どうも、はちごろうです。




最近、「未中年」という漫画を読んだ。





未中年 ~四十路から先、思い描いたことがなかったもので。~ (BUNCH COMICS)/ジェーン・スー

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TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」でもおなじみ、
コラムニストのジェーン・スーさんが原作を担当、
ナナトエリさんが作画を担当した作品。

あらすじ

都内の編集プロダクションに勤務する女性・亜弥。
映像制作会社勤務の夫と二人暮らしの彼女は、
最近40代に差し掛かり、心身の変化を自覚するようになる。
流行りのものに興味が向かない、身体の至る所に贅肉が付いた、
若い男性とのセックスを想像してもリアリティがなさすぎて想像を止めた・・・
50代になってもまだ精力的に活動している会社の女性社長と、
まだ32歳の同僚女性キミちゃんとの間に挟まり、
自分が「年相応の大人」として成長していないことに
漠然とした不安と焦りを抱える日々を送っていた。



スーさんと私は同じ73年生まれで今年44歳。
だから性別は違えど、抱えている心境はあまり大差ないと考えさせられる。

私が子供の頃、40歳は相当な大人と思っていた。
しかし、いざ自分がその年になってみたのだが、
あの頃想像していた「大人」とは程遠い自分が出来上がってる。
世間が考える「大人」としての分別もなければ、
社会的に容認されるほどの人生のキャリアも、自立できるスキルもない。

一方で、肉体的には確実に衰えが来ているわけで、
数年前にダイエットに成功して身体が幾分軽くなったとはいえ、
階段を1段飛ばしで昇るのもさすがにきつくなったし、
大江戸線の六本木駅のホームからヒルズのTOHOシネマズに着いたときには、
下手したらこのまま倒れるんじゃないか?と思うくらい、頭や胸が痛くなる。
どんなに話題の映画でも、上映時間が2時間超えと知ると一気に興味をなくしたり、
自分が遠ざかっているだけなのにもかかわらず、
ときどき「流行ってどこに逃げた?」と思うこともしばしば。

(どうよ!この辺、実体験だから説得力が違うでしょ?w)



とはいえ、こうした傾向は何も最近のことではない。
私が子供の頃だから30年前にはもう、
テレビで似たような発言を聞いたように記憶してる。
作家で俳優のリリー・フランキーさんが

「(中国の哲学者の)孔子って『人間、四十にして惑わず』とか言ってるけど、
 あいつ絶対早死にしてたと思うよ。俺、四十過ぎても惑いっぱなしだもの」


と、数年前に対談本でそんなことを言っていたのを読んだことがあるし、
そもそも同年代の有名人はみんな明らかに若く見える。
反面、たまに古い邦画、例えば黒澤明監督の作品とかを見ると
主演俳優がたいてい自分より年下か同年代なことに愕然とすることがある。
「七人の侍」の三船敏郎は公開当時まだ34歳。「用心棒」の仲代達矢は29歳。
「生きる」の志村喬は当時47歳。私と4歳しか違わないわけです。
他にも「男はつらいよ」の1作目の公開当時、渥美清さんは41歳。
「仁義なき戦い」の菅原文太さんは40歳。
高倉健さんが「網走番外地」に出演した時はまだ34歳なんですから。





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これが昭和の女性歌手、特に演歌歌手の場合はさらにすごいことになってて、
例えば八代亜紀さんが「舟歌」をヒットさせた時が29歳、
石川さゆりさんが「津軽海峡冬景色」をヒットさせた時が21歳。
いしだあゆみさんが「ブルーライトヨコハマ」を歌った時はまだ20歳なんですから。


