421am 7

予定日を1日過ぎた21日の朝、

目が覚めてトイレに行くとおしるしがあった。

「わぉ~。おしるしだ!」

生理が来てパンツが汚れても、こんなにときめかないけれど

血のついたパンツにトイレで一人感激。


いよいよソラに会える!

そして、30分、15分と時間は不規則なものの、

数十秒間腰の痛みがある。これが陣痛?

痛いといえば痛いけど、何かしていると忘れちゃう。

その程度の痛み。育児書でいう、前駆陣痛だった。

さっそく手帳を用意し、陣痛の間隔を書き込んだ。

出産前はお腹がゆるくなると聞いていたが、私にも、もれなくその症状が現れ、

「赤ちゃんが産まれてくるためにお腹を空っぽにしているんだな~」と、

自分の体の機能に感心する。

出血にも下痢にもいちいち過剰に反応し、

出産と言うイベントに期待で一杯。

ダーリンにも電話して、おしるしが来たことを報告した。

まず「おしるし」という意味から説明。

そこからかっ!

お昼に、心配した母が様子を見に来てくれたりしたものの

結局1日弱い腰の痛みが続き、

夜はダーリンとピザをデリバリーして食べ、早めに眠った。

22日 am 0時

あんまり眠くない。眠れそうにないかも・・・。

などと思っていたころ、陣痛が7分間隔になったことに気がつく。

しっかり1時間、7分間隔で陣痛がきていることを確認できたので、

病院に電話した。助産士さんには、

「そのまま家で様子を見てもいいし、

不安だったら病院に来ても大丈夫ですよ。」

と言われたので、少し様子をみることにした。

1日中、時計の前で陣痛の間隔を計っていたことを察したのか、

助産師さんは、時間を計るのをやめ、

リラックスするようアドバイスをくれた。

助産師さんに見抜かれたとおり、私は1日中ずっと時間を計ってメモし、

トイレの時間や食事の時間まできっちり記録。

出血の量まで誰に報告するのかというくらい詳細にメモしていた。

実は、出産までの道のりを、ソラに残してあげようと思って、

陣痛の間隔をメモしていたのだった。

大きくなってこの記録をどう思うかは勝手だが、

残してあげられるものは残してあげたい。

しかし、一緒に入院していたママが

へその緒を長い状態で欲しいと助産師さんにお願いしていたのを聞いて

将来、蛇の抜け殻のような、不気味な自分のへその緒を見せられた子供は

いったいどんな気持ちになるだろうとふと思った。

痛みが軽いうちに入院の準備をしてしまおうと、荷物の確認を始める。

その間も、陣痛は規則的に来る。物音でダーリンが起きてきたので、

病院に電話したことを話し、再び一緒に眠った。

少し横になったけれどやっぱり眠れず、

陣痛の間隔がこれ以上短くなったら、

いったい自分はどうなるのか想像できず不安だったので

お腹の痛みも強くなって来たことだし、

病院にいた方が安心できると思い、ダーリンを起こした。

「ダーリン、運転できる?」

「ん?うん、大丈夫?」

ダーリンはすぐに目を覚まし、二人で病院へ行く準備をした。

4、5日の旅行用キャリーケースに2泊用の旅行バッグが一つ。

予想外の荷物の多さにダーリンが驚く。

「あとこの他にバッグが2つあるけど、

それはすぐ必要じゃないから後でいいの。」

「まだあるの?いつまで入院する気?」

私もそう思うけど、どれも置いていけないのよ。

車の時計は3時5分。

これから始まる本格的な陣痛と出産を前に、

自分のテンションが上がっているのがわかる。

途中コンビニに寄って、ダーリンに飲み物を買ってきてもらった。

病院に着くまでの間、何度か陣痛があり、

病院に着いても病棟に行くまで、痛みで一瞬動けなくなることもあった。

でも、痛みと痛みの間はまったく普通に動き回れる。

痛くない時に早足で移動。

4階の病棟に着いて、入院に必要な書類を渡し、

その後、人間ドッグの時などに着るピンクの検査服に着替える。

検尿、体重測定、問診をして、陣痛室へと移動。

母親学級の時に見た陣痛室。

カーテンで仕切られていてベッドが3つ。

私が行った時には誰もいなかった。

お腹に分娩監視装置を付け、お腹の張り具合とソラの心拍を測定。

数値が上がると私のお腹が張る。

正確には、張っていると数値が上がる。

グラフをダーリンと見ながら、私はまだまだ余裕だった。

陣痛も順調に7分間隔をキープし、

分娩監視装置の結果、5分間隔にまでなっている。

でも、内診の結果、子宮口がほとんど開いておらず、

出産にはまだまだかかりますね。と言われた。

そのままダーリンと陣痛室で過ごし、

朝方お母さんに病院に来たことをメールで報告する。

陣痛はだんだん強くなるけれど、

痛みを和らげるにはベッドを倒した方がいいのか、

横にした方がいいのかよくわからない。

この時点で私達は、お昼には生まれるだろうと、

甘い考えでいたのだった。