イランに行ってきます。 | 大野もとひろオフィシャルブログ Powered by Ameba

イランに行ってきます。

本6日から鳩山代議士のイラン訪問に同行することになった。昨日一日は、参議院の議院運営委員会において、政府と調整のできていない訪問などけしからんとして、野党が訪問許可を保留し、正直困っていたが、何とか渡航することになった。一議員として、交渉に臨むことになる。


議員外交には大きな意義があるが、ルールもあると思う。それはパフォーマンスになってはならず、国益に見合ったものにならなければいけない。つまり、いい成果は政府の外交に活かしてもらい、そうでない部分は議員本人が責任を負う覚悟が必要という意味である。また、イランという世界でも名うての交渉上手を相手にするのであるから、しっかりとした議員外交にしなければならない。小生は制裁下のイラクと3年間、激しくやり合ってきた経験を有しており、少しでもその知見がいかせればと考えている。


イランの核開発疑惑をめぐり緊張が高まる中、かりに対イラン武力行使等の最悪の事態となれば、その影響は大きい。我が国にとっての石油の確保や油価のみならず、イランの石油輸出が対アジアが主であることを見れば、アジア経済、ひいては我が国経済への影響もきわめて大きい。中東においては、武力行使による直接の不安定や命の問題にとどまらず、2007年のレバノン危機以上に反イスラエル感情が強まり、隣国にまで影響は波及しよう。我が国にとって最大の課題は「撃たせてはいけない」ということにある。


我が国は歴史的にイランと良好な関係、少なくとも対話のチャンネルは維持してきたが、最近ではイランとの対話の窓口は途切れがちで、中東における我が国のプレゼンスも弱まりつつある。危機の醸成を食い止めるための環境整備が必要であるが、国際社会が一致してイランに厳しい態度で臨む中、現在の状況下で政府が取り得る選択肢は少ない。


小生は、1月にカタルを訪問してハマド首長に対し我が国への安定的なガス供給を働きかけ、現地を引き出すことに成功した。中東向け船舶の再保険についても働きかけを継続しているが、やはり危機の中心にいるイランとイスラエルに対する働きかけが重要である。


このような認識に立てば、今回のイランに対する議員外交には、以下のような意義があると考えている。

① 元総理が行かれると言うことは、イランとしても相応の高いレベルの要人と話をさせると言うことを意味する。孤立化するイランに国際社会の声を正確に届けることが最も重要であると考える。

② 議員外交で、これだけ大変になっているイラン情勢が一気に好転することはあり得ない。しかしながら、国際的な枠組みに協調することがイランの利益にかなうところ、具体的な一歩を踏み出すよう促すべきと考えている。

③ イランと日本の伝統的な友好関係を想起させ、しかるべく後の二国間関係増進の礎とする。

④ 元総理がイランを訪問するというインパクトはあるはずで、イラン国民に「イランは忘れられているわけではない。先鋭化する必要はない」とのメッセージとする。もちろん、それがイランに必要以上に迎合的になり誤ったメッセージとなってはならないことは当然である。

⑤ 「撃たせてはならない」立場にある我が国の利益に鑑み、イラン問題の解決に少しでも資する様な環境整備につなげる。そのためには、イスラエルに対する働きかけも引き続き行う必要があろう。


かつて小生がイラクの大使館の次席を務めていたとき、自民党の久間元防衛庁長官がイラクを訪問され、小生もすべてのアレンジを仕切らせていただいた。当時のイラクは、現在のイランとは比較にならないほど厳しい制裁下に置かれていたが、石油利権等をめぐって各国が争うようにイラクと接触し、生真面目な我が国は蚊帳の外に置かれていた。立場上、米国や国連に全面的に協力しなければならないことは当然ながら、もしもサッダーム政権が生き残る場合、我が国はいかなる立場に置かれるのか、政権とは関係ないながらも、イラク国民はいい時にはすり寄り、厳しい時には近寄りもしない日本をどう見ているのか、正直不安であった。そのような中で、元閣僚という政府内ではなく、且つ高い地位のある方がイラクに来てくれたことには、正直感謝した。結果から言えば、久間さんの訪問は捨石となったが、外交的なマニューバーの余地を作ってくれた。


このような思いで、鳩山さんの訪問を可能な形で支援したいと考えている。


今日から1泊4日、またも弾丸トラベラーしてまいります。