。
暖をとり、料理をし、洗濯物を乾かし、時にはバスタブを運んできて
暖炉の前に置き、暖炉で沸かした湯をためてそこでお風呂にはいる。
そのための暖炉は、美しさというよりは本当に実用的で大きく、
上のスペースに何か飾るどころではありませんでした。
室内装飾として飾る余裕のある暖炉をもっていたのは、
使用人を雇う余裕のある中流階級以上。
彼らは暖炉の周りを木や石、タイルなどで囲み、装飾的な枠をつくりました。
それがマントルピースです。
人が暮らす室内には必ずあった暖炉(マントルピース)は、
インテリアの重要な要素となり、
上に飾る棚をオーバーマントルシェルフ(Over Mantelshelf)、
鏡をオーバーマントルミラー(Over Mantlemirror)と呼びました。
近代に入りヨーロッパではセントラルヒーティングが普及しましたが、
まだまだ象徴としての暖炉は根強い人気があります。
オーバーマントルミラーは、マントルピースの上に置かれたときに
美しく見えるフォルムをしています。
日本のお宅にはマントルピースは少ないですが、キャビネットやブックケースなど
腰高の家具と合わせればとても絵になる空間が完成。
長い歴史をもつ、ヨーロッパアンティークならではのアイテムを
貴方らしくアレンジして、お部屋に取り入れてみてはいかがでしょうか。
by N