青い影 Lyrics 和訳 75年間再生ランキングNO.1に輝く曲 | 人魚姫の泡言葉

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映画・ドラマ・書物のレビュー、即興詩、日々の想い、芸能ネタ、歴史、時事、政治に関しての見解等々を書いちゃってます。後「人魚姫の泡言葉」ブログ名を覚えてる方が多いので戻しました。

ブログテーマ「即興詩・散文」に

『君に寄せる(自虐)メッセージ ノワールな世界 青い影』と

名うって詩を投稿した。

mixiのプロフィールに使ってあったその写真にとても魅せられた私は、声をかけ譲って貰った。

ノワールな世界にぴったりというべきその写真は、そのままして置くには惜しいほどに想像を掻き立ててやまない。


どうして彼女は水に漂う運命になったのだろう・・・



ただの写真の構図なのに、膨らむ想像は止まらず思いは巡る。この写真から得るイマジネーションで何かを書いてみたい衝動に駆られたが、日頃、書き物をしない私はその写真をいつかの為にマイピクチャーに大切にしまった。

奇しくも2年後からブログを始めた。マイピクチャーにある写真は,拡大してみたがボケテしまった。その又、2年後、前から好きだった「A Whiter Shade of Pale 青い影」のメロディがあの写真に見事にマッチすることに気がついた。

youtubeからプロコル・ハルムが歌う「青い影」を引っ張ってきてバーにして貼り付けた。

小説は無理なので、写真からイメージし、拙い詩を寄せた。

$人魚姫の泡言葉


注:"Undercurrent"のアルバムカバージャケットの表紙だ、と教えて貰ったが、アルバムは音楽の世界では有名らしく1962年発売のアルバムであっても今なお毎年、平均5000枚売れ続けてるらしい。


「A Whiter Shade of Pale 青い影」は、何度聴いても飽きるという事が無い。昨日、youtubeを開き音が鮮明なこの曲が無いものか探していた。(古い歌は大抵音が小さい)

以前にサラ・ブライアンが歌っている事を知っていたが聞くことさえしなかった。

そして、漸う昨日初めて聴いた。

プロコル・ハルムの歌い方では、女性が歌うイメージが浮かばなかったが彼女が歌う「A Whiter Shade of Pale」はオペラ歌手特有の澄んだ声で、流れるようにそれでいて可憐な歌い方をしていた。

この「A Whiter Shade of Pale」の歌詞は、どれが本当か判らないほど翻訳があって“歌詞が意味不明な曲”として扱われてるようで・・・

そのまま訳すると何の事だかサッパリという。

青い影の意味がわからないと投稿して回答を求めてる人も数多くいる。

ベストアンサーで選ばれていた翻訳でしたが、私は?正解だとは取れませんでした。


私も最初はサイケデリックな、意味の無い歌詞だと思っていましたが、しばらく考えてこれは“反戦歌”ではないのかと思うようになりました。ここでの“We”は全て主人公と彼の恋人ではなく、潜水艦に乗っている主人公と彼の仲間たちではないでしょうか。“The miller”は生き残った彼の仲間の一人であり、彼女に(戦死した?)彼の話(His tale)をしているのだと思います。そのような前提で以下訳してみました。カッコ内は補足説明です。

僕たちは軽くファンダンゴを踊って
 フロアー内で何度も腕立て側転(=Cartwheels)をした
 僕は船酔いのような気分になっていた
 でも連中はもっと踊れと挑発した
 部屋は屋根が吹っ飛ぶくらいにざわめいていた
 僕たちがもう一杯注文したら
 ウェイターはトレイを持ってきた

 だからそれは後のことだった
 粉屋が彼の話をしたのは
 彼女の顔は最初呆然としていたが
 だんだん青ざめていった(a shade of~=~気味)

 彼女は言った「わけが分からないわ
 真実は明らかなのに」
 でも僕はトランプをしながら
 別のことを考えていた
 僕は海岸へ向かっている16人の
 ウェスタの乙女の一人に彼女をさせないと
 (生きて帰って彼女と結婚すると)
 僕の目は開いていたが
 僕たちが最期を迎える時のように
 目を閉じていたかもしれない

 彼女は言った「陸上での休暇の時
 私は家にいるわ」
 でも実際は僕たちは海の上にいた
 だから僕は彼女を鏡の前に連れて行き
 「君は海の神ネプチューンに乗っていた人魚なんだから」
 と言い、彼女に同意を強いた
 (僕には彼女のような海の女神がついているから生きて帰ってこれる)
 でも彼女がとても悲しそうに僕に微笑んだので
 僕は怒り(=Anger)をあっという間に失った
 (追加の補足説明です。:恐らく彼が彼女を鏡の前に連れて行く前に、2人の間で「あなたはもう帰ってこない」「僕は無事に帰ってくる」という言い争いがあったので彼は少し怒っていたのだと思います。“Anger”の一語で状況をイメージさせる言葉のチョイスが秀逸です。これで一応あやふやな部分は無くなったと思います。なんか想像以上に悲しい歌になってしまいました。)

