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2016-05-03 23:40:22

サイバーセキュリティ:4月14日の内閣委員会のご報告その4

テーマ:政治
 4月14日の内閣委員会におけるサイバーセキュリティ基本法改正案についての質問報告の最終回です(http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/190/0058/19004140058010.pdf)。

 2014年9月、北大西洋条約機構(NATO)ウェールズ・サミット首脳宣言は、NATO加盟国に対する攻撃は、NATO憲章第5条、つまり集団的自衛権の適用だとしています。このNATOが第五条適用とする場合のサイバー攻撃の定義、および許容されるサイバー攻撃に対する集団的自衛権行使の範囲についての我が国の国際法上の解釈を外務省に尋ねました。
 すると黄川田政務官は、首脳宣言にサイバー攻撃の定義に関する記述はなく、サイバー攻撃が北大西洋条約第五条の援用に当たるか否かについての決定は、北大西洋理事会によりケース・バイ・ケースにて行われる旨記述されているとしたうえで、「サイバー攻撃と自衛権の関係におきましては、個別具体的な状況を踏まえて判断すべきものであり、一概に述べることは困難であると考えております。いずれにせよ、これまでサイバー攻撃に対して自衛権が行使された事例はなく、サイバー攻撃に対する自衛権行使の在り方については国際的にも様々な議論が行われている段階であるというふうに承知をしております。一般国際法上、ある国家が集団的自衛権を行使するための要件などもいろいろなところで申し上げておりますが、武力攻撃を受けた国からの要請又は同意があること、ほかに適当な手段がないこと、必要最小限の実力行使であることというふうに一般的に考えております。」と答弁しました。
 すでに当方が読んで指摘している首脳宣言を再度述べ、集団的自衛権の一般的な解釈を述べたにすぎず、これでは質問に対するなんの回答にもなっていません。

 そこで小生の方から、NATOに対してこれらのことを確認したのか、と質しました。すると外務政務官は、「聞いているということではなくて、このNATOウェールズ首脳宣言がございまして、そこの中からこういうことが読み取れるということでございます」と、ひどさにもほどがあると思わざるを得ない答弁でした。首脳宣言くらい、当然読んでから質問しているのですから、これでは答弁になり得ません。

 サイバー上では、PCからの攻撃という国家の関与を認定しにくく、且つ踏み台等を介することもあるため、意図せずに攻撃側の国になることもあり得ます。それにもかかわらず、NATOという世界最強の同盟が攻撃を行うと首脳会議で宣言しているのですから、その要件について相手側に確認することもなく宣言を読むだけで放置しておくのは、あまりに「無責任」です。小生はこのような強い懸念もあったために、実はNATO本部のあるベルギーまで行って問い合わせ、議論して来ていますが、政府は、日本が世界最強の同盟から攻撃を受けるかもしれなくとも照会すらしないで大きな顔をしています。

 そこで、政府が国の安全を守るのは当然であり、相手側に照会すべきではないかと問いただしました。
 すると、何を血迷ったのか外務政務官殿は、「このサイバー攻撃についてはいろんなものが想定されるわけでございまして、その様々なケースでどういうことができるかというのは、先ほども申し上げましたが、議論の最中でございますので、ここで申し上げることはできません」と大迷走となりました。

 「議論の最中で申し上げられない」のではなく、単に聞いていないだけの話ではなかったのかとの思いから、「もう一度確認します。聞いたんですか、聞かなかったんですか」とただしたところ、くだんの政務官殿からは、「聞いてはございませんが、国際的にこういう形で様々な議論がなされているという段階でございます」との答弁。その議論についても詳細は承知しておらず、首脳会議の宣言を知っているに過ぎないていたらくです。

