日本付近は冬型気圧配置が続いており、500hPaで-42℃の寒気を持つ寒冷渦とそこから伸びるシアライン(小規模な前線)が北日本から北陸を通過しているため、北日本の日本海側や北陸では雪や雨になっており、ところどころで発雷しているようです。冬型気圧配置は火曜日あたりまで続いて、一旦緩んだ後、二つ玉低気圧が日本の東海上に抜ける週末は再び強い冬型気圧配置となります。今度のクリスマス寒波は、ちょっと強いです。三連休の間、オホーツク海に強い寒気が居座るようです。この三日間は北日本から西日本の日本海側の地方は大雪になる可能性があり、太平洋側でも雪雲が流れてきそうです。今後の気象情報に十分ご注意ください。それでは、まず1週間のお天気のシナリオからです。



12/19(月)

冬型気圧配置が続き、北日本日本海側と北陸では雪や雨の天気。また、寒気を伴う上空の気圧の谷が接近・通過、500hPaで-30℃線が中国地方から関東南岸まで南下してくるため、北陸から西日本の日本海側の地方では大気の状態が不安定になり、落雷や突風、雪や雨が強まる恐れがあります。太平洋側の地方では、おおむね晴れる予想です。


12/20(火)

北海道の北を500hPaで-42℃の寒気を持つ寒冷渦が通過します。そのため、北日本から東日本では寒さが続きますが、西日本から次第に冬型気圧配置が緩んできそうです。北日本日本海側と北陸では雪や雨、太平洋側の地方では晴れる予想になっています。


12/21(水)

前半に移動性高気圧が東日本から北日本を通過します。その後は次の気圧の谷の接近に伴い、日本海に低気圧が発生します。次第に西谷(日本の西に気圧の谷がある)の気圧配置になるため、南からの湿った空気が入りやすくなります。東日本から北日本では一時晴れそうですが、全国的に雲が多い天気です。日本海側の地方では雪や雨が降りやすく、西日本や沖縄方面では雨が降り始める予想になってぃます。


12/22(木)

南岸にも低気圧が発生して、日本海低気圧とともにいわゆる二つ玉低気圧となって発達しながら日本の東海上に進みます。低気圧前面の暖気移流、後面の寒気移流ともに強いため、低気圧の発達の条件はそろっており広い範囲で荒れた天気になる可能性があります。


12/23(金)

低気圧は急激に発達しながらオホーツク海に進み、日本付近は強い冬型気圧配置となります。低気圧の上空には、500hPaで-36℃以下の寒気を持つ寒冷渦が停滞します。雪になる目安の850hPaの-6℃線が関東~西日本の太平洋側まで南下してきます。JPCZ(日本海収束帯)も次第に強まります。北日本と、東日本から西日本の日本海側では雪になる見込みです。太平洋側でも寒気の影響で雲が多くなっており、雪雲が流れ込むところもありそうです。


12/24(土)

寒冷渦と直下の低気圧はオホーツク海に停滞し、強い冬型気圧配置が続きます。850hPaの-6℃線は日本の南岸まで南下、大雪の目安の500hPaの-36℃線も東北から北陸付近まで南下してきます。JPCZも強く、JPCZ上に低気圧が発生して、昨年末から今年年始の山陰の大雪のように日本海側の平野部でも大雪になる可能性があります。北日本と、東日本から西日本の日本海側では雪、太平洋側の地方でも寒気の影響で雲が多く、雪雲が流れ込むところもありそうです。


12/25(日)

引続き寒冷渦と直下の低気圧はオホーツク海に停滞し、強い冬型気圧配置が続きます。12/24と同様の天気が予想されています。




今週は。12/22予想されている二つ玉低気圧と、クリスマス寒波に焦点を当てて解説いたします。まず、12/20から12/25の地上天気図で天気の流れを追ってみます。12/20は、西の方から冬型気圧配置が緩みます。12/21は、移動性高気圧が通過した後で日本海に低気圧が発生。12/22は、日本海低気圧と南岸に発生した低気圧が一体となって発達しながら日本の東に進みます。12/23は低気圧が更に発達しながらオホーツク海に進み、日本付近は強い冬型気圧配置になります。低気圧はオホーツク海に停滞し、12/24から12/25も強い冬型気圧配置が続きます。12/23から12/25にかけて日本海に予想されている三角形の降水域が、JPCZ(日本海収束帯)に伴う降水域です。


ペンギンおやじのお天気ブログ-地上天気図




850hPa気温推移を見てみますと、12/23から12/25にかけて北日本から沖縄方面まで、全国的に平年より気温が4~6℃低くなる予想になっています。地上の気温は地面の熱容量がありますのでこれほど低下するわけではありませんが、それでも気象庁の週間予想気温では平年より2~5℃ぐらい低くなっているようです。


ペンギンおやじのお天気ブログ-850hPa気温推移




12/22に発生することが予想されている二つ玉低気圧ですが、週間予想図では分かりにくいので、12/22 AM9時のGSM予想図を添付いたします。このように日本海低気圧と南岸低気圧が一緒になって進むものを二つ玉低気圧と呼んでおり、悪天になることが多いので警戒が必要です。過去、山や海での遭難事例も多いです。
ペンギンおやじのお天気ブログ-GSM予想図1222




この時の高層天気図を見てみましょう。12/22 21時の500hPa高度(左図)、850hPa気温(右図)を表しています。低気圧発達の条件の一つは気圧の谷が深いことで、500hPa天気図では沿海州の寒冷渦(図のL)から深い谷が西日本に向かって伸びていることが分かります。二つ目は、低気圧前面の暖気移流と後面の寒気移流ですが、850hPa天気図を見ると、低気圧前面の暖気・後面寒気ともに強いことが分かります。三つ目は、低気圧前面の上昇流と後面の下降流ですが、これは週間予想図にはないので割愛いたします。(GSM予想図では明瞭です)


ペンギンおやじのお天気ブログ-高層天気図1222




地上天気図で見ましたように、オホーツク海に進んだ低気圧は12/23に急激に発達して、GSM予想図(省略)では960hPaと台風並みに発達する予想になっています。このように急激に発達する低気圧を、通称「爆弾低気圧」と呼んでおり警戒する必要があります。



最後に、寒気の底になる12/24の高層天気図も見てみましょう。500hPa天気図(左図)の寒冷渦は。オホーツク海に停滞して、強い寒気が居座ります。850hPa天気図(右図)で、雪になる目安の-6℃線は南岸まで南下して、九州まで-6℃以下になっています。太平洋側の地方でも、雪雲が流れてきそうです。GSM予想では、東海地方の850hPaの風は北西風ですので、関ヶ原の雪の通り道を通って名古屋など濃尾平野でも雪になりそうです。


ペンギンおやじのお天気ブログ-高層天気図1224




気になる年末年始ですが、まだはっきりとは分かりませんが、どこかで次の寒波が来そうです。よく当たると評判のヨーロッパ中期予報センター にある240時間後の12/27の高層天気図を見てみましょう。実線は500hPa高度、色分けは850hPa気温です(寒色系の色が濃いほど低温)。クリスマス寒波をもたらす寒冷渦はカムチャッカ方面に遠ざかるのですが、大陸の奥地で強い寒気が蓄積されていることが分かります。問題はこれがいつやって来るか、そして日本付近に来るまでに寒気が維持されているかどうかです。果たして如何に‥
ペンギンおやじのお天気ブログ-ECMWF1227


   ペタしてね      読者登録してね