淡路島の診療所からお送りいたします。
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2017-02-23 16:01:35

その485

テーマ:診療所便り

☆寝ぼけ眼でドアを開けると、最近ここ晴美が丘にカフェを開かれたOさんが立っていた。「ジェニファーちゃんいますか?」という。Oさんもワンちゃんを飼っていて、夕方それぞれの犬を連れての散歩道でよく出会うからジェニファーの顔を知っていてくださる。いや、かくかくしかじかで戻ってきていないんですよ、と私。「ジェニファーーちゃんだと思いますが、うちの室外機の奥で血を流してうずくまっています。立てないようです」

(でも生きていてくれたのだ!)

急きょ毛布を抱えて車に乗り駆けつける。果たしてOさんの言われたとおりだ。呼んでも私を見つめたまま動こうとしない。見れば右の後ろ足が赤剥けになっていてそこから血が滴っている。引っ張り出すと傷口が地面に触れて痛かったのか、私の手にかみつこうとした。よしよしとなだめながら毛布に包み車に乗せる。あいにくその日は午前診がある。ナースに電話を入れ、一時間余り遅れると、事情をつげてなじみの動物病院へ駆けつける。

幸い骨折はなさそうですが足関節が脱臼し、むき出しになっている、うちでは対処できないので、心当たりの二次動物病院に預けたい、とT先生。それはどこかと尋ねると奈良市だという。気が遠くなった。とてもじゃないがそこまで運び込む自信はない。じゃ、勝手知ったところですから、今夜遅くなりますが僕が運びますよ、と言ってくれた。藁にも縋る思いでお願いした。

☆翌日の昼過ぎ、T先生から電話があった。向こうの先生から連絡があり、精密検査の結果、ないと思ったがわずかな骨折が数か所あった、髄内釘を打ち込んで固定し、あとは筋肉と皮膚の再生を待って装具を外し、プレート固定をすることになるが、それには2,3か月かかる模様です、と。えらい長丁場だ。費用もなまなかなものではない。再び気が遠くなったが、生きていてくれただけでも良かったと思いなおす。

☆想像の域を出ないが、ジェニファーは車を追っかけて行って、結局車にひかれたのだ。幸い負傷したのは一本の足にとどまったので、気力を振り絞って私の家を目指したのだろう。しかし、急な坂が続き、力尽きてOさんのカフェに身をひそめたのだろう。「あなたは時々カフェに行っていたから、あなたの匂いを嗅ぎ付けてそこまで行ったのよ」とは連れ合いの弁。泣かせる。もう絶対に離すまいと誓う。

☆ほぼ10日が過ぎた時点で奈良の病院に電話を入れた。毎日傷の交換をしていますがジェニファーちゃんいい子でおとなしくさせてくれます。しかしまだ骨が一部露出しています、どうしましょう、当初の予定通りで、こちらでお預かりしてもいいが、再手術までは傷口の消毒と包帯の交換だけですので、先生は外科医でいらしたからお手のものでしょうからご自分でやられますか、とY院長。私は二つ返事で自宅に引き取りますと言った。もとより私も連れ合いも運転に自信はない。ゲージは車に入らないから一人がジェニファーしっかり抱きかかえていなければならない。連れ合いの息子が運転を買って出てくれた。(この稿続く)

 

 

 

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2017-02-03 13:51:43

その494

テーマ:診療所便り

☆二月に入った。一月の最後の日曜は医師会の休日診療所の当番にあたっていて、あたふたと朝食をとって出かけたが、これまでとは様子が違う。駐車場はすでにたくさんの車で埋まっている。はたせるかな、待合室はすでに10人前後の大人や子供でごった返している。普段は看護婦さんがまずお茶を入れてくれるが、そんなゆとりはまるでなさそうでバタバタしている。嫌な予感を覚えながら診察室に向かう。カルテが並んでいる。先週の日曜日も日勤帯(9時から4時半)で53人の患者さんが来て、そのうち半分以上がインフルエンザだった由。私が責を担う阿那賀の診療所ではまだ二人出ただけだからにわかには信じられない思いで椅子に座る。日曜はNHK Eテレ10時半からの将棋トーナメントを楽しみにしている。ポツリポツリと患者さんが来て中断されることもあるが、11時を過ぎればまずゆっくり見れたものだが、この日に限っては、一切途切れることなく、気が付いたら12時を過ぎていて、将棋のことはすっかり失念していたことに思い至った。

