エヴァ・ユッソン バハールの涙 | ブッチャー山のブログ

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昨今のカンヌ国際映画祭のクォリティーはー元々この手の映画祭、現在を判断する作業は困難なものだがーあまりに画一化の傾向が強くなった感があり、一頃より低下している印象は否めません。いや、底上げはなされていて、情報の拡散もありーインターネット社会の反映かー、下手な奴でもそこそこ撮れる時代になったようで、逆に、クォリティーの高い上の部類に、以前にも増して、下手な奴が上手に塗りたくったような作品が増加し、減点方式で減点が少ないものが上位に立つ傾向が、以前にも増して増加したようです。闇社会をリアルに描く、とか、埋もれた才能や国を発掘する傾向の中、映画本来の基本的な要素が忘れられ、画面に映される風俗が目新しく、上辺だけ新しいような(笑)テクニックが入った、困窮した人間ドラマがあれば結構入選していますが、明らかに一頃の、カウリスマキ、ヴェンダース、ジャームッシュ、アンゲロプロス、タルコフスキー、キアロスタミ、オリヴェラ、といった人達が、新しい顔として登場していた時期よりは明らかにクォリティーが落ちていて、国際映画祭のスターが不在の感も否めません。暇話終わり。そんな中、この作品は決して悪くはなく、ビグロー監督作品めいたところはありますが、雰囲気や緊張感はあり、国際映画祭向けの要素はしっかり入っていて、戦争の悲惨さはよく出ていて、アクションとしても悪くはないが、昨今の国際映画祭のような、ベルイマンではあるまいし(笑)、古風なメロドラマに終始していて残念であります。ですが、下手な作家性よりも、些か自爆してはいますが、ひたすら物語に謙虚に向かい合っている点は好感が持てます。まあ、ラストは弱すぎるかもしれませんが、女性監督としてはこうなるしかないのかもしれません