さらに最近は自分より年長者が全く大人に見えない事例もしばしば。
直近だと昨日のNHKテレビ「あさイチ」で、性暴力被害の実態を特集した際、
70代の男性から「もっと真剣に逃げれば被害に遭わなかったのでは?」と、
暗に被害者の側にも非があると言わんばかりのファックスが送られ、
スタジオの出演者全員がその意見に反論するという事態になったし、
電車が遅延して駅員のクレームを付けるのはむしろ高齢者の方が多いという。
私は年齢を重ねれば重ねるほど、人間は自然と人格者になると思っていたが、
実際はむしろ人格的には逆に劣ってしまうのでは?と考えるようになりました。



まぁ、それも致し方ない部分もあるのかもしれない。
確かに孔子が「四十にして惑わず」と言っていた時代は
いまから考えると平均寿命は3分の2にも満たないだろうし、
平均寿命が延びたことで逆に「若くい続けること」が美徳とされ、
人間的に未成熟でも許容されてしまう場面も少なくないのだから。



そんなことを考えながら昨日テレビを見ていると、
将棋の藤井聡太四段がデビューから28連勝の記録を作ったという。
会見で記者の質問に答える藤井さんは、
受け答えも堂々としていて言葉遣いも立派。
まだ彼は14歳。それでも彼はその場にいる誰よりも
社会人として、人間として成熟しているように見えたのである。



結局、年齢を重ねれば自然と大人になるということはなく、
人間的な成熟は「大人になる」という自覚の中で醸成されるのではないだろうか?





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どうも、はちごろうです。



映画「キング・アーサー」の感想。続きです。





二次創作の元ネタとしての「アーサー王伝説」



さて、本作はアーサー王伝説を題材にしていて・・・って、
いまどのくらいの人がこの「アーサー王伝説」って知っているのか?
昔から何度も映画化されているし、ゲームでも何度も題材になっているので、
馴染みの深い人は少なくないはずなんですが。
私も名前くらいは知っているんですけど、どんな話かはさっぱりで。
「選ばれた者だけが剣を引き抜ける」とか、「円卓の騎士」とか、
キーワードはそれなりに知ってるんですけどね。
一応ウィキペディアあたりで調べてみたんですが、
このアーサー王ってのは実在したのか自体も謎の存在で、
その伝説が独り歩きし、時代と共にさまざまな物語がくっついてきたようで。
なんだか忠臣蔵みたいですね。あれも話に尾ひれがついてますし。
でも前述したエピソードは、その後いろんな作品に引用されていますね。
「選ばれし者だけが伝説の剣を手にすることが出来る」とか。
「選ばれし者の元に集まった優秀な部下たち」とか。
そういった数多くあるヒーロー譚のお手本になった物語がこれのようです。

とはいえ、前述したように土台となっている「アーサー王伝説」自体が
時代と共に話に尾ひれがついた物語ということは、
本作もまた元の伝説をたたき台とした物語だったりするようで。
で、本作の場合はスラム街で育った青年が自らの真の出自を知り、
その出自や能力、そして使命を背負うことに葛藤しながらも
最後は覚悟を決めて受け入れるという過程が描かれていくという、
まさに彼の大好物の、ガイ・リッチー節全開の物語になってるんですよ。



偉大な王ほどその座を怖がる



で、同時に本作は非常にわかりやすい「リーダー論」が展開されるんですね。
アーサーの父親だったユーサー王は魔導師の攻撃に対して
文字通り単身身体を張って敵の放った怪物に立ち向かい、
部下である兵士たちの身を護る。もう、これだけでこの人の優秀さがわかる。
家臣だけに損な役回りを押し付けず、自分も一緒に危ない橋を渡るというね。
ところがユーサーの弟であるヴォーティガンという男は、
ただただ王の座に就きたいだけで、どう国を治めるかは考えてないんですね。
そんな人間が治める国はたいていロクなことにならないんですよ。
自分のための政治を繰り返して、家臣や民が割を食うというね。
しかも彼が王の器でないことは、当の本人がよくわかってる。
だからその足りない実力を埋め合わせるために魔導師と契約し、
妻を捧げて力を得て、それで兄夫婦を殺して王に即位し、
アーサーが自らの前に現れると今度は娘にまで手を掛ける始末なんですよ。

