どうも、はちごろうです。


昨年暮れ、親父が仕事場で使っていたMDラジカセが壊れる。
CD部分が使えなくなってしまったらしい。


親父は演芸ファンなのでラジオの演芸番組をMDに録音して、
仕事中に保存したやつを聴いているのだが、
一昨年ソニーがMDの生産を終了。
MD再生機は家電量販店から急速に消えた。
したがって今使っているMDラジカセが壊れると
換えの商品がないため非常に困るわけである。
というわけで、MDラジカセに代わるものを探しに
正月休みに家電量販店を廻ってみたのだが、
結果は惨憺たるものだった。


まず、MDに代わる手頃な記録媒体がない。
実はMDというメディアは非常に使い勝手が良かった。
カセットテープのように温度変化に弱くて
気が付くと音が劣化していたなんてことはあまりなく、
CDのように音の劣化は少ない割に
CDよりも小型で場所を取らない。
音質にこだわらなければ1枚で最長5時間20分録音できるし、
そして録音した素材にチャプターを点けることが出来る。
したがって、MDは音楽好きにとって、というよりは
ラジオリスナーにとってベストなメディアだったのである。


だが、この10年でiPodや携帯・スマホで音楽を聴くことが主流になり、
音声ファイルをもはや自前のハードディスクですらなく、
ネット上に保存するようになってきた結果、
いつの間にかネットとパソコンなしでは音楽が聴けない世の中に
僕らは突入してしまっていたのである。


その結果どうなったかというと、
まずラジカセから録音機能というものが減っている。
CDラジオというものが結構増えたし、
タイマー機能はあるがそれは電源のオンオフだけで、
タイマー録音という機能もかなり減っている。
その代わり増えたのがiPodの接続機能。
iPodを接続して中の音楽を聴けるように出来る端子がある。
つまり、世界中の大半のオーディオ機器は
みんなiPod用のドックスピーカーになり下がったのである。


確かにラジカセの中にはSDカードに録音出来たり、
携帯音楽プレーヤーを接続するための
USB端子がついているものもある。
だが、SDカードで音声ファイルを保存するのには致命的な欠点がある。
それは「カードを何かの機械に接続しないと
何が中に録音されているのかわからない」というものである。
今ではデジカメに使うような数cm角のSDカードに
数百時間録音できるようになったけれど、
膨大に録音・保存できるからこそ管理が難しくなる、という盲点がある。


音楽は何も若い世代だけのものではないし、
誰もがパソコンを使えるわけではない。
オーディオ機器メーカーはそうした高齢のユーザーを
全く念頭に置いていない、もしくは意図的に無視していると思う。


高齢者にも使える音楽機器の普及を願うばかりである。