大人はゴルフを紳士のスポーツとしての姿を見せているか?! | コーチ浜井の前向きマインドゴルフ

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26歳からゴルフを始めた元高校数学教師。2017年、55歳にしてPGAティーチングプロB級ライセンス取得。技術もメンタル面もやさしく指導する人気コーチのブログ。読むうちにゴルフも人生も好転していくかも… 公益社団法人日本プロゴルフ協会会員

「ゴルフは紳士のスポーツである」というスローガンを、ゴルフの世界では永く標榜してきた歴史がある。
 
簡単に言えば、ゴルファー全員が行儀よく、礼儀を大切にしましょう ということ。
 
周りに気を配りながらプレーしなければ、たちまち事故が起こり、危険極まりないものになってしまい、つまらないものになってしまう・・・ だから、そのことを防ぎ、皆が安全に、心地よくプレーするために考え出された先人たちの知恵が「ゴルフは紳士のスポーツである」というスローガンだったのだろう。
 
私個人も、その考え方には賛成である。
 
ところが、子どもたちを教育する立場にある大人(ハッキリ言えばその子の親)が、とても紳士としての振る舞いや、考え方をしているとは言い難い事象に出会い、残念極まりない。
 
エチケットやマナーの悪さを単純に嘆いているのではない。
 
脳の使い方として、ゴルファーとして人間として成長していくのを根本的に阻害しているという点で危惧しているのである。
 
様々なスポーツの中で、ゴルフは他のスポーツと異なる考え方が必要である。
 
スポーツにはゲームとしての要素、つまり、楽しむことと同時に「勝負事」であるという側面を持っている。
 
あらゆる球技スポーツ、野球にしてもサッカーにしてもテニスや卓球やバレーやバスケットボールにしても、対戦相手がいて、勝敗がつくことである。

たとえリーグ戦で引き分けがあっても、そのリーグの最終戦になれば順位が必ずつくものである。
 
だから相手のミスのおかげで自分が勝ったり、相手が失敗してくれれば自チームが勝利することがあるもの・・・
 
だから、外側の応援は、相手の失敗をよろこび、相手がミスするようにヤジを飛ばしたり、相手の失敗を祈っていたりするものだが・・・
 
しかし、その考え方を選手自身が持っていたら、本当の意味で、最高のパフォーマンスを出せるのだろうか?
 
答えはノーである。
 
ゴルフは昔から同伴競技者が良いショットを放てば「ナイスショット!」と褒めながらプレーを進めていくもので、
 
ロングパットで距離とラインを合わせるのが難しい状況で、相手がカップの近くにピタリと寄せて来たら「ナイスタッチ」と言い、もし入ったら「ナイスイン!すごいね!ナイスバーディー!」と、一緒になって喜び ハイタッチやグータッチで喜びを分かちあうものである。
 
この相手の歓びを自分のものとする考え方が、私が思っているゴルフの魅力の一つでもある。
 
単なる勝負事を超えた、人間の器を大きくしてくれる考え方がそこにあるような気がしているからである。
 
人間はイメージしたことをイメージ通りに行動しようとする習性がある。
 
そのイメージが、自分の意図した望む内容であろうと、望んでいない内容であろうと イメージを描いている脳には関係ない。
 
だから、望んでいない事、起きてほしくない自分のプレーをイメージしてしまえば、その通り望んでいないプレーをしてしまうものだ。
 
それが、相手のプレーを想像して、それも相手の失敗するシーンを想像してしまって、いつの間にか、その脳内の映像が自分と入れ替わり、自分が失敗するシーンになってしまったら、事態は想像通り 残念なものになってしまいますね。
 
だから、ゴルフでは相手の失敗を望んではいけないのです。
 
同伴競技者の失敗を期待したり、予測してもいけないのです。
 
たとえばもし、期待通りに相手が失敗すれば、自分の脳は鮮明に自分の失敗をイメージしています。
 
反対に、期待に反して、失敗しなかったら、期待と違うのでガッカリするでしょう。ガッカリした状態で自分がプレーしても、たいした結果は得られませんね。
 
いずれにしても、相手のプレーに一喜一憂して、相手のプレーに影響され、自分のやりたいことは、なにひとつできないことになってしまいます。
 
自分の脳は、自分の望んでいる映像で満たしましょう!
 
他人の出来事にコントロールされるのではなく、自分で、自分の脳内の映像をコントロールしましょう。
 
 
先日、スクールのレッスン中に、小学生のゴルフ大会に参加した生徒の会話の中で、「パターの前に、外せ 外せって言うやつがいるんだよ!!」 「この間は、ティーショットの前に『OB打ってくれよ~』て言って来るやつがいたんだよ・・・」
 
わたしは、愕然とした。小学生のゴルファーにそんなことを言わせる親がいるのだということに!!
 
ルールブックの第1章に「エチケット」の項目が何故あるのかが根本的に分かっていない!
 
勝ち負けだけにこだわり、スコアがいくつだったかどうかだけに執着し、自分さえ良ければいいというエゴ丸出しの子供にしている大人(親)が いるということ・・・
 
ゴルファー失格である!!
 
他のスポーツで許されている相手の失敗を誘導するようなヤジや声援は、ゴルファーとして失格である!!
 
その思考を身につけたジュニアプレーヤーは、「あいつとは一緒に回りたくない」と陰口を言われる大人になって行くのかと思うと、とても残念だ。
 
害毒を他のジュニアゴルファーにばらまくことになり、器の小さい、誰も近づかなくなる中途半端な大人になって行くのかと思うと残念で仕方ない。
  
責任ある大人(親)は、自らの姿を子供に反映させているということを自覚しなければならない。
 
ここまで考えていくと、昔から、実は紳士でないプレーヤーがたくさんいて、その影響を乗り越えて紳士であり続けたゴルフの先人たちは、ゴルフをより素晴らしいものへと導いていくために、シンプルな方法として取り組んできたことが「ゴルフは紳士のスポーツである」というスローガンを掲げて、多くのゴルファーを啓蒙してきたんだなと・・・
 
先人たちも わかっていたんだなと思う・・・
 
まずは、自分の良いプレーを想像し、自分の望んでいる結果に集中して、そのための準備が大事であることを・・・
 
そして、同伴者がプレーするときもナイスプレーを想像しておき、その通りナイスプレーをしたなら ほめたたえる。
 
自分の想像通りなので決してガッカリすることもない。
  
それが自分の姿と入れ替わり、自分がナイスプレーをしている所を想像していけるようになったら、パフォーマンスも向上していくのです。
 
スタート前に、あいさつをするときに「一緒にいいプレーをしよう!一緒に頑張ろう!」と言えるようになれればいいですね。言いそびれても思っているだけでも変わります。
 
相手のパッティングの時「入れろよ!入れ!入れ!」と思っていることも有効です。
 
「君のナイスプレーのおかげで、僕もいいプレができたよ!」
 
紳士ならそういう言葉をかけられるものです。
 
そのような終わり方ができるようになれば、爽やかな気分でいられるし、今よりも数段レベルの高いゴルファーに成長し、器の大きな人間になれるでしょう。
 
本当にすごい実績を残して来たプレーヤたちに「いい人」と言われる人が多いのは偶然ではない。
 
「また一緒に回りたい」と思わせるようなゴルファーであることが、結局、優れたゴルファーになって行く王道なのだと思うのです。
 
皆さんのゴルフにお役立てください。
 
See you next time !