恋色な日々は突然に:1 (吉祥寺恋色:Short:佐東一護) | ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
吉恋一護 誓い大和 怪盗流輝 スイルム英介 お気に入り
日々の出来事など。

***************************


・過去記事 引越し分


誓い大和先生とのコラボ。


***************************


鴻上…大和。


カツカツと音をたて黒板のど真ん中に書かれた名前を心の中で読む。


「よろしく。」


パンパンと手に着いたチョークを払い教台に手を付けニヤッと笑った新米教師。


「短い間だけどこのクラスを担当することになった。質問があれば遠慮なくどうぞ。」


産休で休みをとった担任の代りに臨時で来た教師 そいつは想像していた風貌とかけ離れていた。


誰だよ、じじいだなんて言ってたヤツ。俺らのちょい上くらいじゃねぇの…。


「先生~、何歳?」


遠慮のないクラスメイトが手を挙げ早速に聞く。


「26。」


「若~い!」


いや、歳相応だろ。


「先生は何を教えてくれるの?」


「物理。担任になったからには、このクラスから赤点の奴をだすわけにはいかない。」


そう言いながら俺ら全員をゆっくりと見渡す。


「そこはビシビシやらせてもらうから。」


「ブッ…。」


思わず吹き出しそうになる。


無理無理、このクラスに物理赤点何人いると思ってんだよ。


「期末まで時間がない。お前らの頭の中に方程式を叩きいれてやるからぁ~」


そう言って首を傾げ


「覚悟しとけよ。」


「ブ…」


自信満々な態度に笑いが堪えられない。


あぁ~残念、ムリ無理ムリ、絶対無理。


なんて窓際一番後ろの席で腕と足を組み 鼻で笑っていたんだけど


「かっこいいぃ~…。」


「は。」


その声にチラッと視線を向けたら 遠慮なく手を挙げた女が呟いていた。


かっこいい??…まぁ…ダサい奴ではないとは思うけど


「かっこいいね…。」


「すっごいイケてる…。」


えぇ??そんなにか?


クラスのあちこちで小さなピンク色の悲鳴が聞こえた。


気付けば女のほとんどの瞳はハート型で。


コソコソクスクス


隣どおしで顔を見合わせながら甘い視線をあいつに向ける。


はぁ?どこにでもいるだろ、こんなヤツ。


ケチを付けたくなる。それは同じ男としての僻み?いやいや、実際大したことねぇし…


「フン…。」


まぁそんなことどうでも良かったんだけど


「…。」


チラッと…二列向こうの幼なじみに視線を向けた。


まさか***はそんなこと思ってないよなって…けれど


「かっこいいよね…。」


えぇ???


隣の連れとコソコソと笑うあいつの横顔はまさにピンクで。


その恥ずかしそうな微笑みを視界に入れた途端 出会ったばかりの目の前の男が憎たらしくなる。


「チッ…。」


舌打ちしながら睨んでしまったのはやっぱり僻みなのか。


・・・・


10年ぶりに再会した幼なじみに一瞬で恋に落ちた。


あいつを独り占めしたいなんて気持ちは日に日に募る。


近いけど遠い存在 そんなじれったい距離をどうにかしたいのに口から出る言葉はあいつを貶す汚いものばかりで


いつまで経っても意地悪な俺。素直になれないでいた。


「早速だけどこれから小テストする。点数低い奴は一対一で教えてやるから。」


エェ~!!というドスの利いた声とキャァなんて甘い悲鳴が同時に湧く。


そして俺は鴻上の笑みに完全に頬が引きつった。


「とりあえずお前らの実力を教えて。」


手元に届いた問題にサッと目を通すとこれこそ基礎の基礎、頬杖を付きながらでも解ける問題ばかりだった。


こいつは本気で俺らのレベルが知りたいらしい。基礎の方程式を知っていないとどの問題も解けやしない…。


「はい。始め。」


だけどため息がでて仕方なかった。


「ハァ…」


これ、絶対あいつ解けないわ…。


物理はいつも赤点の幼なじみ。


鴻上とあいつの一対一の個人授業…考えただけで頭痛がした。



next

**************************