多角形の終焉~3~ | 思い出の彼方

多角形の終焉~3~

このあと、圭の態度に大きな変化が現れた。
私は彼女の行動に、強く心を揺さぶられることになる。

圭はもともと感情の波が激しいほうだった。
ときどき訳もなく不機嫌になり
大抵の場合黙っていた。
交際する前からある程度はわかっていたし
二人の関係が深くなっても、それは許容できる範囲だった。
ところが、圭のご両親に挨拶をしてから
その波の振幅が、とても激しくなってきた。

私には思い当たる節があった。
彼女は結婚を意識しすぎていた。
その一方で、私はそれほどでもなかった。
このギャップが、彼女を不安定な状況に
追い込んでいたように思えた。
それと同時に一つの疑問があった。
彼女は結婚が目的で、私と一緒になることはその手段なのか?
そう思える場面が出てきた。

圭を人生の伴侶として選ぶことは正しいのか?
自問自答を繰り返し、気持ちを整理しはじめた。
今から思えば、このときの私は怖いくらいに冷静になった。
そして、彼女を敢えて試すことにした。