・西穂高、ジャンダルム、奥穂高 縦走
【2016.06.18(土)-19(日)】
この週末は久しぶりに未踏の百名山にチャレンジすることに。
前週、チビさんと山をご一緒させていただいた際、
次の週末に西穂から奥穂へ縦走するという話を聞いた。
奥穂高、この名に食指が動いた。
私はこれまでに92座の百名山を制してきたが
奥穂高は未踏なのだ。
奥穂を取れば
本州以南の百名山は全て制覇したことになる。
(残りの7座は全て北海道)
ということで、
チビさんにお願いし縦走をご一緒させていただくことに。
とまあ、軽い気持ちで同行をお願いしたのだが
西穂~奥穂の縦走路は言わずと知れた難ルート。
お楽しみ気分で挑むルートではない。
今回の縦走成功のカギとなるのは走破スピード。
朝一番の新穂高ロープウェイが山頂駅に着くのが9時。
それからスタートして西穂、ジャンダルム、奥穂を越えて
穂高岳山荘まではCT11時間30分。
CT通りに歩いていたら
山荘に到着するのは20時半になってしまうのだ。
日が長いこの時期とはいえ
遅くとも18時までには山荘に到着したいところ。
それにはCTを2時間半以上縮めなければならない。
過去にこのコースを二度縦走しているチビさんによると
山頂駅から西穂までで如何にタイムを縮められるかがポイントになるとのこと。
西穂までCT4時間半のところを3時間で行くというのだ。
9時にスタートして12時までに西穂にたどりつけなければ
その先へは進まず引き返すという条件付きの山行となった。
久しぶりにシビれる山行にワクワクした。
「やったる!」感がもりもりと湧き上がるチャレンジ山行。
ということで土曜の朝、新穂高の駐車場に車を停め、ロープウェイで山頂まで上がり
気合を入れて9時15分にスタートを切った。
樹林帯の坂を駆け上がった。
そう、まさに駈け上がりなのだ。
先頭を行くチビさんはかなりのハイペース。
トレラントの如く山を駆け上がり
45分で西穂山荘に到着。
CTの半分の時間で歩いたことになる。
こんなスピードでこの先8時間以上歩けるのだろうか、って
歩けるわけないのだが、
とにかく西穂までチビさんのあとを追うしかない。
チビさんもかなり本気モード。
いつもは道中やかましいほど喋りまくるのだが、
今日は登攀に集中している。
ついてらっしゃい!
独標に着いたところでヘルメットを装着。
今日は12kgの荷を背負っている。
ハードなコースなので出来るだけ荷を軽くしたかったのだが
ピッケル、12本アイゼン、
それにアイゼンを装着出来る冬靴を背負っているので荷が重い。
稜線上に雪はないのだが、
奥穂高からの下山ルートには雪が残っているとのことで
下山のためにピッケル、アイゼンは必携との小屋情報。
最高の天気のもと、
軽快に岩の稜線を越えていく。
西には笠ヶ岳、
東側の足元には上高地が見渡せる。
ちなみに私、登山を始めて7年になるが
いまだ上高地へ行った事がない。
上高地の地を踏むことなく
北アの百名山を全て制覇することになる。
12時に西穂高山頂に到着。
ここまで2時間45分。
リミット3時間の足切りにならずに済んだ。
とりあえずこの先の縦走チャレンジ権を獲得。
チビさんのスピードは本当に凄い。
と、感心しているところにチビさんの一言
「ここがスタート地点だからね」
西穂高-奥穂高の縦走はここからが本番らしい。
タフなコースだ。
チビさん、西穂高は今年すでに3回目だそうで・・・
メットをひた叩きし気合を入れて再スタート。
この先はほとんど人がいない静かな山行となった。
岩壁を登っては下りの繰り返し。
ノってきた。
面白くてたまらない。
右へ左へ、上へ下へ、スリルある登攀が続く。
赤岩、間の岳、天狗の頭のピークを軽快に越えていく。
痺れる岩登りが延々と続いた。
楽しくてたまらない。
先頭を行くのは私。
時折背後から
「ルートそっちじゃないし...」
とチビさんからダメ出しを喰らいながらの登攀。
そうして
いよいよジャンダルムが目の前に迫ってきた。
なるほど、迫力ある素晴らしい岩峰だ。
一旦コルまで下ってからの登り返し。
標高差にして400mはあろうか。
スタートしてから既に6時間以上が経過しており
疲れが出始め足取りが重い。
これだけ厳しい岩場が続くと集中力も途切れる。
ウリゃ~っと声を出しながら急峻な岩を登る。
息も絶え絶え、
喘ぎながら手足を使っての登板が続く。
しばらくすると上空がパッと広がり
天使が現れた。
ジャンダルム制覇!
チビさんとハイタッチ。
時刻は15時45分。
時間的には余裕があるのでのんびりと達成感に浸る。
そこでチビさんからまた一言。
「この先が核心部だから」
あらま~
本当にタフなコースだこと・・・
目指す奥穂は目の前。
だが、その手前は急峻な岩壁だ。
この縦走路上で最もスリルがあるという
馬の背が現れた。
なるほど、
左右がスッパリと切れ落ちていて高度感は抜群。
誰もいない貸切の山頂で
西穂~奥穂縦走を成し遂げた達成感を味わう。
槍の穂先あたりにロイさんいないかな?
ここまでサポートしてくれたチビさんに感謝!
30分ほど山頂を楽しんだあと
山荘へ向かって山を降りた。
予定通り18時前に小屋にたどり着いた。
部屋で一休みした後、夕飯をいただく。
その後は極度の疲労ため、
あっさりと眠りについた。
zzzz
翌朝は4時半に起床。
朝食をいただき
のんびりと小屋の朝を楽しむ。
7時に小屋を出発。
この時期、小屋は空いている。
今日は白出沢を下って新穂高に戻るのみ。
下るだけの楽な行程。
この白出沢に残る雪渓を下るためにピッケル、アイゼンを持ってきたのだが
雪解けが進み結局出番なし。
新穂高に戻っていく。
マシンガントークが始まった。
話題はもちろんロイさんネタ。
ロイさんのイカレた山行話で盛り上がっているうちに
あっという間に下山完了。
ってか、チビさんもかなりイカレてるけどね・・・
今回は久しぶりに岩場のシビれる山行となったが
最高の楽しみ、満足感を味わうことができた。
岩場やバリエーションルートの経験豊富なチビさんに案内していただき
安心して山行を楽しむことができた。
チビさんには本当に感謝。
パッと見は、よ~喋る近所のおばちゃんお姉さん的なキャラだけど、
実は北鎌尾根などのバリエーションルートをソロで軽くこなしてしまう
素晴らしい山屋であることを改めて認識。
またスリルある山行に連れてってとお願いし
今回の山旅を終えたのだった。
久しぶりにケツがジンジンする
楽しい縦走に大満足。
そんな
西穂高、ジャンダルム、奥穂高縦走のお話でした。
おしまい。
お次は
いずこの山へ・・・