『ヴィヴァルディ:二重&三重協奏曲集』
(Warner Classics 2564 64230-9、2013.5.14)

直輸入盤だけに
発売月日の表示はありません。
上記のは、NAXOS の
Music Library に拠ります。

本盤は1995年に出たものの再発盤で
原盤のタイトルは
Vivaldi: Double and Triple Concertos.

最初に日本に紹介されたときは
『ヴァイオリンとチェロのための協奏曲集』
という邦題だったようです。


『2CELLOS』で演奏されていた
2つのチェロのための協奏曲 RV. 531を
どうせなら古楽器の演奏で聴きたくて
タワーレコードのオンライン・ショップで
探してみて、いろいろ検討した結果
いちばん安いのを買いました。(^^ゞ

チェロのクリストフ・コワンや
イタリア人による最初の古楽アンサンブル
イル・ジャルディーノ・アルモニコの名前は
バロック関係の書籍で知っていましたし
(コワンは、その本で推奨されていた
 ハイドンを演奏したLDを持ってます)
日本盤でないのは残念でしたが
今回は経済効率を優先させて
迷わず購入。

近所のセブン・イレブンで
受け取ることにしたので
送料もかからず
実にリーズナブルなお値段でした。


収録曲は以下の通り。

1. 2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲 ニ長調 RV 564
2. 3つのヴァイオリンのための協奏曲 ヘ長調 RV 551
3. 2つのチェロのための協奏曲 ト短調 RV 531
4. ヴァイオリンとエコー・ヴァイオリンのための協奏曲 イ長調 RV 552
5. ヴァイオリンと2つのチェロのための協奏曲 ハ長調 RV 561
6. ヴァイオリンとチェロのための協奏曲 「プロメテウス、または世界の転覆」 ヘ長調 RV 544


RV. 552 の
「エコー・ヴァイオリンのための」
というのは
violino per eco in lontano
と記されているものの仮訳です。

lontano は
「遠くの」という意味なので
正確には
「遠くにいる、エコーのためのヴァイオリン」
と訳すべきなんでしょうけど。

ひとつのヴァイオリンが
少し離れた場所から演奏するので
エコー効果が生まれる趣向。


このエコー・ヴァイオリンの曲は
何人で演奏するのか
解釈によって(楽譜によって)
異なるようですが
本盤のライナーには
2人の独奏ヴァイオリン奏者の名前が
あがっていますので
2人で演奏されていると思われます。

ただ、iTunes で楽曲名を取得すると
「4つのヴァイオリンのための」
となっているものがあります。

これはおそらく作品番号から
そのまま自分の知っているタイトルを
登録したからで
ライナーを確認していないからではないか
と思いますけどね。


閑話休題。

肝腎の
2つのチェロのための協奏曲
ト短調 RV.531 は
正確には
「2つのチェロ、弦楽合奏と
 通奏低音のための」
for violoncello, strings and basso continuo
協奏曲というタイトルになります。

全3楽章で
2CELLOS が演奏していたのは
第2楽章のラルゴです。

ラルゴは「ゆるやかに」という意味。

聴いた途端
ああ、これこれ
という感じでしたが
通奏低音がさほど強調されてないので
本盤で聴いても
2CELLOS っぽく聴こえました。

いや、これは
(順序が逆という意味で)
いささか倒錯的な感想ではありますが。f^_^;


第1楽章のアレグロは
荘厳な感じ。
2つのチェロと
弦楽合奏とのやりとりが
ソロ(2つのチェロ)と
トゥッティ(合奏)との掛け合いになる
典型的なコンチェルト。

第2楽章のラルゴでは
弦楽合奏がお休みになるので
2CELLOS 風に聴こえるのは
そのためでもあります。

第3楽章のアレグロは
ソロとトゥッティの掛け合いに戻り
同じアレグロ(速く)の第1楽章よりも
疾走感ある仕上がりになっていて
いかにもヴィヴァルティという感じ。

全3楽章まとめて聴くと
良くも悪くも
バロック音楽だなあという感じ。


ちなみに本曲の通奏低音は
独奏楽器以外のチェロと
(つまりチェロが3台)
テオルボ、オルガンが担当。

テオルボ(キタローネ)は
大型のリュートともいうべき楽器です。

通奏低音はたいてい
チェロないしヴィオラ・ダ・ガンバのような
低音弦楽器とチェンバロとが
担うことが多く
自分が聴いたものは
ほとんどがその組み合わせでした。

これにテオルボのような
撥弦楽器が加わるようになったのは
このアルバムが出た前後からではないか
と思いますが
正確なところは
調べてみないと分かりません。

本盤に収録された曲では
ヘ長調の協奏曲 RV. 551 と
ハ長調の協奏曲 RV. 561 が
オルガンの代りに
チェンバロを使用しています。


なお、上の
ハ長調の協奏曲 RV. 561 は
『四季』のメロディーを
思わせるところもあって
ちょっとびっくり。

流用ではないんでしょうけど
さすがのメロディー・メーカーも
作りすぎてると
疲れてきますよね、と
いいたくなる感じ(苦笑)


ヴィヴァルディは
ピエタ慈善院附属音楽院
(ピエタ女子養育院)で
ヴァイオリンの教授をしており
音楽院の女生徒のために
多くの曲を作曲したのでした。

2つのチェロのための協奏曲の楽譜は
ライナーによれば
1713年から1717年の間に
作曲されたようで
時期的にはやっぱり
ピエタ音楽院の女生徒たちのために
書かれたのだと思われますが
正確なところは知りません。

もしかしたら
チェロのうまい奏者が
いたのかもしれませんね。


ペタしてね