淡路島の診療所からお送りいたします。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>
2016-11-24 16:36:30

その491

テーマ:診療所便り

☆ちょうど一年前の勤労感謝の日だったように記憶している。卓球中に転倒して右のアキレス腱を断裂、立ち上がろうとしてとしても立てず、肩を貸してもらって何とか車に這い上がれたのは。

 患足の違和感を意識しなくなったのはようやくここ数日だ。闘病中慰められたのは、この苦しみを味わっているのは自分だけではない、少なからぬ人たちがアキレス腱を切っていて、同じ苦しみを味わっていると知ったことだ。

 現役最年長組のお相撲さんの安美錦も先々場所にアキレス腱を切って休場を余儀なくされ、長年勤めた幕内から十両に転落したが、一場所休んだだけで復活、まずまずの成績を上げて、来場所幕下に落ちることはなさそうだ。その根性にはただただ脱帽するほかない。

☆「世界で一番嫌いなあなたに」という映画を見た。スポーツ界の花形センスだった青年が、事故で首から下がマヒして車いす生活を余儀なくされ、お城のような邸宅で蟄居生活を余儀なくされる。両親は息子のために介護士と話し相手になってくれ身の回りの世話を焼いてくれる家政婦をつけるが、世を荒んだ青年のわがままに付き合いきれず、早々に辞めていってしまう。性格ばかりではない、体も時々異変をきたす。誤嚥して肺炎を起こし、死線をさまようこともしばしば。青年はそんなふがいない生活から解放されたいと願い、オランダに行けば安楽死が認められることを知り、両親の説得もものかは、手続きを取ってしまう。そんなことはつゆ知らないまま、やめてしまった家政婦の後釜の求人広告を見たヒロインが応募してくる。ちゃきちゃきの現代っ子で、私生活では長年付き合っている恋人がいるが、父親も失職して彼女の肩に一家の家計が負わされている。

 世をすね、気まぐれな患者に翻弄され、もうこんな仕事は続けられないと時に投げだしたくなりながら、一家を背負っている立場上、やめるにやめられない。そして…?結末は涙なしでは見られない。

 原作は女性作家で、監督もこれが初めての作品という女性だ。いずれもイギリス人。思えばイギリス映画に失望させられたことはこれまでなかった。これから結婚する若い男女にはぜひ見てほしい映画だ。真の愛とは何かを知ってもらうために。

 

 

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
最近の画像つき記事
 もっと見る >>
2016-11-10 16:15:43

その490

テーマ:診療所便り

☆久々に自宅でビデオを見た。古いVHSに収められた「青い山脈」と「雪国」だ。前者は主演の原節子の伝記本を読んだことがきっかけだ。女子校を舞台にした青春物で、原作は石坂洋次郎。出演はほかに杉葉子、池辺良。クラスメートを妬んだ生徒が出来心で男生徒を装って出したラブレターが発覚して教員や父兄を巻き込んでの騒動となるドタバタ劇だが、言ってみれば現代のいじめの走りだろう。しかし、湊かなえの「告白」のような陰湿さはない。いじめに負けて生徒が花の命を散らすこともない。果敢に耐え、担任の教師(原節子)も知らぬ存ぜぬで通すことはなく、体を張って被害者の生徒をかばう。そして最後はハッピーエンド。さわやかな青春ドラマだ。原節子はこのとき30歳にも満たないはずだが、立派な大人の女性だ。因みに彼女は、16歳で日独合作映画「新しき土地」に若妻の役で出ている。相手役は早川雪舟だった。ヒトラーがドイツを席巻していた時代である。

 後者の「雪国」は、テレビの「名作案内」で某大学教授が川端の「眠れる美女」を取り上げていたのがきっかけでこれを取寄せて読んだことから思い出し、たしかVHSがあったはずだと書庫を探って見つけたのを引っ張り出してみたのだ。小説の舞台越後湯沢には、ヒロインの駒子の面影を求めて行ったことがある。

☆駒子を演じていたのは若き日の岸恵子、相手役の島村は、「青い山脈」の青年よりは年月を重ねて渋さの増した池辺良が演じていた。当時の越後湯沢はこんなだったかと思われるほど雪深い。私が訪ねたころはちらちらと雪が舞っていた程度だ。