一方、スラムという弱肉強食の環境で育ったアーサーは、
自分だけでなく、なにより育ててくれた娼婦たちを守りたいために
近所のカンフー道場に出入りして強くなっていくんですね。
そんな彼が岩に刺さった剣を引き抜くわけですが、
その「剣の力=王としての権力」に彼は最初怖気づくんですね。
そこから彼は自分がその剣を手にすることに激しく葛藤していくんです。
真に実力がある者ほど自分の才能に懐疑的というか、
その力の重大さや、それを使う責任の重さに敏感で、
それがラストの戴冠シーンの表情に現れているように感じました。



結論を言えば、そんなに期待してなかったこともあってか、
男の子向けの娯楽映画として予想以上に面白かったですね。
考えてみれば「家柄・才能・覚醒」「努力・友情・勝利」という
「週刊少年ジャンプ」的な要素満載で、
「ワンピース」や「ワイルド・スピード」あたりで
素直にテンションあがれる人には大好物な一本ではないでしょうか?



[2017年6月18日 TOHOシネマズ 六本木ヒルズ 2番スクリーン]




※アーサー王伝説といえば過去にはこんな作品が

キング・アーサー ディレクターズ・カット版 [Blu-ray]/ステラン・スカルスゲールド

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トゥルー・ナイト [Blu-ray]/ショーン・コネリー

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あと、王になることに苦悩した人といえば


英国王のスピーチ スタンダード・エディション [Blu-ray]/ティモシー・スポール

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エリザベス [Blu-ray]/リチャード・アッテンボロー

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どうも、はちごろうです。


今日はなんか暑いですねぇ。
今年の梅雨は完全に空梅雨な感じがします。
連年この時期はそれなりに雨が降って、
春先から続いた繁忙期も一段落するんですが、
今年はちっとも忙しさが落ち着かずで。
プライベートでやっておきたいことに
全く手が回らない状態ですわ。
じゃあ、休みの日にやればいいじゃないか?
普段映画ばっかり見てるくせに、と思うかもしれませんが、
休日に休みの場所に用があるから困ってるわけで。
では、映画の話。



「キング・アーサー」











「シャーロック・ホームズ」シリーズのガイ・リッチー監督が
アーサー王伝説を映画化したアクション大作。
主演は「パシフィック・リム」のチャーリー・ハナム。
共演はジュード・ロウ、ジャイモン・フンスー、エリック・バナ。

あらすじ

5世紀ごろ、イングランドを治めていた王ユーサー・ペンドラゴンは
王位を狙う弟ヴォーティガンに城を襲撃されてしまう。
その際、ユーサーは生まれたばかりの息子を川に逃がした。
彼と王妃が殺され、ヴォーティガンが新国王に即位した頃、
流された息子は城から離れたロンディウムの町で娼婦に拾われ、
アーサーと名付けられて成長していった。
ヴォーティガンによる圧政に国民が苦しめられ、
次第に「真の王」の存在と待望がささやかれるようになったある日、
城の湖の水が干上がり、そこから岩に刺さった剣が現れる。
言い伝えでは「その剣を引き抜いたものが王になる」とされており、
ヴォーティガンは国中の若者を集めてその剣を引き抜かせ、
仮にユーサーの息子が生きていればすぐさまその息子を殺し、
剣の正当な持ち主となるよう計画を立てるのだった。



