本日6月1日で
また馬齢を重ねることになりました。
そこで(どこで? w)
6月になったことに掛けまして
ベルギー人のフランス・ミステリ作家
スタニスラス=アンドレ・ステーマンの
『六死人』を再読してみました。

(1931/三輪秀彦訳、創元推理文庫、1984.8.24)
というか
『六死人』を原作とする映画
『六人の最後の者』(1941)が
DVD化されたことを知り
ようやくそれを購入したので
原作本を読み返してみた次第です。
映画『六人の最後の者』は
『フィルム・ノワール
ベスト・コレクション
フランス映画篇』という
8枚組のDVD-BOX vol.1 に
収録されています。

(ブロードウェイ BWDM-1042、2015.3.4)
BOXの装幀が銀色仕上げなので
ケータイが写りこんでいるのは
ご愛嬌ということで。f^_^;
過ぐる5月に
バラ売り商品も出ましたので
『六人の最後の者』のみを
買って観ることもできます。
ただこのDVD-BOXには
ジョルジュ・シムノンの
『仕立て屋の恋』(1933)や
『メグレと謎のピクピュス』(1941)
ピエール・ヴェリの
『サンタクロース殺人事件』(1934)を
原作とした映画も入っているのです。
どうせそちらも欲しくなる
もとい、観たくなるし ( ̄▽ ̄)
だったらバラで買うよりは
まとめて買った方がおトク
と思って購入しました。
たまたま、自分への
誕生日プレゼントのようなことに
なった次第でして。σ(^_^;)
原作の『六死人』は
その趣向が
アガサ・クリスティーの
某有名長編に先立つことで
超有名なのですが
そのため、かえって
クリスティーの作品を読んでいる人なら
すぐ犯人の見当がついてしまうのが
難といえば難でしょうか。
ただ今回、再読してみて
メイン・プロットは
確かに同じなんですが
それ以外にも
いろいろと工夫を凝らしていることに
気づきました。
6人の若者が一念発起して
金持ちになるために
5年間の冒険生活を送り
5年後に集まって
失敗した人間がいたとしても
6人の資産を均等に分け合う
という約束をする。
ところが5年後
フランスに帰ってきた仲間たちが
一人、また一人と殺されていく
というお話です。
初めて読んだ時は
クリスティーの某長編を既読だったので
犯人の見当がついてしまい
それだけで評価を下げてましたが
今、改めて読むと
上に紹介したような設定が
何ともいえない
若々しさのようなものを
感じさせられたことでした。
ステーマンは1908年生まれですから
この作品を発表したときは
まだ若干23歳。
登場人物6人の中で
一番若いサンテールの
5年前の年齢と
ほぼ同じだと思います。
5年前
サンテールは詩集を刊行し
それなりに評判をとっていて
仲間と約束した時は
金持ちに成りたいという思いより
冒険に乗り出す高揚感が強かった
というあたり
すでに気分が若々しい。
探偵役のヴェンス警部が
6人のうちの1人が犯人だという
推理を語ると
ぼくたちの友情を疑うとは
何たることだと
憤慨するのがサンテール。
現実よりも理想に軸足を置いて
憤慨するのは
若さの特権というやつでしょう。
そして5年後の現在
サンテールは
二番目に犠牲となった仲間の
婚約者である
スペイン美人に恋していて
残されたもう一人の仲間と
恋の鞘当てを演じる。
こういう展開にも
若さを感じさせます。
無駄を排したスピーディーな展開、
といえば聞こえはいいですけど
要するに
いわゆる小説的な書き込みが
皆無、といって悪ければ
最小限なあたりも
若さを感じます。
映画的な場面転換で
見せて=魅せていくと
いっていえないことも
ないのですが。
こういう感想を
抱くようになったのも
自分が年をとったからでしょうか。
そう考えると
年の功というのは
あるもんですね(苦笑)
シムノンのメグレ・シリーズのように
妙に大成したような、たたずまいを
持っていないことが
逆に魅力となっている
そういう観点から読んでみても
面白いのではないかと
思いました。
もっとも
20年以上前に出た本なので
もう古本でしか読めないのですが。
本書が出た当時
創元推理文庫では
上にアップした写真でも分かる通り
「探偵小説大全集」と銘打って
いわゆるミステリ黄金時代の
入手が難しかった作品の新訳や
それまで未訳だった作品の本邦初訳を
大挙して出しておりました。
まさかステーマンが出るとは思わず
新刊予告で見たときは
狂喜乱舞したことを
昨日のことのように思い出します。
ちなみに『六死人』は
戦前、黒白書房から
『殺人環』という邦題で
1935(昭和10)年に刊行されたものの
新訳(完訳)です。
よくよく考えると
今年は本邦初訳から
80年経つわけですねえ。
映画の方の日本公開年は
1948(昭和23)年。
こちらは
いろいろ計算してみても
切りのいい数字には
なりませんでした(苦笑)
あ、
映画『六人の最後の者』は
これから観ますので
そちらの感想はまた後日
機会があれば。(^^ゞ

