
(朝日新書、2012年10月30日発行)
副題は「孤高のコンサート・ピアニスト」。
グールドはバッハ弾きなだけに
割と関心はありますが
本書の「あとがき」で作者も書いているように
「『グールド本』は
ひとつのジャンルと言ってもいい」くらい
たくさんありまして
たいてい高い(苦笑)
そんなものを全部買っている余裕は
もとよりないのですが
(読んでいる余裕もないw)
本書は新書だったので
書店で見たとき、すぐに買った次第。
グールドのコンサート・ピアニスト時代を
中心に追っていった本ですが
『ゴルトベルク変奏曲』で
華々しいデビューを飾る
1955年あたりまでの前半の記述には
当時の青春スターだった
ジェームズ・ディーンや
エルビス・プレスリーの
サクセス・ストーリーにもふれていて
グールドを、いわゆる
〈怒れる若者たち〉の一人として
見ようとしているのが、興味深かったです。
まあ、世界史年表で英米の歴史と一緒に
アジアの歴史なんかも併記されているのと
よく似ているといえばいえますが(苦笑)
『ゴルトベルク変奏曲』で成功して後の
コンサート・ピアニストとしての活動を
紹介していく記述では
ロシア・ツアーに関するあたりや
有名な、バーンスタインとの
ブラームスの協奏曲の演奏に関するあたりが
やっぱり面白い。
というか、それぐらいしか
エピソードはないのでしょうけど(笑)
ロシアからドイツ(ベルリン)に行く列車で
ストコフスキーと同席して話したとかいうのも
ウソのようなほんとの話で
山田風太郎の明治ものを読んでるみたいでした。
コンサートの軌跡を追っているだけ
という箇所もあり
そこらへんは、やや退屈。
ライブCDでも聴きながら読み進めると
また違うんでしょうけど。
協奏曲を演奏する際の
ピアノとオーケストラの関係を
グールドがどう考えていたか
というのは面白かったので
CDで確認したいような気がされました。
ただ自分、グールドのライブ盤は
ほとんど持ってないのでして(^^ゞ
今後の課題です。
(また出費が……【´・ω・`】)