アイヌ料理 ラトゥシペ


アイヌの人々は「すべてのものに神宿る」と考え、鮭の漁労にも独特の決まりがあり、その1つに、イサパキニ(その頭を打つ木)という削りかけのついた棒で、とった鮭の頭を1本1本打つというものがあるそうです。その棒はイナウ(木幣)になって、鮭が神の国に帰るときのオミヤゲになると考えられ、それをしないで神の不興をかったという話しがあるそうです。鮭のことをアイヌ語で「シペ(シ・イペ)」といい、“本当の食べ物”を意味します。書籍「日本の食生活全集48 聞き書 アイヌの食事 萩中美枝、畑井朝子、藤村久和、古原敏弘、村木美幸著 農山漁村文化協会発行」から学びました。

「キトビロ」や「キトピロ」は「行者ニンニク」のアイヌ名で、正式名称は「ヒトビロ」(学名:学名:Allium victorialis var. platyphyllum)、別名を「アイヌネギ」、「エゾネギ」、「ヒトビル」、「ヤマビル」、「ヤマニンニク」などという、ユリ科ネギ属のネギやニラの仲間です。当ブログの「マスタード風味手作りハムの行者ニンニク・ソースがけ(2007年1/28)」(http://ameblo.jp/owlclinic/entry-10024397532.html )でも述べたように、ビタミンB1などのビタミン類のほかにニンニク様の臭気の中に「硫化アリル化合物」を大量に含み、滋養強壮、疲労回復、新陳代謝改善、整腸、血行改善、内臓脂肪燃焼、抗菌活性、抗酸化作用、血小板凝集阻害、血栓溶解、鎮静、癌予防、コレステロール低下、美容などの効果があるといわれています。

材料(二人分):鮭2切れ(250g)、行者ニンニク(キトビロ)60g(小口切り)、昆布(アイヌ語でサ)5g、根昆布トロロ14g、食塩小さじ1/2杯、水500cc (写真は一人分)

水に昆布を入れ、弱火でゆっくりと煮立て、沸騰したら昆布は取り出し、鮭、食塩を入れ、鮭に火がとおるまで煮ます。鮭が煮えたら取り出し、器に盛ります。残った汁に、行者ニンニク(キトビロ)、根昆布トロロを入れ、サッと煮たら火を止め、鮭の上にかけたら出来上がりです! アイヌ語の“ラトゥシペ”とは“ネバネバのついたもの”という意味だそうで、言葉通りトロロ昆布のネバネバした口当たりが面白い三平汁みたいな料理です。


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