 ここで質問の時間が終了となったので、小生の方から「サミットの首脳会議の最終宣言で、これ、採択された文章の中に入っています。だとすれば、これは確かに議論されているものでありますから、明確に文章として表れているものですから、聞くぐらいは当然じゃないんでしょうか。是非、最後、政務官、私もうこれで質問終わりますけれども、最後に、これから聞きますということは是非御対処いただきたいと思います」と述べたところ、さすがに「委員御指摘のとおり、確認いたします」との答弁をせざるを得なくなったのです。

 危機感ゼロの外務省が、我が国が攻撃を受けるかもしれないような問題について、相手側に照会すらしない怠慢は、決して見逃すことができないとの思いを強くし、今回の質問を終えました。当然のことながら、早急な本法の再度の改定が必要であり、そのための布石としての意味も含め、付帯決議を起案して付しておきました。

サイバーセキュリティ:4月14日の内閣委員会のご報告その1
http://ameblo.jp/oonomotohiro/entry-12156351708.html
サイバーセキュリティ:4月14日の内閣委員会のご報告その2
http://ameblo.jp/oonomotohiro/entry-12156405085.html
サイバーセキュリティ:4月14日の内閣委員会のご報告その3
http://ameblo.jp/oonomotohiro/entry-12156664158.html
参議院内閣委員会サイバーセキュリティ基本法改正案付帯決議
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/190/f063_041401.pdf
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2016-05-03 23:38:46

サイバーセキュリティ:4月14日の内閣委員会ご報告、その3

テーマ:政治
 第三回目となる、4月14日の内閣委員会におけるサイバーセキュリティ基本法改正案についての質問報告です(http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/190/0058/19004140058010a.html)。
 今回は、本改正においてNISCが監査を委託する先として、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のみが実質的に限定されている問題についてご報告いたします。改正案では、NISCが所掌する事務の内、独立行政法人や特殊法人、認可法人に対する監査業務を「IPAほかの独立法人」に委託することができるとされています。ところが、実際にはIPAへの委託のみが実質的に想定され、且つIPAの行い得る監査部分のみが監査のための基準として想定されているように思われるのです。
 結論から申し上げれば、サイバー攻撃の深刻さに鑑み、幅広く取るべき想定をIPAが対応できる部分のみに狭め、その上でIPAのみが監査を行えば十分と主張できるようにしていることが疑われます。他に監査を委託し得るであろう機関である国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)については、同機構の改正法が今国会にかけられているのに、委託を受けられるような改正がなされておらず、委託先の対象から実質的に外されています。つまり、政府主導のマッチポンプで、それ以外の事態が発生する場合には「想定外」として処理されかねない法改正なのです。

 まず小生より、法律内に例示されているIPA以外の想定される委託可能な法人組織はどこかと尋ねたところ、遠藤大臣は、「現時点ではIPAと同等の法人は存在しておらず、他の法人に委託することは考えておりません」と答弁しました。
 これに対して小生より、「例えば、総務省所管のNICTなどは、空きパケットを利用してサイバー上の悪意ある活動をモニターするNICTER」を保有してネットワーク・トラフィックのモニターを行えるはずだが、これらのモニターはどうするのかと質しました。
 すると、NISCが各府省等の情報システムのいわゆるインターネットの接続口にGSOCセンサーを設置して不正な通信等を監視をしているのと同様に、独立行政法人及び指定法人の情報システムのインターネット接続口に同様のセンサーを設置をし、IPAが不正な通信等を監視するとの回答がありました。事前の政府側の説明とは異なる答弁でしたが、いずれにせよ、独法のみならず行政機関や重要インフラ等を含めた我が国に対する攻撃をトラフィックとして把握し、その上で政府関係機関や独法を守るためには、go.jpドメイン以外をもモニターできる期間を絡める必要があるはずなのに、これでは対処に支障が出かねません。
 そこで、「今後対象となり得る組織の中には、国立女性教育会館、宇宙航空研究開発機構、大学評価・学位授与機構、高齢・障害・求職者雇用支援機構などはgo.jp」以外のドメインであり、DoS攻撃の跳ね返りを検知できるNICTERの能力なしでは、早期に違法なトラフィックを検知できないのではないかと質しました。
 これに対し政府側からは、「委員御指摘のように、NICTにおいてNICTERで得られた攻撃情報、その他脅威情報については、昨年の五月にNISCとNICTとの間でパートナーシップ協定を結んでおりまして、これに基づいて様々な情報共有を行っているところでございますので、引き続きNICTとの間でも連携を図ってまいりたいと考えております」との答弁がありました。要するに、NICTが最初に違法なトラフィックを検出する能力を持っているとしても、意地でもIPAにやらせたいというわけです。