 もし音楽が愛の糧であるのならば
 笑いこそがその女王だ
 もし後ろが前というようならば
 (戦争という不条理がまかり通るならば)
 汚れは実はきれいということになる
 実質を失った(=Cardboard)僕の口は
 (異議を言えなくなったので)
 僕の頭から真っ直ぐに滑り落ちるように思えた
 いよいよ僕たちは垂直に急速に潜航して



歌詞をそのまま訳しても真意が汲み取れ難いと思います。

私は下記にあげた方の翻訳及び解釈(Lyricsの下に入れた和訳)がより近いと思います。そして翻訳も無理が無くしっくり来るのです。

文化・時代背景(1967年発売)を抜きにすると、この歌詞はもっと意味不明になる。反戦のムードが全米を覆い、薬に溺れた若者達があふれてた時代。ビートルズも後にLSDに溺れ印度(哲学)に傾倒していく。ベトナム戦争の最中、厭世的になった若者がLSDでラリって明日のない日々を送った時代だったりした。サイケ調が流行り、寝ぐらを持たないピッピーの全盛期でもある。この時代の歌は、文句なしに名曲が多い。

この同時期の日本の若者の一部を描いたノン・フィクションとも言える村上龍 著作の「限りなく透明に近いブルー」を読んでいたのでドラッグ、セックスという世界が理解できなくもない。
この本は書名と反比例して、中身は若者のドラッグとセックスの世界を描いたもの。軽薄な男女のフリーセックスを苦々しい思いで読んだ記憶がある。


ダウン事項を念頭に入れて読むと理解しやすい。

the miller(粉屋)隠語 
※これはドラッグの売人のこと

My mouth by then like cardboard
(ボール紙のようなボクの口) 
※これはドラッグによる強烈な脱水症状。





サラ・ブライトマン この歌い方だと真似できそう 



青い影   (プロコル・ハルム)

We skipped the light fandango
turned cartwheels 'cross the floor
I was feeling kinda seasick
but the crowd called out for more
The room was humming harder
as the ceiling flew away
When we called out for another drink
the waiter brought a tray

軽いファンダンゴでスキップしたら
フロアの向こうへカートを押し出してしまった
ちょっと船酔いしたみたいだ
でも群衆はもっとやれと言っている
天井が飛び去って
部屋はより激しくざわついていた
大声でもう一杯頼んだら
ウエイターがトレイを持ってきた

And so it was later
as the miller told his tale
that her face, at first just ghostly,
turned a whiter shade of pale

随分遅くなった
粉屋が延々と打ち明け話をするにつれて
彼女の顔色が(最初は幽霊みたいだった)
だんだん白くなって来た
青白い陰

She said, 'There is no reason
and the truth is plain to see.'
But I wandered through my playing cards
and would not let her be
one of sixteen vestal virgins
who were leaving for the coast
and although my eyes were open
they might have just as well've been closed

彼女は言った「理由なんて無いわ、
“真実”は明白よ」
だが僕はトランプをしながらぶらついた
彼女を海岸に向けて発っていった16人のヴェスタの処女の一人の
ようにさせるわけにはいかない
目は開いているのに
半分寝ているみたいな感じがしていた

And so it was later
as the miller told his tale
that her face, at first just ghostly,
turned a whiter shade of pale

随分遅くなった
粉屋が延々と打ち明け話をするにつれて
彼女の顔色が(最初は幽霊みたいだった)
だんだん白くなって来た
青白い陰

She said, 'I'm home on shore leave,'
though in truth we were at sea
so I took her by the looking glass
and forced her to agree
saying, 'You must be the mermaid
who took Neptune for a ride.'
But she smiled at me so sadly
that my anger straightway died

彼女は言った「上陸許可(陸上での休憩時間)のときはあたしが家にいるよ」
“真実”は海の上なのに
だから彼女を鏡のところまで連れて行って
判らせようとした
「君はネプチューンに乗った
人魚なんだぞ」と言いながら
でも彼女は悲しげに僕に微笑んだ
だから僕の怒りは失せてしまった

If music be the food of love
then laughter is its queen
and likewise if behind is in front
then dirt in truth is clean
My mouth by then like cardboard
seemed to slip straight through my head
So we crash-dived straightway quickly
and attacked the ocean bed

もし音楽が愛の糧ならば
微笑みはその女王だ
同じようにもし後ろが前であれば
汚れも実は綺麗なものなのだ
その時までのボール紙のような僕の口は
まっすぐ僕の頭を滑り抜けるように思えた
それで僕らは直ちに急速潜航して
海底を攻撃した

訳詞:GLAD EYE



歌詞を書いた人は、ラリった時の状況を思い起し書いてるように思える。

バッハの影響(Sleepers Awake と Air on a G String)を受けたメロディを Matthew Fisherがハモンドオルガンで弾き、Gary Brooker が歌った。

薬漬けの恋人たちが堕ちてゆく。ラリってるので訳の分からない現実離れした幻覚を見る。

ドラッグ中毒の脱水症状で膨れ上がったボール紙のような口。蒼白に変わりゆく彼女の顔色。

退廃的で物悲しい調べに寄せて深淵の底に堕ちていく  堪らなく悲しい二人の姿が目に映る。




奇しくもこの動画にも"Undercurrent"のアルバムのカバージャケットが嵌めこまれている。以前、何かで読んだが、この写真は色んな人が使っているそうな。