もう一度つかりたい5つ星温泉☆沢渡温泉・まるほん旅館
「3000温泉の旅」から帰ってきてからというもの、
「どこの温泉がオススメ?」と聞かれることが多くなりました。
ということで、もう一度訪れたいなぁ、と思うような極上の湯について
ブログ上で綴っています。
今日は、群馬県の沢渡温泉にある湯治宿。
温泉が好きになるきっかけを与えてくれた宿のひとつだ。
「草津温泉の上がり湯」と評されることの多い沢渡温泉は、
山あいの小さな温泉地。
草津温泉の強酸性の湯に浸かった人々が帰途に立ち寄り、
沢渡温泉のさっぱりとした優しい湯で、肌を癒したという。
「一浴玉の肌」といわれる元祖・美人の湯でもある。
初めて沢渡温泉を訪れたのは2005年の夏だったと思う。
ちょうど温泉に興味を持ち始めて間もなく、
「湯治宿に一度泊まってみたい」という一心で宿の予約を入れた。
生まれて初めての一人旅だった。
会社の夏休みを利用して、3泊4日の連泊である。
宿泊した「まるほん旅館」は、
飾り気のない商人宿のようなシンプルな佇まい。
しかし、ヒノキをふんだんに使った館内は、やけに居心地がよかった。
まるほんの旅館の最大の魅力は、混浴の内湯。
当時はまだ、温泉は露天風呂にかぎると思っていたころだったが、
一目で浴室の雰囲気を気に行った。
まず、別棟にある湯小屋へと続く廊下から奏でられる、
ギシギシという木の音色が色気がある。
浴室は、その廊下から階段を下りたところにあるので、
上から浴室を見下ろす格好になる。
小ぶりの湯船が2つ。
湯船の底には青石が敷きつめられており、
透明の湯が美しいブルーに見え、しかも窓から差し込む太陽光に
照らされて、宝石のようにキラキラと輝きを放っている。
床のほとんどは木製。
湯船の形に合わせるように放射状に敷き詰められた板は、
ほれぼれするほどの美しさ。
床にごろんと横になると、「極楽」という言葉しか思いつかない。
タイル張りや石張りの床は、ごつごつして居心地が悪いこともあるが、
この浴室の板敷きは、時を忘れるほどやさしく、居心地がよい。
湯は「美人の湯」という評に恥じないやわらかさ。
飲んでよし、浸かってよしの名湯である。
ただし、より鮮度の高い湯を堪能したいのであれば、
旅館の隣にある共同浴場がオススメ。
宿の浴衣を着ていけば無料で入れてくれる。
3泊4日の間、ずっと「まるほん旅館」で過ごした。
1日5回温泉に浸かり、散歩して、昼寝して、読書をする。
「携帯電話も圏外になってしまうような温泉地なので、
飽きてしまわないか」という心配は、杞憂に終わり、
湯治宿の魅力を、初めて体感したのだった。
3000温泉の旅で再訪した2008年。
浴舎は相も変わらず美しかったが、
携帯電話の電話は3本しっかり立っていた。
■データ■
群馬県吾妻郡中之条町上沢渡甲2301
TEL 0279-66-2011
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉
56℃
日帰り入浴:11:00~17:00(700円)
宿泊:食事別5250円~