マートンのOutside The Box Second Edition 大学卒業大きな目標 | Yosh Yoshida~Think Outside The Box~

マートンのOutside The Box Second Edition 大学卒業大きな目標

マートンさんのOutside The Box連載2回目です。


Yosh Yoshida~Think Outside The Box~


今回はジョージア工科大学のトータルパーソンプログラムやNCAAのルールについて話しています。
前回は練習時間の制約などに着いて補足しましたが、NCAAではGPA(学業評価)2.0(100点満点中70点くらい)以下では、大学でのスポーツ参加ができません。試合だけでなくチームの練習にすら参加できないのです。学期ごとに取得すべき単位数も決まっているので、それらをクリアできないと、アメリカの大学では例外なくスポーツに参加できません。チームによっては学業成績のハードルをそれ以上に設定するところもあります。アスリートの前に学生としての責務を全うして初めてスポーツに参加できるのです。理由は記事の中でマートンさんが述べているとおりです。

2000年のコーチ協会総会(AFCA)で、ネブラスカ大学元ヘッドコーチのトムオズボーンズさんが、
『以前NFL選手会の報告を受け取った際、選手寿命は2,3年。引退後無職となり生活苦に陥る者、家庭崩壊で離婚率が上昇など、ショッキングな内容に、カレッジスポーツの存在意義が問われると実感した』
とスピーチで話されました。
マートンさんも連載最初のところで、スポーツの引退後の生活に触れています。引退後の人生の方が長いのに、野球しかできない!という考えで生きていると、長い人生を生き抜くことができません。スポーツ人生の終わりが本当の人生の終わりではなく、新たな人生のスタートとして、力強く生きていくこと、それを支援することは、大学やリーグ、そしてNCAAの責任です。
そして1981年、マートンさんの母校ジョージア工科大学で始まったトータルパーソンプログラムが、アスリートのサポートとして全米へ広まっていきました。またジョージア工科大学ではアスリートだけでなく、すべての学生へサービスを拡大させていきました。なぜなら、このプログラムがこの国を背負って立つリーダーを育てるためのもので、必ずしもアスリートのためだけでない!、ということなのだそうです。

マートンさんがまだ卒業資格がないのも、プロに進むのに必ずしも大学卒業まで待つ必要がなく、チャンスが3年生の時なら、その時プロの指名を受けることができます。野球の場合は高校卒業後すぐプロに進めますが、バスケットボールやフットボールはプロに進むには、高校卒業後一定年数が必要になります。(バスケットボールは高卒後1年、フットボールは3年)
元NFLプレーヤーのエメットスミスや元NBAシャキールオニールの事例にもあるように、大学を卒業せずにプロへ進んだアスリートが、プロの現役中に残りの単位を取得することは珍しくなく、彼らはプロで全米制覇した年に、それぞれの出身大学へ戻り学位を取得しています。マートンさんもあと3年以内にその決断が迫っています。彼がアメリカに戻る意思が強いといわれている一つは、メジャー復帰以外にこのこともあるようです。