どうも、はちごろうです。


我が家は自営業をしている関係上、
平日は家族全員で食卓を囲むことがない。
よって、日曜の夕食だけは家族揃って食事をしている。
しかし、たまに家族の誰かひとりが出かける場合があれば、
その日は各自バラバラで食事をとることになる。


実はこのたまに生じる「家族バラバラで夕食」の日。
これは何よりも貴重なのである。
先述したとおり、自営業者なので食事はたいてい家で済ませる。
しかも小さい頃から休みの日でも外食をする習慣がなかったので
この年になっても近所の飲食店の味をほとんど知らないのである。
これは良いようで、悪い。
なぜなら、飲食店の良し悪しがわからないということは、
食事会や飲み会を開くための場所を知らないということであり、
結果的に交友関係を狭くしてしまうのである。


このことに関しては常々思うところもあるけれど、
それは別の機会にまとめて書くとして。


さて、閑話休題。
普段から家でばかり食事を済ませているということは
金銭的に安上がりだとか確かにいい面もあるが、
誰かを食事に誘う場所がさっぱり身につかないだけでなく、
そもそも自分がどんな味が食べられるのか?という
味覚の多様性を学ぶ機会を逸している、という悪い面もある。
東京は国際的にも珍しい、世界中の料理が味わえる都市。
しかも本場に近い味、下手すれば本場以上に美味しい料理が食べられる。
それを楽しまない手はないだろうと、私は常々考えていたのである。


で、先日の日曜日。
親父が今シーズン初の忘年会に出席するということで、
その「家族バラバラで食事」の日となったことを機に、
いままできちんと食べていなかった料理に挑戦しようと思い立った。
でまぁ、手始めに思いついたのが代表的なタイ料理トムヤムクン。
以前、何度かトムヤムクン味のラーメンなどを味わったことはあるが
本格的なトムヤムクン自体食べたことがないので、
今回の初挑戦と相成ったわけです。


場所は新宿。新宿ピカデリー隣の伊勢丹会館にあるお店。
夕方6時過ぎ頃、エレベーターで上がって店に着く。
店の前には食品サンプルが展示されており、
目当てのトムヤムクンを探す。
さすがにトムヤムクン、展示している料理のなかで一番高い。
とはいえ怯むわけにはいかないので入店。
店内は男性客はおろか、家族連れもほとんどいなくて、
大半が20代から40代の女性グループだった。


とりあえずトムヤムクンと、焼きビーフンを注文。
料理が出されるまでの間、店内をもう一度ざっと眺める。
やはり男性客の姿はほとんど見受けられない。
その理由をしばし考えていると、お目当てのトムヤムクン登場。
明らかにアジア人と思しき女性が運んできたのだが、
その店員さんは小さなコンロに仕込まれた固形燃料に火を点け、
その上にトムヤムクンが入った容器を置いていった。
驚いたのは容器の小ささである。
トムヤムクンは様々な香辛料が入ったスープで
具材はエビとフクロダケ、そして薬味に香菜が少々。
それが、例えるならカップめんの容器を
容量を変えずに縦に伸ばしたくらいの
小さなつぼに入って出てきたのである。
「こんなもんなのか・・・」という少々がっかりした気持ちと、
「それであの値段か!」という少々のいらだち。
とはいえ、注文したものは仕方がない。
早速食べてみることにした。


一口入れてみると、確かに面白い味だった。
簡単に言うと「辛酸っぱい」。
酸味ベースで辛さが混じっているといった感じ。
何口も食べながら、いろんなことを想像した。
確かにタイは暑い国だし、暑いときに酸味や辛味は暑気払いに効果的。
となるとタイ料理の基本が酸味というのも理解できるし、
暑さで食べ物が傷みやすいからだろうか、
香味野菜やスパイスを多用するのもなんとなくうなずける。
となると、基本的に味は甘いか辛いかの二択になりがちな
男や子供の味覚ではタイ料理の酸味や苦みは
やはり敬遠されがちなのではないかと感じました。


トムヤムクンをあらかた食べ終わったころ
やっと焼きビーフンがやってくる。
個人的には市販されている細い細いビーフンを想像していたら、
意外や意外、結構太いビーフンが出てきた。
しかも軽くとろみが付いている感じ。
そして皿の横にはレモンが一切れ添えてあり、
つまりそれを絞ってめしあがれ、ってことらしい。
「やはりタイ料理は酸っぱいのが基本なのだな」と思いつつ、
レモンを思いっきり絞って一気に平らげました。


トムヤムクンと焼きビーフン、2品も頼んでしまったが
結果的にはいろいろと考えさせられて大収穫でした。
さて、次は何を食べに行こうか。
とりあえず近いうちに一人焼肉はやってみたいのだが。