 さらに小生より、「監査ということは、最初に基準を決めます。そうすると、この基準をIPAができることのみに定めて、それで監査をさせるのであれば、これはマッチポンプと一緒になる。ところが、これまでの質問で明らかになった通り、すでに想定できる「想定外」の部分が存在する。IPAの長所は認めるが、政府が一元的にコントロールできる体制を敷きつつも、その下の機関には、様々な長所があるところを使っていくというのが理想であるはずだ」と意見を述べました。そのうえで「実質的にIPAにしか委託を今想定していませんとおっしゃいましたけれども、実はもう既に想定できる脅威ありますから、やはりその外、例えばNICTもそうかもしれない、あるいは、質問しませんがJPCERT/CCなんかもそうかもしれませんけど、様々な機関を使えるような法律にするべきではないか」と質しました。これに対して遠藤大臣は、引き続き検討していきたいと答弁しました。

 さて、今回の法案改正と共に、IPA組織令は、監査の委託を受けられるように変更されています。ところが、IPA以外の委託先として想定し得るNICTについては、今国会にその組織令の改正が提出されているにもかかわらず、監査の委託を受けられるような変更が含まれていません。そこで小生は、「NICTの方も組織令変更するべきですよね。大臣、いかがですか」と問うたところ、大臣は「今回は提出しておりません」と、またしても回答にならない答弁でした。
 そこで改めて、「べきですよねと聞いているんですけれども、組織令、NICT側も変えるべきですよね」と質したところ、遠藤大臣は、とうとう「必要だと考えております」と明確に述べ、大臣として政府側の不作為もしくは瑕疵を認めるに至ったのです。
 これを受けて小生より、これは「政府にとって瑕疵ではないか」と質したところ、政府委員より、最初はIPA以外を想定していないので今回は改正を含めなかったとの答弁がありました。これでは納得できるはずもなく、さらに突っ込むと、改めてIPA以外の監査等の業務についての位置づけや性格の評価を行い、将来的にはそれ以外の委託先もあり得るとの答弁に変わってきたのです。この経緯については、以下に全文記しておきます。

○政府参考人(谷脇康彦君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘のNICT法の改正につきましては、サイバーセキュリティー関連の人材育成等の観点から法改正を行うものでございます。
 現時点におきましては、サイバーセキュリティ戦略本部の事務の一部を委託する先につきましてはIPAのみを想定をしております。将来的にNICTがその対象になり得るというふうに判断できた場合には、NICT法の所要の法改正も検討の視野に入ってくるものと理解しております。
○大野元裕君 また話戻します。
 先ほど申し上げた、IPAはそのとおり私はすばらしいと思っています。しかしながら、基準をIPAに合うように定めて監査させても仕方がないんです。想定はなるべく幅広く取ってやるのであれば、今回、しっかりと広げられるような可能性というのは置いておくべきだと。しかも、今回出ていなきゃいいんですよ。NICTの法律に関する改正が出ているんですから、そこは、しかも審議官、お立場は総務省じゃないですから、内閣官房としてお立ちになっていらっしゃいますから、そうだとすると、やはりこれは改正を、今国会出ているんですから、やるべきではなかったんですかと聞いているんです。
○政府参考人(谷脇康彦君) お答え申し上げます。
 NICTは、いわゆる研究開発法人ということでございます。したがいまして、監査等の業務を今後NICTにも委託をするということであれば、この独立行政法人としての位置付け、性格というものも含めて改めて評価をしていく必要があるというふうに考えております。
 ただ、今回、このサイバーセキュリティ基本法の改正法案におきまして、IPAはあくまで例示でございますので、将来的にはそれ以外の委託先はあり得るということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。
○大野元裕君 これ法律ですから、悪意のある攻撃者はこれ見ていて、ああ、想定はそれなのかというふうに思う可能性すらありますよ。これで万が一ここに攻撃があったときには、責任そちらですよ。そこは是非しっかりと御認識をいただいた上で、法律立ては分かっています、今後そういったことができることも分かりました、是非早急に御対処をいただきたいし、そこは政治主導で大臣にもお願いをしたいと思っています。


