last(そろそろ寒々しい景色)

『アデュー、ぼくたちの入江』という映画のタイトルを、ふと思い出した。
アデュー、今季のスクールは今日で終わり。
最終日だというのに、朝から浜には風が吹かない。
晴れたのはええんやけど、風が吹かない。
そうして、小1時間、浜辺で風が出るのを待った。
太陽だけはじりじりと、黒いウェットスーツの上から照りつける。
暑くて仕方ないので、スーツの首まで海につかり、涼んだ。
頼むから、最後の日だから風よ吹け。

じっと耐えて待っていると、しだいに微風が吹き始めた。
敏感になっているから、ちょっと風が頬をなでただけで、反応する。
「もう(海に)出ていいですか」
N氏にOKをもらい、走り出す。
今日は最後、速くてなくてもいい、下手っぴでもいいから、楽しく走るんだ。
ずっと、それだけを考えていた。
たぶん風は2メートルくらいしか吹いてなかったと思うけども、今日はいつになくリラックスできて、
縦横無尽に浜を行き来した。
以前N氏がスクール時間後に教えてくれた、風への体の任せ方。
柵の手すりにぶら下がるような感覚を、今日はすんなりと思い出すことができた。
やっぱりうまくなりたいな。
また、必ず春には来よう。
N氏にもまた教えてもらおう。
さよなら。

shell
石の下にも3年。
貝殻に石を取り込もうとしていたらしく、くっついてます。
貝の住人はもういなかったけど、このままテナントを探して、残っててほしかった。