メガホンを取った「スラムのガキ」、ガイ・リッチー



監督はガイ・リッチー。
ロバート・ダウニーJr主演の「シャーロック・ホームズ」シリーズや
「コードネーム U.N.C.L.E」なんかで有名ですが、
彼が注目を集めたのは「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」。
ロンドンのダウンタウンを舞台にした犯罪群像劇で、
独特の映像表現も含めて当時の映画ファンの間で話題になりまして。
その後ハリウッドに進出して監督したのが「スナッチ」。
当時ブレイク直後だったブラッド・ピットが参加してこれもヒットするんですよ。
その後、私生活ではマドンナと結婚するんですけど、この時期一気に低迷。
彼女を主演にした「スウェプト・アウェイ」は公開当時派手に叩かれた。
で、離婚後いくつかの作品を撮った後に「シャーロック・ホームズ」で完全復活。
いまに至る、って感じです。

リッチー監督の作風は基本的に一緒。一言で言えば、
本作の宣伝文句「スラムのガキから、王になれ!」を文字って、

「スラムのガキが、メガホンを取る!」

って感じですね。
階級社会のイギリスの底辺にいる男たちが
ストリートで培った知恵と腕力で下剋上を果たしていく姿を描くんですね。
(そういう本人は、実はいいとこの出なんですけどねw)
近作の「ホームズ」も「U.N.C.L.E.」も、
主人公はそういう素性にしているんですよ。
そしてその姿を、スローモーションやコマ落としなど、
デジタル編集を駆使した独特の映像美で見せる、のが特徴的です。



(続く)





※ガイ・リッチー監督といえばまずはこれ。

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ [SPE BEST] [Blu-ray]/ジェイソン・ステイサム

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スナッチ [Blu-ray]/デニス・ファリーナ

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どうも、はちごろうです。



映画「怪物はささやく」の感想。続きです。





心の闇をふさぐと、怒りが醸成される



さて、4月から日曜の夜中に「真夜中」って番組が放送されてて。
リリー・フランキーさんとHKTの指原さんが
銀座の高級クラブでホステスさんたちとトークしてるだけの番組なんですが、
この番組のオープニングにあるエピソードがテロップで出てくるんですね。
第二次大戦中のドイツでナチスの検閲から逃れたレジスタンスが
深夜に地下に集まって好きな創作を印刷したとかどうとか。
その連中は自らを「真夜中社」と呼んだ、とか。
本作の主人公のコナー少年も、深夜まで起きて空想の世界に耽溺してるんですね。

彼の空想の世界は「12:07」という時間がカギになってるんです。
最初に樹の巨人が現れたのは深夜12時7分。
現れた巨人はコナーに3つの物語を聞かせると宣言するわけです。
そして翌日の深夜、部屋のデジタル時計が「12:07」になった瞬間、
実際に樹の巨人が現れて第一の物語を伝えるわけです。
ところが、コナーの現実は徐々に彼にとって悪い方向に向かっていくんですね。
母親の病も悪くなる一方で、自分はそりの合わない祖母と暮らすことになる。
学校でのいじめも続き、一時帰国した父親も自分を引き取るつもりはない。
すると、次第に彼はこの「12:07」という時間が待てなくなってくる。
それだけでなく、その鬱屈した感情から破壊衝動に囚われていくんですよ。
そしてついに決定的な事態を引き起こしてしまうんです。
自らの欲求が押さえつけられた者たちがそれに耐えきれず、
次第に闇に囚われていくこの過程、実に説得力があるんですよ。



人は自己の中の「矛盾」を知って大人になる



さて、主人公の少年コナーが深夜に出会う怪物。
それは教会の墓地に植わってるイチイの樹なんですね。
樹が根っこのところから立ち上がって彼の元にやってくる。
そして3つの物語を語り聞かせてくるんですが、
もう、この登場のシーンから実はコナーの心の闇との闘いが始まってるんですよ。
語られる3つの話は全て共通するテーマが存在してるんですね。
最初の物語は父親である国王が死に、その原因を継母と思い込んだ王子の物語。
次は調合師、平たく言えば薬屋ですね、薬草を調合して売って歩くような。
そんな彼をいかがわしい存在だと追放した神父が、
病に倒れた娘のために彼の元に助けを乞う物語。
そして最後は存在を認められたいと願った透明人間の物語。
3つに共通するのは、「人間は、人生は矛盾したものである」というもの。