 質問時間も限られている上に、党として本法案には賛成を決めていることもあり、政府側の混乱にもかかわらず、今回はこの程度で議論を取りやめましたが、大臣すら認めたNICT法改正の必要性については、今後とも国会で取り上げると共に、最初から想定を狭めたうえで、監査の委託先を限定するという姑息な手法については改めさせる必要があると強く感じました。
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2016-05-03 08:36:42

サイバーセキュリティ:4月14日の内閣委員会ご報告、その2

テーマ:政治
4月14日の内閣委員会におけるサイバーセキュリティ基本法改正案についての質問(http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/190/0058/19004140058010a.html)、第二回目のご報告は、本法が規定する第三者機関に対する監査業務の委託についてです。今回の法律では、NISCが所掌する事務の内、独立行政法人や特殊法人、認可法人に対する監査業務を「IPAほかの独立法人」に委託することができることになっています(なぜか、委託する事務を担うはずのNISCが法律で規定されていないことは、第一回目のご報告の通りです)。
 このIPAによる他の独立法人等に対する監査が適切であるのか、また将来、省庁等の行政機関にまで監査の範囲が及ぶことはないのか、について国の安全保障という観点から質しました。印象としての結論から先に言えば、経済産業省所管のIPAへの業務委託を優先させるあまり、ネット上の自由な経済活動を推進する経済産業省の立場が優先され、安全保障へのリスクが過小評価されているように思われてならない答弁、政府のゆるみを反映した答弁となりました。

 最初に、防衛省の関連企業による情報漏えいが発生した場合の約定事項の存在等にみられるように、各省庁ごとにインシデント発生の対応は異なるが、かりにIPAがこれらの行政機関の監査業務を行うとすれば、これらの秘密事項や異なる特約事項の義務をそれぞれ履行するということができるかを質しました。これに対して遠藤大臣は、改正後の規定においても、委託する法人に行政機関への監査業務を行わせることは想定していないと答弁しました。当然のことです。しかし、実は衆議院の付帯決議において、行政機関への業務拡大が指摘されていたので、この言質を取りたかったのです。なお、法律が採決された後に付された参議院の付帯決議では、行政機関への業務拡大について慎重に対応することを盛り込みました。

