あしながおじさんの元ネタ? | こんにちは、アン VS 赤毛のまぐS/Nねっと

あしながおじさんの元ネタ?

あしながおじさん (新潮文庫)/ジーン ウェブスター
¥420
Amazon.co.jp

『あしながおじさん』とは?


孤児院で育った少女ジュディが一人の資産家の目にとまり、毎月手紙を書くことを条件に大学進学のための奨学金を受ける物語であり、ジュディが援助者を「あしながおじさん」と呼び、日々の生活をつづった手紙自体が本作品の内容となっている。手紙中、ジュディ自身が書いたという設定で挿まれる絵もウェブスターの手による(wikipedia)。物語の最期で、援助者である「あしながおじさん」と被援助者ジュディは結ばれる。


今回、注目すべき本作品のキーワードは以下の三点である。


1.正体を隠した謎の援助者

2.被援助者は孤児の主人公

3.主人公と援助者が結ばれる





これらの設定が酷似している作品が、

ディケンズの『大いなる遺産』である。



大いなる遺産 (SHYノベルス)/剛 しいら
¥903
Amazon.co.jp
ピップは墓地で脱走した囚人に出会う。彼に頼まれ、食料とヤスリを家から持ち出し彼に与える。また、もう一人別の囚人を見かけたことを彼に教える。その囚人は結局、再び捕まった。

ピップはミス・ハヴィシャムの館に定期的に招かれるようになり、彼女の養女で冷徹な美少女・エステラに焦がれるようになる。義兄ジョーの弟子となった後、さる人物から巨額の遺産(Great Expectations)がもたらされることが判明し、紳士修行のためロンドンへ向かう。ピップは遺産がミス・ハヴィシャムによるものと信じ、エステラの結婚相手として自分を紳士にさせるのではないかと期待するが……(wikipedia)。

主人公ピップは、巨額の遺産がもたらされることになっているが、遺産をもたらす人物は、正体を隠した謎の援助者である。その正体は、かつてピップが助けた囚人マグウィッチであることが明らかになる。ピップは幼いころに両親を亡くしており、姉も物語の中盤で亡くなるので、マグウィッチの被援助者は孤児の主人公である。物語の後半になるまで、援助者がマグウィッチであることは伏せられている。主人公ピップは援助者のお金で親友ハーバートに援助してしまう。ピップはマグウィッチが、あこがれの女性エステラの父であることをつきとめ、未亡人となったエステラの前にあらわれると、友人になる誓いをかわす。物語はここで終わっているが、いずれピップとエステラ――主人公と援助者(の娘)が結ばれるであろうことは想像に難くない。


1.正体を隠した謎の援助者
注:『あしながおじさん』では、謎の援助者の正体はジャーヴィス、被援助者はジュディであるが、『大いなる遺産』では、謎の援助者の正体はマグウィッチ、被援助者はピップであり、また、同時に、謎の援助者の正体はピップであり、被援助者はハーバートであり、さらに、謎の援助者の正体はジョウであり、被援助者はピップである。このように、本書は、謎の援助者と被援助者という構造が三組存在している。

2.被援助者は孤児の主人公
注:ピップの両親は物語スタート時点で他界している。また、物語序盤、ピップには姉ジョージアナがいるが、中盤でオーリックに殺されてしまう。

3.主人公と援助者が結ばれる
注:『あしながおじさん』では、援助者と被援助者が結ばれる。しかし、『大いなる遺産』では、援助者の娘と被援助者が結ばれるであろうという展望を残して幕が下ろされている。ちなみに、この援助者の娘エステラもまた、主人公ピップ同様、孤児である。マグウィッチはたびたびピップを「息子」と呼んでいるが、ピップとエステラが結婚することによって、確かにピップはマグウィッチの「本当の息子」になる。


【結論】


『あしながおじさん』のルーツは、
『大いなる遺産』だった!(?)