私はガメイ種で造られたワインがとても好きなのだけれど、それはガメイ d'Auvergneやガメイ d'Loireであって、ブルゴーニュ地方のそれにはほとんど魅力を感じなくなってしまっている。この地区で造られる自然派の剛なイメージのガメイよりも、ロワールやオーヴェルニュ地方の脱力系ガメイの方によりこの葡萄品種の魅力を感じる。
なまじっか聖地ブルゴーニュの一角に一大産地があることで、ワイン好きの中でも一際へんこな愛好家が好むあの高貴種と比較される機会が多いのは、ガメイという葡萄品種にとって不幸な事なのかもしれません。

そんな我が家に届いたボージョレイ地区のワイン、それも3本。内2本はジョルジュ・デュブッフですよ。

11月の第3木曜にヌーボーなど開けたこともなければ日和った感想など書きそうにもないへんこなブロガーにこんなコテコテのワインを送り付けてくるとは、サントリーさん恐るべし。これはもはやこのワインへの自信に裏付けされた挑戦状に違いない。


Domaine des Rosiers  Moulin-a-Vent

飲んだ日:2016/10/30

国・地域:仏ブルゴーニュ
Vintage:2015年
銘柄:Moulin-a-Vent(赤)
ランク:村名

造り手:Domaine des Rosiers
輸入業者:サントリーワインインターナショナル(株)
受取日:2016/10/27
飲み頃度/幸せ度:飲み頃/美味しい(★★★)


とりあえず聞いた事もないこちらの造り手のワインから開けてみたところ、まずはその出来の良さに感心した。一見するとローヌのワインの如く濃い赤紫の液体は、ざらつきのない口当たりの良さと上品なガメイ香を備えていて第一印象は期待以上に美味しい。華やかというよりは程好いタニックさが男性的で、なによりワインとしてのストラクチャーがしっかりと見てとれる。久し振りに飲んだムーラン・ナ・ヴァンですが、モルゴンと並ぶ評価を得ている理由を再認識できるワインでした。


Domaine des Rosiers  Moulin-a-Vent

このワイン、「ボジョレーの帝王『ジョルジュ デュブッフ』監修の元、Amazon.co.jpもアッサンブラージュ(調合)に参加したAmazon.co.jp独占販売のワイン」との事で、販売価格は\2,812だった。

気になったのがアッサンブラージュをやたらと強調している点で、葡萄はガメイ、産地はムーラン・ナヴァン、ヴィンテージは2015年というワインにおいて、アッサンブラージュとは何をどう施しているのだろうと質問してみたところ、「樽熟成の原酒が15種類、ステレンスタンク熟成の原酒が7種類」の計22種類の原酒をアッサンブラージュしたものだと回答を頂いた(詳しくはこちら )。


Amazonって企業に対しては、ネット企業としての書籍の配送品質が地に落ちている現在 はあまり良い印象を持っていないのですが、このクラスでこの味わいのワインが配送料無料で届くというのはさすがに価格競争力の高さを感じてしまう。リピートありな美味しさでした。



Georges Duboeuf  Moulin-a-Vent


飲んだ日:2016/11/1

国・地域:仏ブルゴーニュ
Vintage:2015年
銘柄:Moulin-a-Vent(赤)
ランク:村名

造り手:Georges Duboeuf
輸入業者:サントリーワインインターナショナル(株)
受取日:2016/10/27
飲み頃度/幸せ度:飲み頃/美味しい(★★☆)


2本目はボージョレイ地区の大御所が提供するワインの若い方を抜栓。かつてこの地区のワインの魅力の一つとして刷り込まれた苺の風味はどこにも感じる事がなく、タンニンばかりが際立っている。2時間程経つと早々に果実味も消え失せた。



Georges Duboeuf  Moulin-a-Vent


飲んだ日:2016/11/3

国・地域:仏ブルゴーニュ
Vintage:2011年
銘柄:Moulin-a-Vent(赤)
ランク:村名

造り手:Georges Duboeuf
輸入業者:サントリーワインインターナショナル(株)
受取日:2016/10/27
飲み頃度/幸せ度:飲み頃/美味しい(★★★)


最後に開けた2011年物は、同じ造り手の2015年よりもエレガンスで楽しめた。どうやら先のワインはコンディション上の問題があったようにも思われる。少しばかり熟成も進んでいるであろうこのワインからは、ガメイの粗も溶け込んでいて、その結果"ピノっぽい"とは言わないけれど、"ブルゴーニュっぽさ"みたいなものは感じられる。

これがボージョレイの悲しい宿命で、そうなると逆立ちしてもピノ・ノワールには敵わない。ラピエールさんやフォイヤールさんのような超優良の造り手さんの場合は、ブルゴーニュ云々の前に"自然派"というエリアレスな性質の方が優先されるのでこの問題があまり関与してこない。


などと思いながらもありがたく頂いた3本、この地区の"上の下"なレベルのワインとしてCPの高さは評価に値する。このレベルでのクリュ水平なら試してもみたい(垂直はさすがに興味が湧かない)。

サントリーさんは今でもラグランジュの経営権を持っているのかと調べてみたら、ベイシュヴェルやドイツのロバート ヴァイルと傘下が増えている事を知った。経営権の取得も良いけれど、ボージョレイ辺りの畑を購入してこだわりのクラフト・ワインでも造ってみたらどうでしょう?消費者向けではなく、ワイン好きに向けたサントリーさんの本気ワインを試してみたいと、本気で思います。


Moulin-a-Vent