「こやつか……失うには惜しい逸材だな……」
失う、と言う言葉に和は血の気が引く。帰って来なかった忍たちは殺されたと悟ったからだ。
「今度は何をする気なんだっ!?もう返してくれよっ!!」
火の里の忍たちは無言で和の身体を押さえつけ、下半身をさらけ出された。
「今からお前の身体に毒を仕込む。生き残りたくば耐える事だな」
「毒っ!?や、止めろっ!!止めてくれっ!!」
和の叫びは受け入れられる筈もなく、四つん這いにされた和の体内に毒が埋め込まれた。
「あっ……や、止めろっ………クッ………ハァァァ……グハッ!!」
吐血しながらも和は必死に耐えていた。こんな所で死にたくない。智に会いたい。その一心で和の心と身体は耐えぬいた。
「…ハァ…ハァ…ハァ……」
「ほう、耐えたか……合格だ。このまま続けろ」
その後、和が移された部屋で毎日少量の毒が和の身体に仕込まれていった。
時に生死の境をさ迷いながらも和は生き抜いた。やがて和の身体は強力な毒にも耐えうる身体になっていた。
だが、火の里の目的はソレではなかった。
ある日、そんな和が連れて来られた部屋には何処からか拐われて来た忍の男が一人いた。
その部屋に漂うお香……それは媚薬、まるでマタタビを与えられた猫のように腑抜けになったその忍は和を見るや襲い掛かって来た。
すんなりと身体を開く和。激しく律動を繰り返す男が突如苦しみ始めた。
「グワッ……アァァァ……くっ、苦しいっ……アガッ!!」
「えっ……なにっ?……お、おいっ……どうしたんだよっ!?」
何が起こったのか分からずに戸惑う和の横でその男は息絶えた。
「死んだか?……ククッ……成功だ」
和を見下ろすように火の里の長老が告げた。
「和、お前の身体そのものが既に毒となったのだ。お前の体液に触れた者はその男と同じ末路だ。」
「………嘘………」
和が絶望の淵に叩き落とされた瞬間だった。