 それならば独立行政法人に対しても、一様の対応でよいのかを質しました。防衛省所管の駐留軍労働者労務管理機構(LMO)は、在日米軍施設で働く駐留軍等労働者の雇入れ、提供、労務管理、給与及び福利厚生に関する業務を行っています。LMO自身は、米軍の作戦行動のような運用等についての情報を有していませんが、どの基地でいかなる職種をだれが行っているかについての情報を保有しています。かつてフェイスブック上で、某投稿者が米軍高官であることを特定され、大きな問題となったことがありました。どこでだれが勤務しているかについての個人情報は、米軍の保有する軍事上の機密に近い人物を特定したりできる等、日米同盟にも影響を与えかねません。そこで防衛政務官に対し、この法律では守秘義務が委託される独法に課せられるが、ほかの独法と同じような守秘義務条項でLMOに対する監査業務を担わせることが適切かを質しました。
 すると熊田政務官は、LMOの個人情報の漏えいがあってはならないとした上で、日本の法令及び基準等にのっとり万全を期しておるところだが、引き続きエルモにおける情報保全に万全を期するように努めたいと、ほぼ他人事のような木で鼻をくくったような答弁を行いました。
 このため小生より、「政務官、おっしゃっていることの意味分かりますか。」と再質問しました。LMOは米軍の運用情報等は持っていないものの、米軍の基地労働者、配置、その家族等の情報を一元的に管理しており、悪意のある攻撃者が、彼らの情報を把握し、在日米軍の活動や我が国の安全保障に影響が出るような事態が起こった際に、「防衛省としてあるいはLMOとして、いや、その情報は実は独法が監査していました、しかも、その監査を行っている守秘義務あるいは保秘に関する規定は、例えば年金を扱っているとか、ほかの政府の機関と全く同じでした、これで」良いのか、危機感が余りに欠如しているのではないか、と質したのです。
 これに対して政務官は、「様々なことを考えながら、またこれは引き続き検討していかなきゃならないことだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。」と回答するのが精いっぱいでした。

 次に警察庁に対し、サイバー・インシデントが発生した際に、警察庁が政府機関たるNISCと行ってきたような情報協力を、IPAのような独立法人との間でできるのかを質しました。というのも、このような場合の対処はサイバー上で全てが完結するわけでなく、属性や足跡、いわゆるアービトレーションやアトリビューションが重要で、この分野については警察が秀でている一方で、警察は刑事訴訟法の第四十七条で情報の提供の制約があるのです。この質問に対し、警察庁は、「刑事訴訟法第四十七条におきましては、訴訟に関する書類は公判の開廷前にはこれを公にしてはならないとされ、ただし書として、公益上の必要その他の事由があって相当と認められる場合はこの限りではないとされております。したがいまして、事案の解明及び同種事案の拡大防止に必要であると認められる場合には、このただし書の趣旨を踏まえまして、監査を委託された法人と捜査情報を共有することは十分に可能である」と答弁をしました。この手の協力が但し書きに基づき独法との間で行われるとの言質を取っただけで、今回は満足しました。

 この質疑を通じて明確になったのは、個別の場合の対処、特に安全保障の分野から機微な問題について、具体的な想定が甘いということでした。サイバー上の攻撃は、自由なネット上の活動を制約するのみならず、最悪の場合には国の安全保障に脅威を及ぼすことを想定し、細部についても想定すべきです。しかしながら、今回の法律も安全保障法制などと同様に想定が甘く、議席数さえあれば何でもできると考えているのか、政府のゆるみを象徴しているようでした。
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2016-05-03 00:51:16

サイバーセキュリティ:4月14日の内閣委員会における質疑ご報告

テーマ:政治
 4月14日、内閣委員会においてサイバーセキュリティ基本法改正案について質問に立たせていただき、議事録が公開されました(http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/190/0058/19004140058010a.html)。
テクニカルな部分もありますが、日本の将来に重要な分野でもあり、4回に分けて細かく報告させていただきます。第1回となる今回は、サイバーセキュリティ基本法が経済活動やネット上の自由に偏り、国の安全分野が希薄なことに鑑み、二年前にこの法律が成立した際の付則及び参議院の付帯決議で要求されたことについて政府が対応していないことについてです。

