『太秦ライムライト』公開前後ちょろっと回顧14~6月9日の梅田ブルク7試写 | 人間の大野裕之

人間の大野裕之

映画『ミュジコフィリア』『葬式の名人』『太秦ライムライト』脚本・プロデューサー
『チャップリンとヒトラー メディアとイメージの世界大戦』岩波書店 サントリー学芸賞受賞
日本チャップリン協会会長/劇団とっても便利

6月8日の二条城ワールドプレミアは宣伝にとっては大きな山場でした。重要文化財での上映も史上初めてのことですし、ただの試写会イベントではない緊張感もありました。開催にあたりまして、京都市の皆様に大変お世話になりました。ありがとうございました。

レセプションの後は、ティジョイの皆さんと出資者の皆さんと二次会。さらに三次会があって、夜遅くに帰宅。
翌日9日は、久々にゆっくり寝て、まったく別件で京都市の南の方にある視察をおこない、午後に、京都市役所や東映京都撮影所に御礼に伺いました。

その後、梅田ブルク7に向かいました。
この日は、梅田ブルク7で大阪プレミアとなる特別試写会があったのです。
これは単に大阪初上映というだけではなく、映画館と同じDCP初上映という特別な機会でした。
昨年秋の渋谷、今年一月の立命館での京都ゼロ号試写、二条城ワールドプレミアはBlu-ray上映で、東映京都撮影所での関係者試写、東京でのマスコミ試写のDCPには若干の不具合があった。ゆえに、最高のクオリティでの初上映はこの日の大阪となったわけです。

その日、二条城ワールドプレミアの様子が、またまたYahoo!のトップニュースになった日で、梅田の楽屋で福本清三さんにおめでとうございますとお話しましたが、まだ実感のないご様子でした。「わしが主役の映画なんか客来まへんで。すぐに打ち切りでっせ」「今日も160人の定員に、応募800名ですよ」「ほんまかいな・・わしゃ寝られへんわ」
舞台袖にもスタッフの細やかな気遣い。
控え室

いよいよ舞台挨拶が始まりました。
満場のお客さんからあたたかい拍手。
ひたすら謙虚な福本清三さんの挨拶が続きます。
あいさつ

さて、僕はこの日はじめて1観客として拝見しました。
最初に、T JOYのロゴが出たときに、ああ、配給・公開されるんだなあとしみじみ思いました。
始まって、やはり映画館で見るのは音響の迫力も映像の美しさも全然違うと感じました。
前半は相変わらず、スタッフ目線で、自分が直してくれと言った編集箇所がなおっているかなどを思わずチェックしてしまっていましたが、峰さんとの稽古のシーン、嵐電のシーン、最後の小料理屋のシーン、そして故郷のシーンと見て、いろんな思いがめぐって、恥ずかしながら泣いてしまいました。
帰り際に、「大野さんですよね。ずっと福本清三さんのファンなんです。素晴らしい映画を作ってくださって、ありがとうございます」と号泣しながら言われて、その強い思いに胸を打たれてもらい泣きしました。
エレベーターのなかでも、「今日は歴史的な一日やった」とお客さんが言っているのを聞いて、隣にいた団員が僕に無言で目を合わせて祝福してくれました。
完成したなあと実感した日でした。(これがまだ二ヶ月前のことなんですな)