日本海と南岸の低気圧は一体となって発達しながら千島列島に進み、日本付近は強い冬型気圧配置となっています。北日本では、まだ明日まで高波と大雪に対する警戒が必要です。今週末には、更に強いこの冬一番の寒波が来ます。特に西日本では厳しい冷え込みが予想されますのでご注意ください。西日本の日本海側の地方では、おそらく初雪になると思われます。まずは、1週間のお天気のシナリオをまとめてみました。



12/5(月)

西日本・東日本は冬型気圧配置が緩んできますが、北日本では冬型気圧配置が続きます。また北日本を500hPaで-40℃の強い寒気を持ったトラフ(上空の気圧の谷)が通過するために、北日本の日本海側を中心に雪となり、吹雪になる恐れもあります。東日本・西日本の日本海側の地方でも雲が出やすく、雨か雪が降るところがあります。また、沖縄方面は前線帯が北上してくるため曇から雨になりそうです。沖縄方面は、前線や湿った空気の影響で今週は曇や雨の日が多いです。その他の地方では、12/5は概ね晴れる見込みです。


12/6(火)
大陸からの移動性高気圧が関東の東海上に進みます。そのため、東日本は高気圧後面の湿った空気の影響で、雲が多く雨になるところもありそうです。また、西日本はトラフが通過するため、湿った空気が入って曇から後半は雨になるところが多いです。北日本では太平洋側は晴れるところが多いですが、日本海側の地方では寒気の影響で雲が多く、北海道では雪が降るところもありそうです。


12/7(水)

北日本は寒気を伴う小さなトラフが通過する影響で、雲が多く北海道では雪が降るところもありそうです。西日本・東日本の日本海側ではシアライン(いわば前線の卵)ができるため、雲が広がりやすい天気です。東日本の太平洋側は南岸に発生した低気圧の影響、西日本の太平洋側でも上空の低気圧性の渦の影響(正渦度移流と言います)で雲が多い天気が予想されています。


12/8(木)

カムチャッカ半島付近には500hPaで-44℃の寒冷渦(上空に寒気を伴う低気圧)があって、そこから伸びるトラフが日本海まで進んできます。トラフの前面で日本海低気圧が発生して、北東に進みます。低気圧の影響で、全国的に雲が多く雨が降りやすい天気になります(気温から北海道では雪の予想)。


12/9(金)

低気圧は千島列島付近に進み、日本付近は冬型気圧配置となります。雪となる目安となる850hPa(上空1500m)で-6℃線が、四国付近まで南下してきます。西日本では今季一番の寒波です。JPCZ(日本海収束帯)が北陸付近だけでなく、北日本にも予想されており、北日本、東日本・西日本の日本海側では雪または雨になります。太平洋側の地方は晴れるところが多いですが、私が住んでいる名古屋のように雪雲の通り道になっているような地方では雲が多く、もしかするとみぞれや雪がちらつく可能性があります。日本海側の地方では、12/9から12/10にかけて初雪の便りが届くところが多そうです。


12/10(土)

北日本を寒気トラフ(寒気を伴う上空の気圧の谷)が通過し、日本付近は冬型気圧配置が続きます。北日本、東日本・西日本の日本海側では雪または雨、太平洋側の地方では概ね晴れる予想です。太平洋側の地方でも雪雲の通り道になっている地方では、前日と同様に雲が多い天気になります。


12/11(日)

低気圧が遠ざかるとともに、しだいに冬型気圧配置は緩みそうです。(ただし、冬型が続く予想結果もあり要注意です) 次のトラフが黄海付近まで進んでくる影響で、南からの湿った空気が入りやすく全国的に雲が多い天気になりそうです。日本海側の地方では、寒気のため雨や雪になる予想になっています。





今週は、寒波に焦点を当てて解説いたします。まず、12/10の地上天気図を見てみましょう。低気圧は千島列島付近に進み、日本付近は西高東低の冬型気圧配置になっています。日本海には、北日本と北陸にJPCZに伴う降水域が予想されています。

ペンギンおやじのお天気ブログ-地上天気図1209




同じく12/9の高層天気図を見てみましょう。左図は500hPa等高度線、右図は850hP気温を示しています。500hPa天気図でサハリンの東とカムチャッカの東にあるLが寒冷渦で、このうち上の地上天気図の低気圧に対応しているサハリンの寒冷渦は500hPaで-40℃の強い寒気を伴っています。

右図で雪になる目安の850hPaでの-6℃線を青でなぞっていますが、-6℃線が四国付近まで南下しており、今回の寒波は西日本中心であることが分かると思います。


ペンギンおやじのお天気ブログ-高層天気図1209



さて、その後ですが、10日先の予想図を公開しているヨーパッパ中期予報センター の資料によりますと、まだまだ寒波が来そうな感じです。もしかすると、今週の気象庁の1か月予報は更に下方修正される可能性があります。まず、12/13の500hPa高度・850hPa気温の予想図です。今回と同様に850hPaで-6℃線が、西日本あたりまで南下しています。更に問題と思われるのは、シベリアで非常に強い寒気が蓄積されていることです。850hPaで-28℃ですので、地上ならば約-19℃です。どうもこれが南下してきそうな気配があります。
ペンギンおやじのお天気ブログ-ECWMF_20111213




12/14の予想天気図です。バイカル湖の西のリッジが強くなるとともに、850hPaの-28℃寒気とともにトラフが南下してきています。しかも、シベリアの850hPa寒気の本体は12/13よりも強くなっています。12月中旬以降は、寒波の波状攻撃になる可能性は十分考えられると思われます。
ペンギンおやじのお天気ブログ-ECWMF_20111214



ペタしてね     読者登録してね