 最初に担当の遠藤大臣に対して、サイバーセキュリティ基本法でサイバーセキュリティ戦略本部が法制化され、その事務を担う内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が内閣官房組織令で規定されて、両者の権限強化がなされた評価を尋ねました。これに対し遠藤大臣は、「本部長による監督権等が規定されたことにより、従来の枠組みに比べ各省庁に対するサイバーセキュリティーに対する権限が強化をされました。昨年の年金機構の情報流出事案についても、厚生労働大臣に勧告を行ったところであります」と答弁しました。
 ところが、法律の附則第二条は、NISCを法令化ではなく、法制化により規定するよう求めていたのに、今回の改正ではこの法制化規定を削除し、法律で定めないままに放置されたのです。法制化により、年金機構における情報漏えいにも対処ができるようになったと評価しているのに、付則で要求されている事項を無視するのはおかしいと質しました。すると大臣は、政令で定めたと開き直りました。
 そこで小生から、①国会の意思として法制化が求められていること、②平成26年5月の情報セキュリティ政策会議でもNISCの法制化が承認されていること、③サイバーセキュリティ本部の法制化により、年金機構に関するサイバー攻撃による情報流出事案にも適切に対処できたと大臣自身が認めていること、を指摘したうえで、法律によりNISCを規定すべきではないのか、と質しました。また、上位のサイバーセキュリティ本部は法制化され、NISCが業務を委託する独法については今回の改正で法律により規定されるのに、その中間にあるNISCのみが法律で規定されないのはアンバランスであると指摘しました。
 これに対し大臣は、「附則第二条の中に、「情報セキュリティセンターの法制化を含む。」というふうな文言になっておりますが、この法制化には法律と政令と両方あると承知をしております。そこで、内閣法の第二十五条には「内閣官房の所掌事務を遂行するため必要な内部組織については、政令で定める。」と書いてありますので、そのような形で決めたということでありますので、アンバランスではない」とわけのわからない答弁を行ったのです。
 そこで小生より、付則二条には自民党を含めた与野党で賛成したものであり、NISCの権限を法律により規定するよう、改めて求めました。これに対し大臣からは、「引き続き検討していきたい」との答弁がありました。

 次に、サイバーセキュリティ基本法付帯決議で規定された、情報通信関連機器等の安全性に関する基準については防護対象の重要性の段階に応じたものにすることについて、政府は何を行ったのかと質しました。これに対して遠藤大臣は、①特に重要な情報を扱うシステムについてはインターネットから分離を求め、残るインターネットに接続するシステムについては業務のリスクに応じて優先順位を付した上で多重防御を図ることとしている、②政府全体としてインターネット接続口の集約化を図ることにより、監視や防御をより効果的、効率的にする取組を進めている、③重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第三次行動計画において、重要インフラサービスの持続的な提供のため、経営層がリスク源の評価及びそれに基づく優先順位を含む方針を決定する、④重要インフラとしての機能保証の考え方に立脚し、サイバー攻撃に対する体制強化を推進するため、平成二十八年度末を目途に行動計画を見直す、といった対策を行っているとの答弁がありました。
 これでは、重要インフラへの対策を除けば、運用もしくは今後の対策にとどまっており、付帯決議から2年間、誠実な対応がなされたとは考えられず、残念です。そこで質問を変えて、この「機器等の安全」について具体的に尋ねました。つまり、ハードウエア・トロージャン・ディテクションは国内技術で対処できないと理解するが、半導体のチップはの輸入が増えており、こういったチップの中に悪意のあるものが埋め込まれているといった懸念が高まっているところ、政府はいかなる対策を行っているのかと質しました。
 すると、さすがにこの質問は大臣では処理できずに政府参考人から、本年一月に閣議決定した第五期の科学技術基本計画において、ハードウエアの真正性を確認する技術等の開発およびその社会実装を推進することとしており、戦略的イノベーション創造プログラムの課題として研究開発を進めている、との答弁がありました。つまり、現時点では、安全性の基準を定める以前の段階であり、2年前に指摘した懸念は解決の緒についたにすぎません。

 次に、やはり付帯決議で指摘した防護対象の重要性の段階に応じた対応について、以前委員会で、韓国などでは、現実の世界で安全保障上の脅威が起きたときにはレッドアラートとかイエローアラートとか段階を設け、現実の世界に対応したサイバー上の危機対応を行っているが、政府は段階に応じた対応を検討してきたのか、と質しました。これに対しては、今後とも頑張ります的な、実質無回答でした。

