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逸翁美術館にて、『雅美と超俗―琳派と文人画派―]』展。

江戸時代に活躍した俵屋宗達、本阿弥光悦、尾形光琳・乾山兄弟に代表され、のちに酒井抱一や鈴木其一に受け継がれてゆく琳派。
私は、今自分が知りうる日本の古美術の中で、琳派が醸し出すシャープさに最も心を動かされる。
掛け軸から扇子、茶碗まで、粋とユーモアをふんだんに、それでいてさりげなく取り入れる彼ら。
誰のどの作品をとっても、その現代にも通じるセンスには目を見張るものがある。

琳派の精密な作品とは対照的なのが、与謝蕪村や池大雅ら文人画派のほんわかとした文人画。
文人画派とは、書や歌など他の道も究めた人々が絵筆を取った一派で、蕪村といえば俳人でもある。
中には、田能村竹田(たのむらちくでん)など繊細な小品を得意とする画家もいたけれども、
やっぱり蕪村の癒し系文人画には圧倒される。
蕪村の手にかかると、中国の神様や高名な文人でも、なんだかかわいいおじいちゃんにしか見えない。
掛け軸の前に立っていると、ふいにぷっと吹き出しそうになる。
あー、一枚自分の部屋に飾りたいものだわ。

それと、なにがいいって、この美術館。
住宅街の中にひっそりと佇むここは、阪急東宝グループの創始者・小林一三氏の別荘だった建物。
だから一般的な美術館ほどの規模はないけども、洗練されたコレクションが、気持ちよさそうに並ぶ。
見てるほうも気持ちがいいです。

ここなら今からでも隠居したい、かな。