福島第二原発の事故の後、原子力発電はなくすべきだという意見が多くのマスコミから出ています。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを、原子力発電の代わりにすべきと主張する意見もあります。

 

しかし、再生可能エネルギーが原子力発電の代替エネルギーになるのはおそらく無理です。それは、原子力発電がベース電源だったからです。

 

電気の使用量は、昼と夜では大きく差があり、特に夏の場合には昼の使用量は夜の2倍以上にもなります。電気は貯めることができませんので、電気の使用量に応じて発電所を運転したり止めたりしています。

 

安定的に電力供給するために、電源は「ピーク電源」「ミドル電源」「ベース電源」の3つに分けられます。

 

1日のうち、電力需要が大きな時間帯に合わせて発電するのが、ピーク電源です。ピーク電源で代表的なものが揚水発電です。小規模でボイラー出力の調整が容易な火力発電も、ピーク電源となっています。

 

ベース電源とは、年間を通して一定以上の電気を安定的に供給する電源のことです。季節によって、また1日を通して発電量の変動があまりなく、発電コストが低い電源である必要があります。ベース電源は、水力発電と原子力発電が担っていました。

 

 

ミドル電源は、ベース電源とピーク電源の中間的な役割を果たす電源で、主に火力発電がこれに該当します。

 

太陽光発電は昼間しか発電できず、晴れているかどうかによっても発電量が変わってきます。風力発電は風の強さによって発電量が変わってきます。発電量が安定していないので、ともにベース電源の役割を担うことはできません。

 

水力発電も再生可能エネルギーですが、大規模なものは山中の広大な範囲を水没させることになり自然環境も破壊することから、日本では大型施設の増設は難しい状況です。水力発電には、河川など平坦な流水に設置する自流式や、用水路やビルの配管などわずかな水量を利用するマイクロ水力がありますが、ともに発電量は少ないです。

 

これらのことから、再生可能エネルギーを原子力発電の代替にするのは無理だということが理解できると思います。

 

また、太陽光発電や風力発電は、ピーク電源とすることもできません。前述のように、ピーク電源は電力需要がピークになる時に合わせて発電しなければなりません。太陽光発電は日射量に発電量が左右されますし、風力発電は風の強さに左右され、どちらも需要に合わせて発電量を供給することはできません。

 

再生可能エネルギーの発電効率が上がり、コスト面で他の発電と同等以下になれば有用となりますが、現時点では、まだまだ扱うのがやっかいなエネルギーだと思います。


(関連する記事)
○再生可能エネルギーを増やすと使用者側の負担が増大する


こちらをクリックしてください!