 なぜかいつも頼んでいる弁当屋に電話をかけても出ないというので、外の空気を吸いたくなったこともあり、日頃行き付けの「SOLA」さんにあらかじめ注文しておいて車を走らせた。15分で食べ終わり、1時ぎりぎり診療所に戻ると、なんとまたしても10人前後の患者が待ち構えている。4時半を過ぎてもまだ終わらない。「いやー新記録です。59人来ました。うちインフルエンザは30人です」と、事務の原さんが言う。阿那賀診療所の二日分働いた感じだ。

医師会の診療所のこのジューティーは75歳で免除されるようだ。あと一年少々。待ち遠しい。

☆愛犬のジェニファーがいなくなった。休日診療所に出かける前前日、夕方、散歩に連れ出そうとリードをかけようとした一瞬のスキをついて駆け出してしまった。走って追いかけるがものすごい運動量の彼女には追いつけない。どんどん先をいって、ついにここ晴美が丘をぬけ、車道に出てしまった。ジェニファーは車を見ると猛然と向かっていく癖がある。折しも車が二台走ってきた。案の定ジェニファーが走り寄ってまとわりつく。優しいドライバーと見え、二台とも急ブレーキをかけてゆっくりゆっくりジェニファーを避けて迂回してくれていっている。とらえるチャンスだと思った瞬間、車が走り出し、ジェニファーも後を追いかけるように走り出した。たちまち50メートル、100メートルと隔たり、ついには姿が見えなくなった。私はもう息が切れてへとへとになっている。あきらめて引き返した。常の散歩道ではないが、何とか思い出して帰ってきてくれることを祈りながら。だが、一抹の不安はぬぐえない。車が結構行き交う道だ。向こう見ずに突進していって轢かれるのではないか、と。首環には私の連絡先を記したカードを括り付けてある。お宅のワンちゃんが車にひかれて死んでいますよ、とどこからか電話がかかってくるのではないか?

 だが、何事もなく一夜が過ぎた。しかし、ジェニファーは帰ってこない。前夜、懐中電灯を手に二度ほど探しに出たが、深夜大声でジェニファー、ジェニファーと呼ぶわけにもいかず、すごすごと引き上げた。

☆翌朝、7時過ぎ、目覚めたところで、何かごそごそと草むらをかき分けるような音が寝室の外でする。すわジェニファーかと起きだしたところへ、ピンポーンとチャイムが鳴った。(この稿続く)

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2017-01-12 16:20:01

その493

テーマ:診療所便り

☆新しい年が明けて早半月が過ぎようとしている。暮れから新年にかけて1週間の休みがあったので何年かぶりに海外旅行もと思っていたが、結局いろいろな制抑に負けて計画倒れになってしまった。

 一つには昨年の内に脱稿する予定であった「孤高のメス」の完結編が書き終えられず、年越しになってしまったことだ。やっと今エピローグにきてあと10数枚で脱稿の見通しとなった。

 二つ目は、一昨年の秋に近所のブリーダーさんから買い求めた犬の問題だ。私の好きな「慕情」「終着駅」のジェニファー・ジョーンズ」にちなんで「ジェニファー」と名付けた雌犬のボーダーコリーだが、日増しにかわいくなり、一週間もよそへ預けて寂しい思いをさせるのがためらわれた。犬を飼っている人は似たり寄ったりの悩みを抱えているようだ。

 と、なると、いつまでたっても長期旅行はかなわなくなることになる。やれやれ。

 犬の問題は、私のパートナーも抱えている。こちらは12歳になるチワワを室内で飼っているからことさら離れがたい思いのようで、どこへ預けたものか悩んでいた。小型犬のほうが長生きするようだが、それにしても犬の12歳といえば人間の70歳くらいだろう。何が起こっても不思議ではない。と、まあ、そんなわけで、今年も旅行好きの友人が折を見ては海外に旅立つのを指をくわえてみていることになりそうだ。

☆前回のこの欄で、「そろそろ身辺の整理を…」などと書いてしまったので、東京にいる長女が心配して電話をよこした。別に死出での旅に出るわけではない。今の終の棲家に移る前、十数年住んだ診療所の公舎の書斎が、書き散らした原稿や積読を含めた本やその他なにやかやでしっちゃかめっちゃかになていて、まずはここをかたずけ、いつなんどきぽっくりいってもめいわくがかからないようにしなければというのがここのところ頭から離れないでいるのだ。日常の雑事に紛れて取り掛かれないでいるが、今年こそ着手しようと思っている。

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