 雪国の温泉宿、なんと情緒豊かなことか。昔中学生のころ、毎日翌日が待ち遠しい思いで

読んだ中日新聞の富田常雄の小説の挿絵を思い出した。仕事で温泉に出かけた男が、ふろ上がりに旅館の廊下を歩いて部屋に戻りかけたところで、ふと向こうから歩いてくる浴衣姿の女性に気づいて立ち止まった場面だ。付き合い始めたばかりの女だ。男は彼女が一人で来たとは思わない。男連れだと疑い、愕然として宿を去る・・・。

 挿絵も昨今の新聞小説のそれは何とも味気ないが、小磯良平だったか、当時の挿絵はそれこそなんとも情緒があった。良い時代だった。

 駒子に岸恵子の愛くるしいこと、島村の池辺もニヒルな中年男を演じてまさにはまり役、絶品であった。雪深い温泉宿で炬燵を挟んでの二人のやり取りが絶妙で、川端文学の真骨頂だ。もう一度、じっくり見てみたい。

 

 

 

 

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2016-11-02 16:12:50

その489

テーマ:診療所便り

☆秋が深まってきて、日没が早くなった。勤務を終えて急ぎ帰らないと犬の散歩に間に合わなくなる。
少し前、まだ日没が今ほど早くない時期には、大体5時半ごろに犬を散歩させている人とよく出会ったが、この頃はほとんど見受けない。もっと早い、明るいうちに散歩させているのだ。
飼い主は、知った人もいるが、どのあたりに住んでいて、名前は何というのか知らない人も結構いる。が、不思議に犬の名前は覚えてしまう。
いわく、「いちろー君」「りりーちゃん」「こゆきちゃん」そしてこの飼い主たちもわが愛犬「ジェニファー」の名前を覚えてくれ、「やージェニファーちゃん!」と駆け寄ってくれる。ジェニファーは主人をそっちのけで誰彼かまわず飛びついていく。ボーダーコリーは羊の番犬ということだが、こんな八方美人では泥棒除けにならないこと必至だ。犬の世話は大変だが、単調な生活に一つのリズムを与えてくれる。彼女はまだようやく一歳と3か月を過ぎたばかり、彼女の最期をみとるには私は90歳まで生きなばならない。
三笠宮が100歳で亡くなられた。看取った主治医の聖路加病院の日野原医師は105歳だ。お二人にあやかりたいものである。
☆もうだいぶ前になるが、取材に東京芸大を見るべく上京、宿を芸大の近くの水月ホテル鴎外荘にとった。部屋はビジネスホテル並みの狭さだが、食事は美味しく、鴎外が住んでいた家の風情もなかなかであった。
鴎外は医学と文学二足のわらじをはいた。医者としては陸軍の軍医総監にまで上り詰めた。文士としては130篇の小説をものした。
鴎外の母の名は峰子で、私の母と同名である。そんなことから、私が小説を書いて送ったところ、叔母はからかい半分に「鴎外二世ね」といったものだ。憚りながら、医者としては私は鴎外を凌いだと自負しているが、 文士としてははるか後塵を拝している。どんなに逆立ちしたところで、130篇の作品は生み出せない。日野原さんの年まで生きられれば、そして、相応の体力と気力があれば、あるいは可能かもしれないが。ちなみに鴎外は60歳で亡くなっている。ライバルの漱石はそれより10年早く他界している。年齢的には二人を凌駕できたが、あとどれだけクリエイチブな人生を送れるかだ。
先般私の「マックスとアドルフーその拳は誰か為に」の出版祝を企画して一から十まで段取りし取り仕切ってくださった「淡路島文学」の主催者北原文雄さんが、そのパーティのわずか3週間後に急逝された。くも膜下出血ということだったが、やり残したことが多々あっただろう。数年来取り組んでいる歴史小説があるがなかなか進まない、「マックスとアドルフ」を よく4年で書かけましたね、と言ってくださった。何よりのお餞別をいただいた思いでいる。

 

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。