子どもの頃に
安西マリアの歌う

 

ギラギラ太陽が 燃えるように

 

という曲を耳にしたことがあります。

 

「涙の太陽」(1973)という曲名ですけど
てっきり安西マリアのオリジナルだと
思っていましたが
実はエミー・ジャクソンという
外国人歌手が歌った楽曲の
カバーだということを
つい最近になって知りました。

 

そのオリジナル曲を含め
エミー・ジャクソンの
60年代当時にリリースした歌を
全部、収めているのが
今回紹介するCDです。

 

エミー・ジャクソン『涙の太陽』(CD)
(日本コロムビア COCA-11508、1994.3.1)

 

このCDを買ったのは
こちらのブログではすでにお馴染み
『レコード・コレクターズ』
2015年1月増刊号
に載っている
「アイドル・ソング100選 1959−1969」に
エミー・ジャクソンとスマッシュメンの
「涙の太陽」(1965)が
あがっているからでした。

 


中古で買って以来
今まで聴いてなかったのは
こちらの不徳といたすところですが
まあ、ちょっといえば
安西マリアの歌唱で知っている曲だし
他の曲はもちろん知らないしで
資料的価値しか見出せていなかったことも
買ってそれで満足していた一因でした。

 

手許にあったから

なかにし礼の
『歌謡曲から「昭和」を読む』(2011)を読んで
聴きたいなあと思ったとき
すぐに聴けたわけでして
やっぱり買っておいて正解でした。(^^ゞ

 


改めて聴いてみると
(といっても初めて聴くわけですがw)
エレキ・ギターによる
いわゆるテケテケ・サウンドが顕著で
ベンチャーズの音を連想させるところもあり
びっくりさせられました。

 

まさにグループサウンズ時代の申し子

(というよりも同伴者?)と

いえそうなのですが
ライナーを読むともっとびっくり、
「涙の太陽」をタイトル曲とする
アルバムのバック演奏は
ブルーコメッツが担当したようです。

 

そして、シングル盤の方の
スマッシュメンというのは
オーディションで速成で作ったバンドで
フィリピン人などもいたそうですし
作詞者としてクレジットされている
R. H. Rivers の正体が
湯川れい子だというのですから
面白い時代だったというか何というか。

 


「涙の太陽」は
洋盤レーベルからリリースされました。

 

エミー・ジャクソンは実際に
父方の祖父がイギリス人で
生まれもイギリスなわけですから
洋楽レーベルで出しても
違和感はないわけですけど
なかにし礼の本によれば
従来の専属作家制の下では
フリーの作家によるレコードはリリースできず
苦肉の策として洋盤レーベルから出した
という事情のもとでのデビューの一例
とのことです。

 

エミー・ジャクソンのリリースが成功し
他社も追随したことで
フリーのライターが活躍する余地が生まれ
従来型の歌謡曲を量産していた
専属作家制は崩壊に向かい
危機意識を抱いた専属作家たちは
「演歌」を生み出していく
ということになるようで。

 

そういう時代の潮流を作り出した
という意味で
エミー・ジャクソンは
日本の歌謡史において
独自の地位を占めていますし
Jポップの源流といわれる
所以でもあるようです。

 


まあ、そういうお勉強を抜きにしても
ベンチャーズ的な
テケテケサウンドをベースとした曲は
今、聴いても新鮮なのですけど
面白いというか興味深いのが
デビュー当時、日本語が読めなかった
エミー・ジャクソンに
1曲だけ日本語楽曲があること。

 

ここらへんは
フランス・ギャルやシルヴィ・バルタンに
日本語で歌わせる(歌ってもらう?)のと同じで
当時の日本人の自意識をくすぐる
レコード会社の戦略と同じものが感じられて
面白いなあと思う次第です。

 

結局、そこへ行くのかあ、という感じ

とでもいいましょうか。

 

その意味では後に

昭和歌謡シーンに登場する
最初から日本語で歌う外国人アイドル
特にアジアからやってきた
外国人アイドルの
先駆ともいえるわけでしてね。

 

とかいうと
やっぱりお勉強的な理解に
なっちゃうかしらん。(^^ゞ



なお、エミー・ジャクソンは
今も現役であり
公式ホームページもあります。
 

そのHPの
トップページに
『涙の太陽』の

シングル盤ジャケットが
掲げられていますので
興味のある方は御覧ください。

 

CDのジャケットは
アルバム・ジャケットからの
流用のようです。

 


ちなみに
「涙の太陽」は
安西マリアがカバーする前に
青山ミチがカバーしている
バージョンがあるそうでして。

 

たぶんCDになっているはずで
買って持ってるものを
一回通しで聴いたはずなんですが
まったく忘れております。f^_^;

 

また機会がありましたら
改めてそれを聴いた感想を
アップしてみたいと思います。

 

 

ペタしてね

 

 

 

●訂正(約15分後の)


R. H. Rivers を

「作曲者」と書いていたのを

「作詞者」と直しました。

 

その他

「リリース」を

「リリーズ」と打ったりする

タイプミスがありましたが

作詞者を作曲者と書くのは

凡ミスどころか致命的なミス。

 

数分とはいえ、すみませんでした。m(_ _)m