どうも、はちごろうです。


昨日、映画の感想の前のまくらで
タイ料理を食べた話を書いたんですが、
今日このブログを読んだ知人と話をすると
本題の映画の感想よりもタイ料理の話の方が
食いつきがいいのはどういうことなんでしょうか?
映画の感想よりも身辺雑記の方がいいんでしょうかね?
確かにいつもいつも無駄に長いですもんねぇ。
さて、一切構わず今回も長々と映画の話。




「悪の法則」











ブラッド・ピット、キャメロン・ディアスなど豪華スター共演の犯罪ドラマ。
監督は「プロメテウス」のリドリー・スコット。
脚本はピュリッツァー賞受賞の作家コーマック・マッカーシー。
テキサス州の国境近くの町で弁護士をしている男(カウンセラー)。
彼は恋人ローラとの結婚を決め、幸せの絶頂にいた。
そんな彼は友人のライナーと新たなビジネスを始める。
だがそれはメキシコの麻薬カルテルとの商売だった。
その仕事にはブローカーのウェストリーも噛んでいたが、
彼は取引相手の残忍さについてカウンセラーに語るのだった。
だがカウンセラーの雇った運び屋が何者かに殺され、
重要な荷物が持ち逃げされてしまい、彼らは窮地に陥るのだった。




作品から漂う「金の匂い」



豪華スターと大物監督が集結した犯罪ドラマ。
主演のカウンセラーにマイケル・ファスベンダー。
彼は昨年「SHAME」でセックス依存症の男性を熱演し、
いまハリウッドでもっとも美しい男性とも言われる注目の俳優のひとり。
彼のパートナーのライナーにはスペインの名優ハビエル・バルデム。
オスカーを受賞した「ノーカントリー」での殺し屋役は絶品。
ブローカーのウェストリー役にはおなじみブラッド・ピット。
そして女優陣にはライナーの愛人役にキャメロン・ディアス。
カウンセラーの恋人ローラにはペネロペ・クルスと、
実力派の美男美女が勢ぞろい。
そして監督は「エイリアン」の巨匠リドリー・スコットと、
もうビッグネームがそろい踏みなわけですわ。
で、作品自体も弁護士や麻薬ブローカーなど
登場人物は金銭的に裕福な人物ばかりだから、
彼らが着ている衣装や住んでる家の調度品なども
一見して「金がかかってるなぁ・・・」とわかるものばかり。
とにかく金の匂いが漂ってくるような見た目の作品ですね。




人間の不可解さと残虐性を描く作家、マッカーシー



脚本はピュリッツァー賞受賞作家のコーマック・マッカーシー。
私は彼の作品を読んだことはないのですが、
唯一知ってる作品は「血と暴力の国」。
オスカー受賞作「ノーカントリー」はその作品が原作。
アメリカ西部のメキシコとの国境近くで麻薬取引を目撃した男が、
麻薬と金を持ち逃げしたことで冷酷な殺し屋に狙われる話でしたが、
彼の作品の特徴というか、彼が興味を持っているのは
人間の不条理と残虐性といったところでしょうか。
理性や倫理を超越した人間の不合理な暴力を描き、
人間という生き物自体が非常に不可解なものであるということを
語ろうとしている作家さんというイメージがあります。




で、結局どういう話だったの?



で、本作もマッカーシーらしい世界観で、
登場人物たちが一見すると何の関係もない会話を
延々と繰り広げていくんですね。
もちろん後でその会話の中身が話に関係してくるんですが、
人間の不可解さを表現しようとすることに躍起になっていて、
肝心の物語を語ろうという意欲がほぼないんですね。
彼らの会話を聞いていても、
例えば彼ら3人がどんなビジネスをしようとしていたのか、
主人公はなぜそんな危ない橋を渡ろうとしたのか、
彼らを出し抜いた真犯人は彼らから奪った荷物で
どうやって金をせしめたのかとかが、
彼らの会話を聞いていても全く頭の中に入ってこない。
にもかかわらず、登場人物たちの意味ありげな会話のシーンと、
麻薬カルテルの残虐すぎる報復の場面に終始していて、
結局どんな話だったのかさっぱりわかりませんでした。


とはいえ、役者たちの魅力と監督のテクニックで
最後まで観続けることはできるんです。
少なくとも「映画を観た」という気にはなる。
でもインテリ作家の吹かしに付き合わされたような、
一杯喰わされた気分になったことは確かですね。
ま、時間とお金に余裕のある人だけ、
覚悟して観てください、といった感じでしょうか。



[2013年11月17日 TOHOシネマズ 日劇 1番スクリーン]