二人の市会議員と震災 | 大野もとひろオフィシャルブログ Powered by Ameba

二人の市会議員と震災

統一地方選挙が前後半戦終了した。


震災後の選挙では、震災が様々な形で影響を与えたものと理解しているが、この関連で二人の印象深い市会議員候補者が当選した。


一人は前半戦の政令指定都市さいたま市北区より新人として立候補した、小生の元秘書の伊藤まなぶ氏、今一人は越谷市議選に現職として再挑戦した大石美恵子氏である。


伊藤氏は小生の秘書を卒業し、地元を住みやすい町にしたいと訴えたので、「万全の体制を敷き、悔いのない選挙活動をすべし」と送り出した。しかしながら震災で何彼できることがあるのではないかと考えて、居ても立っても居られなかったらしく、震災当日にはいわゆる「帰宅困難者」支援のために徹夜をし、その後、双葉町からさいたまスーパーアリーナにやってきた避難者の支援のために、三日三晩徹夜の支援を含め幾度も足を運んだ(小生の事務所も支援に参加した)。その後、被災地に行くと言うのを留めたが、小生の宮城行きにどうしても同行したいというので、仕方なく連れて行った。そのあげく、選挙が始まってから明らかになったのは、支援活動に力を入れすぎて、選挙の体制作りがおろそかになっていたことであった。


本人は被災地を訪れ、安全なさいたま市を作るんだとの強い思いを得たようであったが、当選しなければ何もならず、一生懸命支援した結果、当選させていただいた。どうしようもない候補者ではあったが、その熱い思いに応えていただいた支持者の皆様のおかげである。今は、嬉々として、安全な町作りをするんだと熱く語っている。


大石氏は南相馬市出身でご親戚も失われ、選挙に身が入らないと述べられていた。そこで、小生が南相馬に赴く際にお誘いし、気持ちの整理をつけてもらおうと思った。生まれ育った彼の地の海岸沿いで、彼女が呆然と立ち尽くして流れる涙をぬぐおうともしない姿を前にし、言葉のかけようもなかった。


越谷に帰られてから、彼女は選挙準備をほとんどせずに埼玉県に来ている被災者支援に没頭し、17日の公示日にも「被災者支援バザーをやります」、と自らの選挙は放りだしていた。そこで彼女に話をし、改めて「市会議員としてしかできないことがあるはず。悲しみに浸り、支援をするのはよくわかるが、自らの責任で安心を請け負うべき。」と話したところ、やっと選挙に向けて名刺を作り、選挙戦に入ってくれた。駅頭で訴えるたびに涙を流す彼女の気持ちは痛いほどわかった。その結果、見事当選された。


このお二人の当選は、同じ党であるからという意味ではなく、人間としてとてもうれしいものであった。そしてこの二人は、必ずやこの震災を乗り越えて、自らが貢献すべき場所において安全・安心に献身してくれるであろうと確信している。