家族が進行性の病気だ。

ちょうど発覚して1年経つ。

残念ながら、着々と進行している。

日常の動きはこなせるものの

この人が一人で生きていくことは出来ないだろう。

悲しいのはそれが人となりを変えてしまったことだ。

目の前のことをホロホロと、スルスルと忘れていく。

忘れたことを忘れてしまう。

言ったことを言ってくれなかったことに

やったことをやってくれなかったことに

気がかりは気がかりのまま、ぐるぐると頭の中を繰り返されるようだ。

私も辛いが当人はもっと辛いのかもしれない。

 

色々学んでいるつもりで

優等生の対応を心がけてきたけれど

今日は心が頭についていかなかった。

沢山泣いた。

 

この人はこんな人じゃない。

何でこんな病気が存在するのだろう。

時間を戻して欲しい。

 

9年前、私は大事なものを大方失った。

病名があるので病気と言えば病気だが

欠損といったほうがしっくり来る。

日常生活を継続できるよう対処に奔走し、

絶対負けるなと自分を鼓舞しつつ

他と比較しがたいこの状況を一体どう受け止めたらよいのか、

世界一の乗降者数の駅の雑踏を眺めよく考えた。

この人ごみの中、私と同じ欠損を持つ人は居合わせていないように見える。

けれどもこの中で一番不幸なのは私では無いだろう。

やや乱暴な発想だけれど、そのように言い含め自分の心に落としどころをつけた。

あの時も、思い返せば大変だったのかもしれないけれど

今、同じように考えても同じような慰めにはならないだろう。

 

私は驚くほど未来を考えてこなかった人間だ。

将来に期待をしていない反面、

人が思うほど年限にとらわれていなかったせいだと思う。

ただ、こういう状況が目前に現れると

否応なしに考えは改めなければならないと切に感じる。

家族にとっても私にとっても

失うものは極力少なくて済みますように…