「医食同源」という言葉があるが本当だと思う。食材、食べ方、料理法、組み合わせ。それらのバランスが狂うと体に負担がかかる。人によっては大病に繋がって、寿命を縮める事にもなりかねない。


 私がアレルギー症状で苦しんでいた頃、友人のWさんも大変な状況にいた。今までこれといった病気もせず、何でも美味しく食べ、良く歩き、とっても健康的な生活を送っていたように見えていた彼だったが、一昨年の夏のある日、腹部に今まで感じた事がない痛みを感じ、それからしばらくの間大変だったのだそうだ。すぐにでも病院に行ければ良かったのだが、仕事が詰まっていて休むに休めず、必死で痛みに堪えながら過ごしていたらしい。


 ちょうどその時、彼は友人で漢方系のお店を開いている方からある本を薦められた。東城百合子さんの『家庭でできる自然療法 誰でもできる食事と手当法』。その方もまた、難病に冒されそれをきっかけに漢方の勉強をした人らしく、Wさんは友人の熱心な忠告に従って、しばらくの間本に書かれた内容を徹底的に実践してみたのだそうだ。


 症状の項目にあった手当法どおり、基本食を玄米ご飯に切り替え、びわ茶を飲み、梅肉エキスを飲む。二週間びっちりと。すると、ピーク時には転げ回るほどにまでなっていた痛みがしだいに消え、すっかり良くなってしまったらしい。念のためという事で、一区切りついたところで病院に行ったらしいが、問題なし。たぶん潰瘍か何かできていたのだろう、との事だった。


 ちょうど同じ頃、私も原因不明の咳に悩まされていたためWさんとは会えず、ずいぶん後になってその事を知った。「そんな無謀な」とは言ったものの、まあ無事治ったのならそれはよかった、とホッとした次第。で、そのWさんから東城さんの本について教えてもらったというわけ。


 東城百合子さんは、若い頃に、その当時死の病として恐れられていた結核になり、それをきっかけに自然療法に目覚め、研究をしてたくさんの著書を出しておられる方だ。いくつかの本はamazonなどでも買えるようだが、この本だけは直販。口コミだけにもかかわらず、昭和53年に初版本が出て以来、なんと現在850版まできている。知る人ぞ知る、大、大、大、大ベストセラーなのだ。


 とにかく、情報量が多くて驚く。各症状に合わせた手当の方法が書かれてあるのはもちろん、なぜそういう症状になったのか、という原因も書かれていて参考になった。ガンの項目などもあって、この療法で助かった人の実例なども載っていた。


 本を手に入れてから数日後、次男がものもらいになった。

 さっそくその項目を調べると、「胃腸が弱っている時ですから・・・・・・」と書かれている。目の病気なのに原因は胃? でも、すばりそうだった。育ち盛りとはいえ、ここのところの次男の食べっぷりは尋常でなく、ものもらいになる直前にバカみたいに大食いしていて、家族で「いくらなんでも」と言っていたところだったのだ。体の部位ってそれぞれに繋がっていて、バランスを崩すとどこかに歪みがくるんだな、という事がこの一件でとってもよくわかった。


 病気になるのには必ず原因がある。薬で症状を抑えようとするのではなく、食を通して体質改善していくというこの本の考え方は納得が出来たし、古くから伝わる日本食っていろんな面で本当に素晴らしいのだ、という事もよくわかった。毎日玄米食は大変でも、添加物をなるべく排除し、できるだけ糖質をおさえ、よく噛んで食べる。ただそれだけを心がけるだけでも、体質って変わってくると思う。


 Wさんは、もう何十人もの人にこの本を薦めているらしい。

 本屋では買えない本なので、興味のある方は版元の「あなたと健康社」に問い合わせるか、自然食のお店、「ナチュラルハウス」などでも手に入る。


 今日の一冊


東城百合子著「家庭でできる自然療法 誰でもできる食事と手当法」


 

東城 百合子
心を育てる子どもの健康食
望月 研, 東城 百合子
ビワの葉自然療法―体と心がよみがえる
東城 百合子
食生活が人生を変える―細胞が活気づく“自然療法”の知恵