MONSTER1200とDIAVELの日本仕様の違い | PADDOCK×ドカログ

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静岡の真ん中、焼津市のパドックでイタリアのDUCATIを販売しています株式会社モト・グラッツェです!

こんにちは、先週はドゥカティファイナンシャルサービスデビューフェアに
ご来店頂きましてありがとう御座いました
早速899panigaleやMULTISTRADA1200Sなど
1.99%特別低金利のシュミレーションを取られた方が多く

初めて取り扱う私たちの予想よりも据置設定型のローンは
認知されているんだなぁと改めて感じた週末でした。
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さて、モーターサイクルショーでNew DIAVEL&MONSTER1200を
実際にご覧になられたお客様も多かったですが質問で伺ったのが

「同じエンジンを積んでいるのに何でDIAVELよりもMONSTER1200の方が
日本仕様の車両でパワーが上回っているんですか?」


「音量の規制はマフラーを延長するなどの加工だけでなく
なんで出力もパニガーレやディアベルは50~60馬力も下がってしまうんですか?」


おー、結構鋭い所をついて来ましたね
この日本仕様の馬力設定と言うのを一般の方は良く知られていないと思いますので
少し真面目に今回は語ってみようかと思います。

皆様なぜ日本仕様のパワーがイタリア本国仕様より下がっているのか?
日本の厳しい音量規制をクリアする為になぜサイレンサーだけでなくて
パワーもかなり下がってしまうのか?

普段接客をしている中で割と多く聞かれる質問ですので
この機会にご説明してみようと思います。

はい、と言う訳で今回のBlogは久々のかなり長文になりますので
適度に休憩を取りながら読んでみて下さいね。




取り敢えず議題となっている2台の数値を比較してみましょう
最初に2台とも搭載するエンジンは水冷1200ccテスタストレッタ11ディグリーDSエンジン



New DIAVELの日本仕様の馬力は112hp


対してMONSTER1200の日本仕様の馬力は126hp

同じエンジンですが14hpも差がありますね。
先に発表されたMONSTER1200は126hpなのに
新しく発表されたNew DIAVELは現行モデルと同じ112hpのままなのはなぜなんでしょう?

答えの鍵は2つあり
1つはそれぞれのイタリア本国仕様でのスペック
1つは日本独自の騒音規制
この2つが両者のパワー差が出る結果となります。

まずは最初のイタリア本国仕様のそれぞれのスペックを見てみましょう。

DIVAELのイタリア本国仕様のスペックは

162hp/9500rpm

MONSTER1200はSTDとSで出力に違いが有りますが日本仕様では同じですので
ここはSTDで話を進めて行きます。

135hp/8750rpm

おや?イタリア本国では日本とは逆に
同じエンジンなのにDIAVELの方がパワーが有りますね
それも27hp差と日本仕様よりも大きなパワー差となっています。

つまり当初のご質問
「同じエンジンを積んでいるのに何でDIAVELよりもMONSTER1200の方が
日本仕様の車両でパワーが上回っているんですか?」


上記のご回答は結論から言うと
「イタリア本国ではDIAVELの方が同じエンジンでパワーが出ているから」
これが正解となります。

「ちょっと待って、言ってる事が全然分からないよ」???( ̄_ ̄ i)???

と思った方、確かにこれでは良く意味が分かりません

そこでもう1つの日本独自の騒音規制
これが加わる事でDUCATIの日本仕様のスペックが決定されます


改めて日本仕様のスペックを見比べてみましょう。

DIAVELの日本仕様のスペックは

112hp/6500rpm

MONSTER1200の日本仕様のスペックは

126hp/7250rpm

ここで注目となるのはエンジンの最高出力回転数

文字通りそのエンジンスペックで最大の出力が出る回転域が
最高出力回転数となります

日本国内で車両を新規登録する際の排ガス規制や加速騒音規制など
様々な項目が有りますが全てを説明すると更に長~くなりますので省略

新規登録の陸運局持ち込み検査の項目の1つに音量測定と言うものが御座います



サイレンサー出口斜め45度から50cm離れた所に測定用マイクを設置し
書類に記載されている最高出力回転数の半分の数値までエンジンを回した時に
94db以下でなければ規程オーバーとなりその車両は日本ではナンバー習得が出来ません。



2年前の夏、突如発表されそれはそれはもう大きな話題となりました
1199panigale 日本仕様
イタリア本国仕様は195hp/10750rpm
日本仕様のスペックは135hp/8000rpm



PADDOCKは店頭で継続車検を受ける事が出来る指定工場(民間車検工場)を設備しているため
陸運局と同じ音量測定を行なえる設備が備わっています。

日本で1199panigaleイタリア本国仕様を登録しようと陸運局に持ち込んでも
測定ラインの195hp/10750rpmの半分の回転数5375rpm時での音量は
105db~107db近辺まで上がると思います。
数値を見れば当然ですがナンバーを習得する事は出来なく、公道を走行する事は出来ません。
これはパニガーレが軽量を求める結果アンダーサイレンサーとなり
音量測定時にはサイレンサーからの音と一緒にエンジンノイズも拾ってしまうため
先代モデルの1198の様なセンターアップマフラーよりも
更に数値が上がってしまう事になるからです。



