今日は中学受験に挑む保護者の方々へ記事を書きます。

まずは曲を聴いてください。
とは言っても、メロディーや歌詞に注目するのではなく、映像を観てほしいのです。
特に女子高生たちを。
たいへん感動的なシーン(卒業式の一場面)です。
「キャー!」「イエーィ!」とはしゃいでいた女子高生たちが、森山直太朗の曲が始まると一変します。
感動の顔に変わり、ハンカチで顔を押さえ出し、手を握り合う子どもたち…。
歌っている森山直太朗自身も途中で声を詰まらせてしまいます。
さぁ、ハンカチの準備はいいですか?
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どうでしたか?
宮城県立第三女子高等学校卒業式のサプライズのようです。
歌ってすごいですね。
大切なメッセージを心を込めて発信し、それをハートでキャッチする聴き手がいる。
“何か”が確実に伝わり、互いに自然に涙が出てしまう。
あそこにいる子どもたちが、どんな高校生活を過ごしてきたのか知る由もありません。
なのに、感動している我々がいます。
でも待ってください。
彼女たちは一体何に涙しているのでしょうか?
それは、「トモダチ」であり「ガッコウ」であり「センセイ」であると思うのです。

他にも幾つかの理由(部活・恋愛・頑張った自分自身など)があるでしょうが、頭の中心にあるのは様々な高校生活への思いでしょう。
あの瞬間、親を想って泣く子は例外です。

私は昨年、中3の子どもたちに相当入れ込みました。(小6も全力でしたが)
入れ込んだという表現よりは「生活の中心だった」という方が当てはまるくらいです。いったいどれくらいの授業延長と無料補習を行ったのでしょうか?正月特訓も中3レギュラー生を教えてあげたいだけの気持ちで自分から茗荷谷会場の数学に立候補。
12/30~1/3の5日間、西日暮里(NN開成)と茗荷谷の両方を行き来し、冬期・正月期間中の休日はゼロ!
自分の娘の入試には一切目もくれず、あの子たちのために動きまわりました。
2月4日早朝、ボロボロになりかけている娘の入試に私が付き添っていくと、娘は口には出さずに(あぁ、パパがやっと来てくれた)と明るい表情を見せました。
その時、私は開成中不合格者と2月7日に行われる中3入試出陣式のことで頭がいっぱいでしたが…。
入試が全て終わった3月、心にポッカリ穴が開きました。
小6・中3、そして戦友である講師(坂上・山崎武)と共に激走した時代のピリオド。
生活の中心になっていたものがなくなると、人間こんなに無気力になるんだと(当時は)思っていました。
でも、本人たちは違うのです。
未来へ向かって一人で歩き始めます。
当たり前です。そうじゃなきゃ困ります。
大人への感謝の気持はあっても、時折近況報告をしてくれても、歩んでいるのは本人たち自身であり、我々講師や親はその中心にはいません。

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高校入試に親が付き添ってくる家庭は1割もいません。
森山直太朗の熱唱に涙した彼女たち。
その目の見つめる先は親ではありません。

ところが中学入試はどうでしょう?
中学入試は完全に親子の入試です。
いや、半分が親の入試と言っても過言ではありません。
小4までなら勉強の内容にも100%近く影響を及ぼすご家庭も珍しくありません。
小5では勉強内容からは手を引く(または親がついていけなくなる)ご家庭が多いものの、いや、そうであるがゆえに成績にはよりシビアになる。
我が子と二人三脚で歩いてきた道が平たんではないほど、親が「どうにか受からせてあげたい、なんとかしてあげたい」気持は大きくなり、我が子もその気持ちに必死に応えようとする。
それが中学入試です。
そう、
中学入試は親子で行う最後の共同作業
なのです。
であれば、おかしな入試をしてしまうのは、もったいない!
せっかくやるのであれば大きな偉大な“共同作品”を創らねば!

「金品は何者かに盗まれればそれでお終いである。しかし本気になって挑む中で身につく学力・判断力・思考力は、一生盗まれることのない宝物になる。」
私の尊敬する早稲田アカデミー創設者の須野田さんが著書の中でこのようなことを書いていました。
言い換えましょう。
「受験は合否が必ず出る。しかし大切なことは合否ではなく、目標に向かって進む中で身につけた“努力すればできるんだ”という成功体験である。」
何度も言いますが、私はあの中3の子どもたちの心に宿っていた(どうせ努力しても無駄なんだ)という無気力感を払拭するのに半年以上を費やしました。

お父さん、お母さん!
お子さんの目は、あなた方に真っ直ぐ向いていますよ!
お子さんは間違いなくあなたと一緒に涙しますよ!
親子で歩む中学受験。
だからこそ親がマイナスのストッパーにならないよう、心から願っています。

特に小5・小6はここからの期間が重要です。
成績を上げるため、志望校に合格させるため、悩み苦しみもがくことは必要です。
でも、それがすべてになってはいけない。
それに振り回され過ぎてはいけない。
親が振り回されていれば、それは必ず子どもに伝染します。
一生の中で我が子と一緒に大きなことがやれる最後の期間と捉えてください。
中学生以上になれば子どもは親から離れていきます。
もし離れない期間がもう少し続けば、それはラッキーなお釣りなのです。
完