最近読んだ本 | 楕円球空間

最近読んだ本

「グッドフライト・グッドナイト」(マーク・ヴァンホーナッカー)

 

現役の(恐らく)BAのパイロットで、今はB747の機長ないし操縦士をしている人の本。薄っぺらい航空業界内幕ものでもなければ淡白な世界旅行記でもない。この著者は美しいものとか美しい心とかそういうものへの感性が優れているなぁ、と思う。パイロットになった動機も書かれているが、本当に純粋な人、という印象。理系の知識もなぜか豊富で(歴史学を勉強してコンサルタントをしていたにも関わらず。パイロットになるにはこういうのも勉強するの?)豊かな人生を歩いていることがよくわかる。「この本を読むと旅行に出たくなる」という感想も宜なるかな、である。

 

「真理の探求」(大栗博司・佐々木閑)

超弦理論の泰斗・大栗さんと京大で化学と仏教学を専攻し仏教学者(という理解でいいんだろうか)になられた佐々木さんの対談&講義集、という位置づけか。物理の部分はまぁ知っているor分かっている(この違いは実は大きい)話がほとんどだが、佐々木さんの仏教及び仏教研究に関するコメントと講義は目からウロコ。普段から「日本の仏教と坊さんは腐ってる」と公言しアンチ仏教を掲げている私だが、私がそう思う理由が実に明快になった。そうなのね。日本の仏教は大乗仏教で、釈迦のオリジナル仏教を思い切り換骨奪胎してゆる〜〜〜〜くご都合主義にしたからなのか。道理で・・・。釈迦のオリジナル仏教には共鳴・共感できる点大、なので、今度T大東洋思想の俊英Bさんによく質問してみよう。

 

「ビールへの旅」(長尾伸)

3部作の2作目で、これだけ持っていなかったので古本として購入。なんとなく胸のつかえが下りるような気がする(大げさ?)。長尾さん、非常に分析的・解析的で、絶対理系、大学の先生だったのでは、と思うが、その後続編も出ないし、お亡くなりになったのかな?だとすれば残念。これでドイツのビールはほとんど網羅的に理解したはず、なので、次回以降の訪独が楽しみだ。