 続けて、付帯決議で応急した「実効性のある帯域制御の在り方」について、平時における帯域制御の運用基準に関するガイドラインについては承知するものの、前提がサイバーセキュリティーであることに鑑み、有事の際のISP側での帯域制御についてはどんな検討を行い、いかなる措置を施したか、と質しました。すると、わざわざ有事の際のと前提を付しているにもかかわらず、ふざけたことに総務省の政府参考人から、平時の帯域制限についてのみ答弁がありました。しかもこれは2015年から講じられている措置なので、付帯決議で国会が要求したことに応えるものではありません。

 このように、政府はサイバーセキュリティの重要性を口では喧伝しながらも、法律が要求したい付則は無視して削除し、国会の付帯決議に真摯に取り組まない有様です。小生からは、「附則第二条では、法律では規定をしない。それから、段階に応じた、政府統一基準だけではないものについては、重要インフラはやるけれども、ほかはやらない。そして、技術の確立についてはまだ道半ばである。それから、重要性の段階に応じた防護対象の対応については、やはりやっていない。それから、ISP側の実効性のある帯域制御の在り方については、別途有事については検討していない。これが我が国会が求めたことに対する政府の対応の現状であります。新しく内閣が提出する法律があるのであれば、こういったものはしっかりと対応してから法律出すというのは当然の話だと私は思います。大臣、改めてお伺いをさせていただきますけれども、国会が要求をいたしました法律そして附帯決議について、真摯にもう一度御検討いただけるということを明確に御答弁をいただけないでしょうか」と要求しました。すると大臣からは、引続きの検討というお役人答弁がありました。
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2016-04-23 22:40:22

AAV7調達の疑問等;外交防衛員会における予算委嘱審査報告

テーマ:政治
3月23日、参議院外公防衛委員会の予算委嘱審査において、F35A及びAAV7をはじめとする防衛装備品の調達について質問いたしましたので、ご報告いたします。
詳細はこちらから:http://online.sangiin.go.jp/kaig…/daily/select0104/main.html

