どうも、はちごろうです。


今日は成人の日。
とはいえ、20歳になったから一律に大人かといわれると、
そんなことはないと2度目の成人式を迎えた身としては思う。
下手をすれば年を重ねるごとに人間的に劣化していくことも
実は数多く見受けられるんですわ。
だから人間的成長というのは自然と成し遂げられるものではなく、
あくまで「大人になろう」と決心しないと出来ないものであると、
大人になりきれていない若輩者として言っておきます。
さて、映画の話。




「大脱出」











シルベスター・スタローン×アーノルド・シュワルツェネッガー、
このハリウッド肉体派アクションスターの両巨頭が
タッグを組んで送る脱獄アクション。
共演はジム・カヴィーセル、サム・ニールなど。



あらすじ


民間の警備会社に勤めるブレスリンは、
政府などからの依頼で全国の刑務所に極秘で入所し、
脱獄を企てることで警備体制をチェックする「脱獄のプロ」。
そんな彼にCIA直々に脱獄の依頼が来る。
政府が関知しない民間の重要犯罪人収容の刑務所の
警備体制をチェックしてほしいというのだ。
ブレスリンは二人の部下と共に待ち合わせ場所に向かうが、
彼は二人の見守る前で何者かに拉致されてしまう。
しかも安全対策として腕に埋め込まれていた発信機も摘出され、
睡眠薬を注射され眠らされてしまう。
気が付くと彼は全面ガラス張りの牢獄にいた。
彼は所長と面会するが依頼人から訊いた名前の人物ではなく、
問題発生の時に言えば出所できる避難コードを告げても
その刑務所の所長ホブスは意に介さなかった。
絶望的な状況に追い込まれたブレスリンが
新人いびりとして他の囚人からケンカを売られていたとき、
仲裁をしたのが囚人たちのボス、ロットマイヤーだった。




ハリウッドのアクションスターのざっくりとした説明



スタローンとシュワルツェネッガーといえば、
80年代から90年代のハリウッドを支えてきた2大スター。
特にスタローンは自ら脚本を書いて主演した「ロッキー」シリーズや
凄腕のベトナム帰還兵に扮した「ランボー」シリーズをヒットさせ、
まさにハリウッドの肉体派アクションスターの中興の祖であった。
方やシュワルツェネッガー(シュワちゃん)は、
ボディビルの世界チャンピオンとして一時代を築いたのち銀幕デビュー。
その鍛え上げられた圧倒的な肉体を武器に、
重量感とパワーを持ち味とした戦いぶりに定評があった。
言ってみれば、スタローンがバランス重視のオールラウンダーとすれば、
シュワちゃんは完全にパワー重視のスタイルで活躍していたんですね。
その後、90年代に入るとシュワちゃんは役柄の幅を広げ、
「ツインズ」や「キンダーガードン・コップ」など
従来のイメージとは真逆のコメディ演技でヒットを飛ばす。
一方、スタローンもシュワちゃんに続けとばかりに
コメディにチャレンジしてみるも失敗。
そして90年代も中盤になるとブルース・ウィリスやハリソン・フォードなど、
一般人に近い俳優によるアクション映画の台頭や、
ジャン・クロード・ヴァンダムやジェット・リー、ジャッキー・チェンなど、
スピード感重視のアクションスターが求められるようになり、
二人が徐々にアクション大作の一線からフェードアウトを余儀なくされる。
そして2001年に9・11テロが発生。
これを機に二人のような「アメリカ的正義感」をまとったスターが
世界からことごとく敬遠されるようになっていく。
結局、スタローンは全盛期の勢いはないながらも作品を作り続け、
シュワちゃんはカリフォルニア州知事に当選したことで芸能活動休止。
その間、ハリウッドのアクション映画は、CGで作られた
悩めるアメコミヒーローに主役の座を明け渡していったわけです。
まぁ、ざっくりとした考察ですけどね。




どうにかこうにか間に合った!



さて、そんな時代を経た末に登場した本作は、
古き良きという言い方はあまりよくはないんですが、
80年代~90年代の肉体派アクションで育った身のツボを
存分にもみほぐしてくれる作品となってます。
当時からスタローンとシュワちゃんに対しては
「夢の競演」って企画が何本も持ちあがってはいたんですよ。
(表向きは「いい企画がなかった」ってことになってるけど、
 実際は女問題のもつれで険悪な状態にあったので
 実現しなかったわけですが)
だから正直なところ「もっと早く共演してれば・・・」と
思わないこともないんですよ。
けどまだギリギリで現役として見ていられる時期に
二人が共演している姿を見られただけで満足です。
それに先述したような昨今のアクション映画の風潮に対する、
カウンターとしての役割はきちんと果たしてると思います。




そりゃ、作品の粗はありますよ。でもね・・・



確かに問題点はなくはないんですよ。
例えば主役二人に対して脇役が軽い、というか印象が薄い。
所長のホブスも腹心のドレークももう少し残忍さを示す見せ場があれば、
後半の脱獄劇のなかで見せる格闘戦とかが盛り上がるし、
サム・ニールが演じた刑務所お抱えの医師カイリーが
ブレスリンに協力を求められて葛藤する姿ももっと描いてよかったし、
二人の脱獄計画に協力する囚人ジャベドも、前半できっちり印象付ければ
後半の彼の素晴らしい見せ場が一層引き立ったと思う。
そして相変わらずアクションシーンの撮影と編集がまずい。
胸から上だけの寄りめのカットを細かく繋いでて
何やってるのかまだわかりづらいんですよ。
(確かにあまり引きの画で二人の全体を映したら
 二人の老いがバレちゃうかも、ってのはわかるけど)
あと、ロットマイヤーの素性が謎すぎるというか、
投獄された理由がいまいちわかんない。
単にとある犯罪者の重要参考人ってだけにしては
あれだけの厳重警戒の刑務所に投獄する理由も説明つかないし、
ラストに明かされる彼とその犯罪者との関係はある程度予想もつくんだけど、
その犯罪者の素性も説明不足だから驚きも少ないんですよ。


ただ、それでもここ最近のアクション映画の中では
結構「わかってる」作品であることは確かですね。
特にクライマックスの二人の見せ場。
迎えのヘリに備え付けてあった機銃を外して
応戦するロットマイヤーの圧倒的な重量感。
もう「山が動いたー!」って感じで最高なんですよ。
そしていかにも「スタローンの見せ場」というような
ヘリからハシゴでぶら下がって銃を撃つブレスリンのかっこよさ。
二人の黄金期を知ってる世代にはたまらない作品でした。
こういう作品、結構需要があると思うんだけどなぁ・・・。



[2014年1月12日 TOHOシネマズ 日劇1]