ここまでを説明して最後の説明となりますが
下側の数値が回転数、右側の数値が出力数となる性能曲線で見ると
出力と言うのはエンジンの回転の上昇に比例してパワーが上昇して行きます
しかし回せば回す程パワーは際限なく上がると言う訳でもなく排気量や仕様にもよりますが
最大値を過ぎると後はそれ以上回してもパワーは上がりません。
これ以上上がらない出力の最大値から真下に下がった数字が先ほどの最高出力回転数になります。




仮に1199panigaleでイタリア本国仕様のままでナンバーを習得しようとした場合
最高出力回転数を5100rpmまで下げた状態で先ほど説明の
サイレンサー出口斜め45度から50cm離れた所に測定用マイクを設置し
最高出力回転数の半分2550rpm数値でようやく94db以下となります。
参考までにイタリア本国仕様のまま日本仕様の同音量計測条件の4000rpm時では
100db位の音量となり、やはり日本ではナンバーが取れません

世界最高峰の性能のLツインエンジンを積む1199panigaleが日本の公道では
70hpしか引き出して走る事が出来ないのは。。。。。。。ですよね。


そこで日本の規制に適合させながら出力を可能な限りあげるにはどうすれば良いかと言うと


測定部分となるエンジン出口を出来る限りエンジンから遠ざけると言う方法となります。
このようにして日本の厳しい騒音規制に適合させながらも出来る限り最高の出力を出したのが
日本仕様のサードマフラーを装着した1199panigale日本仕様となる訳です。
この状態であれば性能曲線黄色の日本仕様数値
135hp/8000rpmの半分の回転数4000rpm時に測定した時は94dbをクリア出来
日本でナンバーを習得し公道を堂々と楽しむ事が出来る様になったと言う訳です。




同手法はDUCATIだけでは無く最新モデルとなりアンダータイプショートサイレンサーを
装着する事となったModelを持つMV AGUSTAやトライアンフのモデルにも存在します。


それでは最後の纏めに入りましょう。



Q:「同じエンジンを積んでいるのに何でDIAVELよりもMONSTER1200の方が
日本仕様の車両でパワーが上回っているんですか?」



A:「イタリア本国ではDIAVELの方が同じエンジンでパワーが出ているから」

改めて2車両のイタリア本国仕様と日本仕様の性能曲線を見てみましょう。


こちらがNew DIAVEL


こちらがMONSTER1200

これまでのご説明を読まれた方でしたらもう理解出来ると思います。
エンジンは同じですがサイレンサーの形状の違いや
爆発的な加速を楽しむ為にパワーをあげているDIAVELと
扱い易いオールラウンダーにパフォーマンスに振っていると見られるMONSTER1200と
味付けに違いがあり本国仕様では高出力のDIAVELの方が日本仕様では
騒音規制に適合する為に出力が大きく下がり
イタリア本国仕様ではDIAVELよりも出力の低いMONSTER1200では
日本仕様はDAIVELの時よりも下げ幅が低くなり結果として日本仕様のDIAVELよりも
日本仕様のMONSTER1200は高出力となるのです。
(145hpのMONSTER1200SがSTDと同じ126hpなのは日本で94dbをクリア出来る
回転数がSTDとSでは同じ回転数となる為、同じ126hpとなります。)

そして排気量が小さい=最大出力も少ないミドルクラスの車両などは
パワーの出ているSBK(899panigale)を除けばイタリア本国仕様のまま
日本では登録も出来ると言う訳となります。

各メーカーが最高のパフォーマンスを設計して出来たNew Modelを
そのままの状態で乗れないのも歯がゆいかもしれませんが
その中でも最小限のパフォーマンス低下で抑えて日本で各車両が乗れる様になっているのも
日本での法人のDUCATI Japanが頑張ってくれているからだと思います。

実際にイタリア本社とDUCATI Japanが頑張ってくれなければ
1199panigaleはマフラーの形状云々と言う話の前に日本では導入見送りになっていましたから。

そしてもう1つ
性能曲線のパワーカーブの下側に薄く引いてあるラインがトルクカーブとなります。
グラフを見てもらうと分かりますがトルクに関しましては本国仕様も日本仕様も
さほど大きな差が無いんです。

なので一般公道を走る際の出足の力強さ=トルクは
とても力強く感じることが出来るんですね。

最近では音量規制が定められているサーキットも多く存在し
公道はもちろんの事、サーキットでも適切なサイレンサーを装着してなければ
走れない環境が多くなって来ています。

私も今年で36歳になるすっかりおじさんの年になり
逆輸入やフルパワー車蔓延のど真ん中世代ですが
時代で変化して行く日本&世界のそれぞれの規制に適合されている
今の車両をまずノーマルで乗り込んでみて下さい。

ちょっと昔の闇雲にパワーを押さえ付けられていた頃と比べると
今の日本仕様の車両はとても楽しく乗る事の出来る車両に仕上っています。

とっても長~い今回の記事となりましたが
日本仕様の変更の仕組みや日本の法規など
今回の話を思い出しながら
各メーカーカタログのスペックを見てみると面白いと思いますよ。

PADDOCK
DUCATI Sales:tara