1. 水陸両用装甲車AAV7
AAV7は装甲を施した水陸両用車両で、尖閣等が占拠された際の奪還作戦に使用するとされていますが、きわめて高額であるのみならず、その速度は遅く、上陸地点の制限も多い装備で、且つ1回限りとなるであろう上陸作戦で52両をいかに用いるのかという疑問が付されています。この調達及び運用についての疑問を質しました。
まず小生より、AAV7の最大速度、輸送能力及び上陸の際の制限等について確認し、海上での時速は13km、人員で最大24名の輸送が可能で、さんご礁などの地形では上陸できない旨の回答がありました。
戦闘下ではAAV7を輸送する船舶は遠くに停泊をして上陸作戦を実施するところ、遅い速度のAAV7が、当初から想定される良好な地点に上陸すれば、容易に標的になりかねないのではないか、と質したところ、中谷大臣は、「まず敵を制圧をして、海上優勢、航空優勢、これを確保した上で陸上部隊を上陸をさせるということを想定としており・・・AAV7の海上からの上陸のみならず、LCAC(海上自衛隊保有のホバークラフト)そして潜入ボート、これを航空機から投入をする、またCH47、V22オスプレイといった航空機による空中からの上陸など様々な複合的な組合せで、手段を組み合わせて実施する」と述べたのでした。
このLCACは海上で40ノット(約74km/h)、輸送能力は50トンで、上陸の地形制限はAAV7よりはるかに少ないものです。大臣が言うように、海空を制圧してから運用するのであれば、装甲の必要性がなくなり、AAV7と共にLCACや潜入ボート(ゴムボート)を同時に使用する想定ならば、AAV7調達の必要性に疑問が出ます。そこで大臣に伺ったところ、中谷大臣は、「島嶼部を奪回、確保するに当たって島嶼部に敵兵力が残存している可能性も否定できないために、陸自部隊が自らを防護しつつ海上から着上陸するためには防護力を備えたAAV7は必要不可欠な装備」だと言うのです。
これでは納得できず、小生のほうから、「水陸両用作戦の流れで航空優勢、海上優勢が確保されたら、併せてV22やボートやLCAC使うことになっているんです。大臣、危ないんだったら、このボートの人たち危なくなっちゃいますよね。まだ残存勢力がいて、併せて使えないじゃないですか。違いますかね。大臣のおっしゃっていること、僕にはよく正直理解ができません。併せて使うことができないような状況であればAAV7だけになるのかもしれないし、この防衛省の説明資料は併せて使うことになっています。ボートの人は死んでも構わない、こういうことでしょうか。」と聞くと、大臣は、「死んだら困ります」との答弁で、与党席からも失笑が漏れました。
さて、このAAV7ですが、先に運用している米軍の場合、我が方の最大の輸送艦「おおすみ」の約二倍の規模がある排水量二万六千トン規模の輸送艦でも最大14両のAAV7しか運用できません。ところが、中期防によると五十二両のAAV7を調達することになっています。高価で制約の大きいAAV7をこれだけの規模で調達し、三個連隊三千人の人員と共に運用するのは、現実的ではないと指摘させていただいたところ、大臣は、「おおすみ」型輸送艦を改造し、三隻を活用すれば、「性能上は四十四両全て輸送することが可能であると考えております。」との答弁でした。
これに対し小生より、更問をさせていただきました。やはり、52両のAAV7の調達には、どうしても納得できません。
戦闘が行われていれば、なかなか海上自衛隊の船は陸に近いところに行きたくありません。なるべく遠いところで降ろす。しかしながら七ノット。逆の風が吹けばよりスピードは遅くなるでしょう。ところが、LCACは、より早く、しかもより多くのものを輸送できる。しかも、海上優勢、航空優勢が確保された後というふうに言われているわけですから、私は、これだけのものは必要であるというふうに国民に対して説明するには残念ながら説得力が欠けていると思わざるを得ません。よもや陸上自衛隊のポストや人員を獲得するために、AAV7を活用して海上自衛隊のLCACを排除すると、こういうロジックでは、まさか大臣、ないとは私も思います。
 しかしながら、日本の安全をきちんと確保をし、なおかつコスト、それから適性、こういったものをしっかりと見極めていくためには、大臣、全くAAV7が必要じゃないとは言いません、ただし、この規模だとか運用の仕方をもう一度御検討いただき、現実的な運用にされるべきではないかというふうに思います。

2.F35A
 この日の質問では、FMS調達とライフサイクル管理の関係についても質しましたが(http://ameblo.jp/oonomotohiro/entry-12153282356.html)、これにも関連するのがF35Aの調達です。中期防では、高価で単発エンジンのF35Aが調達予定になっていますが、ステルス性及び機動性に優れているとされる双発エンジンのX2先進技術実証機の初飛行試験が予定されていました(すでに4月22日に実験が成功)。このX2はF2戦闘機の後継機となるのではないかと目されているところ、将来におけるF35Aとの役割分担について質しました。戦闘機の自国開発は、「青息吐息であった我が国の防衛産業の基盤技術を維持、育成するのみならず、外国製品と比較して一般に透明性が高い、あるいは長期の使用に耐える、さらには民生技術の転用」といった効果もあり、長期的な構想と役割分担を検討し、F35Aの調達を抑えることも必要ではないか、と質したのです。
 これに対し大臣からは、「X2等の実証研究を含めた検討を進めているところで」あり、「委員のご指摘を踏まえて、防空体制を総合的な体制で行い得るように、様々な観点も含めましてしっかりと検討してまいりたいと考えております。」との答弁がなされました。

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