その221 | 大鐘 稔彦のブログ

その221

私は消化器外科をもっぱらとしていたので、胃や腸の薬、さては抗がん剤には精通していたつもりですが、プライマリケア医となってからは高血圧、不整脈、高脂血症、糖尿病といった慢性疾患、それと皮膚病の薬が主で、この使い分けには一苦労しました。内科系の疾患は外科と違っていわゆる“さじ加減”が勝負の分かれ目だからです。

 薬の効能や同じ降圧剤でも他剤との違いは何かを知るにはMR(製薬会社の宣伝マン)とのデスカッションが何よりと気付きました。いわゆる‘耳学問’です。新薬の説明会も2ヶ月に一度くらいの割でやってもらいました。私とナース3名、それに隣の調剤薬局の薬剤師さんが聞き手になります。

 薬は“諸刃の剣”で、よく効くものほど副作用も強い、同じ降圧剤でも作用機序の違いによって副作用が違うし、同じ薬でも人によって出たり出なかったりするし、その強弱もいろいろ異なることを学ばされました。

 私自身は薬に強いほうであまり副作用に悩んだことはないので、たとえば最もよく使われるロキソニン(鎮痛剤)で胃が痛いとか瞼が腫れる、と訴える患者さんが不思議でならなかったのですが、これはもう個体差としか言いようがない、しかしちゃんと記録に留めておくべきと思い立ち、[副作用ノート]を作成しました。今日まで約500件、幸い生死にかかわるものはありませんでしたが、胃潰瘍や頑固な下痢が薬によるものとしばらく気づかず、患者さんにつらい思いをさせた事もあり反省至極です。

 とまれ、この10年間でそれまでの30年間の何倍もの薬に関する知識を得たとの手ごたえを覚えています。プライマリケア医の醍醐味はどうやらこの辺にありそうです。


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 昨日、今年最後の講演を済ませました。いつしか恒例となってしまった医学部の学生さんへの講義ですが、立ちっぱなしで約3時間はいい加減疲れました。2時間ほどしたところで喋りつかれ、のどが渇き、吐き気を催してきたので急遽、10分間の休憩を告げ、駅で購入してきた飲み物を口に入れました。(そう、水もお絞りも用意してくれてないのでした)

何せ遠い。名古屋から名鉄線で20分、そこからタクシーで10分のところにある藤田保健衛生大学での一こまでした。

 もう来年は勘弁してもらおうと思っています。