ツラン民族分布地図 | akazukinのブログ

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「日本史のいわゆる「非常時」における「抵抗の精神」とは真理追求の精神、科学的精神に他ならない」野々村一雄(満鉄調査部員)

【資料】

ツラン民族分布地図

昭和八年(1933)六月
北川鹿蔵著
日本ツラン協会発行


akazukinのブログ-ツラン民族分布図

(前略)


ツラン民族は、別名ウラル・アルタイ民族とも云ひ、その言語は膠着語である。(二三の例外あり)現在の人口総数は約二億五千万人に及ぶ。性情は、勇敢にして情に厚く、知能秀いで、祖先を崇拝し、正義心強き道義民族である。その偉大なる歴史は、同族の誇りとするところであるが、なほ世界史殊に東洋史に就いては、ツラニズムの観点より、一般の誤れる認識を是正し、再検討すべき点、多々あるを確信する。而してツラン民族中現に完全なる独立国家をなすものは、日本、満州、土耳古(トルコ)、ハンガリヤ、ブルガリヤ、エストニヤ、フィンランドの七カ国に過ぎない。なほ、スラブ民族のソヴィエート政権下に独立の共和国を形造る者に(1)高架索(コーカサス)のアゼルバイジャン、(2)中亜のウズベク、(3)タヂック、(4)トルコマン(以上、土耳古族)があり、同じく自治共和国をなす者に西伯利(シベリア)のヤクート外十一カ国があり、また、オイラート外四つの自治州がある。


外蒙古は形式的には、中華民国の主権下にあるが、実質はソヴエートロシアの権力下にある独立国である。

また内蒙古の察哈爾(チャハル)、綏遠(すいえん=フフホト)、及び寧夏(ねいか)、青海における蒙古人。北支那殊に山東、直隷(河北)に於けるツングース系民族。及び、支那トルキスタン、支那本部内に於ける土耳古族。ルーマニヤ、チェコスロバキヤの政権下にあるハンガリヤ人。ソヴエートロシア内に於けるエストニヤ人、フィンランド人、サモエード人、オステヤーク人等の今後に於ける民族的自覚に伴ふあらゆる意味に於ける動向は、きわめて注目に値するものがある。


ツラン民族の分布する欧亜に跨る広大なる地域は、概ねツラン民族が太古の祖先より相継ぎ相伝へる郷土・祖国であって、また実に無尽蔵の富源を蔵する天賦の宝庫である。ツラン全民族は、今や真摯なる覚醒勃興の天運に際会しているが、同族親愛協力して、之が自力開発に任じ、ここに新時代の大陸文化を創建するは、誠に民族大理想の宿命的大業であり、また全人類の福祉と向上とに貢献する所以である。


(ツランとはペルシャのイラン高原に対称し、その北方、中央アジアの平原に附せられたる名称であるが、ウラルおよびアルタイ山脈の地域に発祥、分布する我同胞民族名称としても慣用さる。)


ツラン民族の周圍民族には、欧羅巴(ヨーロッパ)及びインドに亘るアーリア民族(印度・欧羅巴民族)及び東南アジアに占拠する西蔵ビルマ民族(コンロン系民族)の二大民族群がある。


前者は欧州人、ペルシャ人、印度人(ヒンヅ―人)等を主とし、屈折語(曲析語)を話し、後者は、所謂、漢人、苗族、安南人、シャム人等であって、孤立語(単綴語)を用ふるものである。而して、ツラン民族とこれ等二大民族群とは、共に人種及び言語の系統を全く異にする別箇の民族である。(1933年)


【注】

以上引用。


旧漢字は一部現代漢字に直した。

必要に応じて送り仮名を挿入した。

モンゴロイドはアメリカ大陸にも広がっているが、ここでは省略してあった。


ツラン平原は、この地図で行くと中央の青色部分である。