異物もいろいろ。 | たるみ治療Dr境のブログ

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美容外科医・形成外科専門医 境が
日々の症例を解説いたします。


外傷などを扱っていると


異物のリスクには大きなランクの差があると感じていました。




一概に異物のリスクと言っても、


ハイリスクのものとローリスクのものの間には、

億分の1~億くらいの開きがあると感じます。












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ばい菌くん。








数年前のフロントガラスなどが

何の症状もなく残存している例によく出くわします。

昔の交通事故の瘢痕形成の手術前(きずあと修正)に

レントゲン撮影でたまたま発見して

「ついでに取りますか?」と提案する場合が多く見られます。





一方、木くずや竹などがわずかでも残存すると激烈な症状を生じ、

ほとんどの場合に摘出手術が必要となります。





3年前スプリングスレッド(スプリングリフト)を始めたばかりのころに

3例も感染を起こし、極めて多いと感じたので原因を考えました。





整形外科では人工関節などの大きな異物も安全に使用されていますし、

美容医療でも胸に巨大なシリコンを入れている人もいて

細いシリコンの糸を入れただけで何かが起こるという確率は非常に低いと思います。





どう考えても他のハイリスクな異物、

おそらく毛が入ったのだと結論に達し、剃毛するようになりました。

剃毛を始めてから1例の感染も生じていません。

朝風呂で来てもらい、剃毛後、


またその部位を中心によく洗ってから手術を行っています。





スプリングスレッド(スプリングリフト)のシリコン部分は毛やホコリが付きやすく、

皮膚や髪の毛につかないように直には触れず、

助手に攝子で把持させ・皮膚に着けないようにします。





また、シリコンをよく観察して、ホコリ・毛を除去しながら糸を入れていきます。


また、ガーゼや手袋に触れただけで、ホコリだらけとなり、

小さな毛が紛れ込みやすい状態となってしまいます。





全員でホコリや毛が入らないように


観察して見つけたら丁寧に鑷子で除去しています。





滅菌ガーゼから出たホコリ自体は、

毛ほどはハイリスクではないと思いますが、

毛と混同しやすいため、排除した方がより安全と考えられます。





もう1つは操作を簡便に行うこと操作が複雑であればあるほど、

異物混入のリスクは高まると思います。





感染や異物反応は偶然や体質ではなく、







手技の問題が原因であることがほとんどであると思われます。