また馬齢を重ねることになりました。
そこで(どこで? w)
6月になったことに掛けまして
ベルギー人のフランス・ミステリ作家
スタニスラス=アンドレ・ステーマンの
『六死人』を再読してみました。

(1931/三輪秀彦訳、創元推理文庫、1984.8.24)
というか
『六死人』を原作とする映画
『六人の最後の者』(1941)が
DVD化されたことを知り
ようやくそれを購入したので
原作本を読み返してみた次第です。
映画『六人の最後の者』は
『フィルム・ノワール
ベスト・コレクション
フランス映画篇』という
8枚組のDVD-BOX vol.1 に
収録されています。

(ブロードウェイ BWDM-1042、2015.3.4)
BOXの装幀が銀色仕上げなので
ケータイが写りこんでいるのは
ご愛嬌ということで。f^_^;
過ぐる5月に
バラ売り商品も出ましたので
『六人の最後の者』のみを
買って観ることもできます。
ただこのDVD-BOXには
ジョルジュ・シムノンの
『仕立て屋の恋』(1933)や
『メグレと謎のピクピュス』(1941)
ピエール・ヴェリの
『サンタクロース殺人事件』(1934)を
原作とした映画も入っているのです。
どうせそちらも欲しくなる
もとい、観たくなるし ( ̄▽ ̄)
だったらバラで買うよりは
まとめて買った方がおトク
と思って購入しました。
たまたま、自分への
誕生日プレゼントのようなことに
なった次第でして。σ(^_^;)
原作の『六死人』は
その趣向が
アガサ・クリスティーの
某有名長編に先立つことで
超有名なのですが
そのため、かえって
クリスティーの作品を読んでいる人なら
すぐ犯人の見当がついてしまうのが
難といえば難でしょうか。
ただ今回、再読してみて
メイン・プロットは
確かに同じなんですが
それ以外にも
いろいろと工夫を凝らしていることに
気づきました。
6人の若者が一念発起して
金持ちになるために
5年間の冒険生活を送り
5年後に集まって
失敗した人間がいたとしても
6人の資産を均等に分け合う
という約束をする。
ところが5年後
フランスに帰ってきた仲間たちが
一人、また一人と殺されていく
というお話です。
初めて読んだ時は
クリスティーの某長編を既読だったので
犯人の見当がついてしまい
それだけで評価を下げてましたが
今、改めて読むと
上に紹介したような設定が
何ともいえない
若々しさのようなものを
感じさせられたことでした。
ステーマンは1908年生まれですから
この作品を発表したときは
まだ若干23歳。
登場人物6人の中で
一番若いサンテールの
5年前の年齢と
ほぼ同じだと思います。
5年前
サンテールは詩集を刊行し
それなりに評判をとっていて
仲間と約束した時は
金持ちに成りたいという思いより
冒険に乗り出す高揚感が強かった
というあたり
すでに気分が若々しい。
探偵役のヴェンス警部が
6人のうちの1人が犯人だという
推理を語ると
ぼくたちの友情を疑うとは
何たることだと
憤慨するのがサンテール。
現実よりも理想に軸足を置いて
憤慨するのは
若さの特権というやつでしょう。
そして5年後の現在
サンテールは
二番目に犠牲となった仲間の
婚約者である
スペイン美人に恋していて
残されたもう一人の仲間と
恋の鞘当てを演じる。
こういう展開にも
若さを感じさせます。
無駄を排したスピーディーな展開、
といえば聞こえはいいですけど
要するに
いわゆる小説的な書き込みが
皆無、といって悪ければ
最小限なあたりも
若さを感じます。
映画的な場面転換で
見せて=魅せていくと
いっていえないことも
ないのですが。
こういう感想を
抱くようになったのも
自分が年をとったからでしょうか。
そう考えると
年の功というのは
あるもんですね(苦笑)
シムノンのメグレ・シリーズのように
妙に大成したような、たたずまいを
持っていないことが
逆に魅力となっている
そういう観点から読んでみても
面白いのではないかと
思いました。
もっとも
20年以上前に出た本なので
もう古本でしか読めないのですが。
本書が出た当時
創元推理文庫では
上にアップした写真でも分かる通り
「探偵小説大全集」と銘打って
いわゆるミステリ黄金時代の
入手が難しかった作品の新訳や
それまで未訳だった作品の本邦初訳を
大挙して出しておりました。
まさかステーマンが出るとは思わず
新刊予告で見たときは
狂喜乱舞したことを
昨日のことのように思い出します。
ちなみに『六死人』は
戦前、黒白書房から
『殺人環』という邦題で
1935(昭和10)年に刊行されたものの
新訳(完訳)です。
よくよく考えると
今年は本邦初訳から
80年経つわけですねえ。
映画の方の日本公開年は
1948(昭和23)年。
こちらは
いろいろ計算してみても
切りのいい数字には
なりませんでした(苦笑)
あ、
映画『六人の最後の者』は
これから観ますので
そちらの感想はまた後日
機会があれば。(^^ゞ