そしてそれこそが少年の抱えている「闇」というか、
正確には「悪意」の根本になってるわけです。
コナー少年がその心の中の真っ黒い部分と向き合い、認める瞬間は、
実に悲しく、とてもつらいんだけど、でも誰も否定できない、
彼を責めることが出来ない「悪」なんですよ。




2016年の私の映画ベストテンの中で、
「ポスト・トゥルース」というテーマが目立ったと話しました。
ひとつの事象に対していろんな人がそれぞれの物語を紡ぎ出し、
それをそれぞれの「真実」としてしまうという話ですね。
本作はまさにそのことをテーマにしてるんですよ。
社会の常識や理性といったものの上で成り立つ「真実」だけでは成り立たない、
善と同時に悪も抱える人間の矛盾から生まれる物語の話だったなと。
そういった点でも、本作はいまの私の思ってることに近いというか、
心の琴線に触れてくる作品でした。



[2017年6月10日 TOHOシネマズ みゆき座]




※子どもと怪物のファンタジーといえば

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どうも、はちごろうです。


昨日今日と、世間はいろいろと大変ですねぇ。
まぁ、多くの人が大変だなぁと感じるようになるのは
おそらく数か月から数年後のことになるんでしょうが。
さて、映画の話。



「怪物はささやく」











スペインのアカデミー賞ことゴヤ賞9部門受賞のダークファンタジー。
死の床にいる母と暮らす少年の元に怪物が現れる。
監督は「永遠のこどもたち」「インポッシブル」のJ・A・バヨナ。

あらすじ

難治性の病で死の床にいる母親と暮らす13歳の少年コナー。
父親は離婚して現在アメリカに住み、母方の祖母とはそりが合わない。
学校ではいじめられ、その鬱屈した思いを空想の世界にぶつけていた。
そんな彼は毎夜同じ悪夢にうなされていた。
それは家の裏窓から見える教会の墓地の地面が崩れ、
そこに落ちていく母親を助けようとする自分の姿だった。
ある晩、深夜12時7分。教会の墓地に立つイチイの樹が怪物の姿になり、
そのままコナーの元に現れ、こう告げる。

「これから真実の物語を3つ、3晩に分けてお前に語ろう。
 そして4つ目の物語はお前の隠している真実を語るのだ」


コナーは自分に課せられた4つめの物語を語ることを拒否したが、
怪物は深夜12時7分になると彼の元に現れ、物語を聞かせるのだった。



空想が人にもたらす効果について



監督は「ジュラシック・ワールド」の続編の監督に決まってるJ・A・バヨナ。
過去作は「永遠のこどもたち」や「インポッシブル」。私は両方とも未見で。
「インポッシブル」はスマトラ島地震の津波に巻き込まれ、
離れ離れになった一家の物語で、公開時ちょっと話題になった。
いわゆる3・11からまだ数年という時期の公開だったので。
で、「永遠のこどもたち」は舞台が孤児院のようで、
バヨナ監督は辛い境遇を経て成長する子供の話が好きなのかな?と。

で、本作は死にゆく母親と二人暮らしの少年の話なんですが、
彼は幼い頃から空想が好きで、授業中でも落書きに夢中な子供なんですね。
空想や物語の世界に耽溺する人というのは、
傍から見ればただの夢見がちな、現実から逃避してる人と見られがちですが、
いわゆるファンタジーというのは現実を映す鏡でもあって、
心の中にある鬱屈した、でもそのまま出すと都合の悪い思想や思いを
物語の形で表現することでその心の闇を晴らしてきたわけです。
本作はそんな「物語の効能」を描いた作品でもあります。



(続く)




※とりあえずJ・A・バヨナ監督の作品を

永遠のこどもたち [DVD]/マベル・リベラ

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インポッシブル [DVD]/サミュエル・ジョスリン

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