
(Synapse films SFD-0064、2007)
The Asian Cult Cinema Collection
というシリーズの一枚のようで
オリジナルは、石井輝男(1924-2005)監督の
『江戸川乱歩全集/恐怖奇形人間』(1969)です。
一度、ビデオ・ソフト化されそうになりましたが
(Wikipediaによれば1993年)
なぜか発売中止となり、
当時のファンを怒り嘆かせておりました。
そんなこともあってカルト映画の中では
超有名な一本です。
自分は名画座(確か大井武蔵野館)で
観たことがありましたし、
昔はビデオ・ソフトが高価だったから
出ても買ったかどうか。
1995年になってワイズ出版から
『日本カルト映画全集1/
江戸川乱歩全集/恐怖奇形人間』
というシナリオ本が出ましたけれど
それすら買ってませんからね。
手許にあるDVDソフトも
確か、新宿のディスクユニオンで見つけて
買ったんじゃなかったかしらん。
新宿のタワーレコードとかでも発売されてたし
今でも Amazon などで入手可能ですので
カルト度は下がったかと思いますが
乱歩原作ものということで購入した次第です。
買ってすぐポータブルDVDプレーヤーで観たら
途中から何度も映像が止まったりして
まともに観られなかったので
それ以来、封印していたのですが
昨晩、パソコンで観てみたら
文句なく観られました。
何だったんだ、あの不調は……
このソフトがすごいのは
特典映像がかなり充実していること。
そちらの方は、ほぼストレスなく
観られたので、買った時に観てます。
劇場予告編や
乱歩と石井監督のプロフィールは
まあ、当然としても、その他に
川崎実と塚本晋也へのインタビュー映像や、
イタリアで開かれた映画祭に
石井監督が呼ばれた時の
舞台挨拶映像が収められています。
ちょうど『猫ラーメン大将』(2008)を
観たばかりのときだったので
なんでこんなところに川崎監督が!
と、びっくりした覚えがあります。
あと、向こうの映画評論家による
オーディオ・コメンタリーまで付いてます!
英語だから何を言ってるのか
分からんのですけどね(^^ゞ
乱歩のプロフィール紹介も
もちろん英語ですが、
英語に翻訳された短編集や
『黒蜥蜴』と『闇に蠢く』の合本の
カバー写真が載っていて貴重。
てか、それを見ているだけでも楽しい(藁
向こうの人には黒蜥蜴は
こういうイメージなのか、とね(苦笑)
本編はカルト映画の名に恥じず
万人にお勧めできるものではありません。
メインとなる原作が『孤島の鬼』と
『パノラマ島奇談』ですからね。
初っぱなから、誤解を招き易い
精神病院のシーンがあったり、
創造されたフリークスが集団で登場したり
(どういうモチーフのフリークスなのか
全く意味不明なのは、ご愛嬌。
意味不明だから観ていられるわけで……)
とまあ、放送倫理コードに引っかかる要素満載。
無茶苦茶な映画だと思って観ていると
大木実演じる明智小五郎が最後に
割と整合性のある謎解きをするので
驚かされます。
土方巽はじめ
彼の率いる暗黒舞踏の面々による怪演は
人によっては見所でしょうが
人によっては不快感を与えるでしょうしね。
怪演といえば、
刑事コロンボの声でおなじみの小池朝雄が、
もう、怪演としかいいようのない怪演を
見せてくれています( ̄▽ ̄)
笑えるシーンもあると
川崎監督なんかは言ってますが
それは、ほんとのほんとのカルト好き、
この手の映画を観慣れているからでしてね。
スプラッタ映画を笑って観るのと
同じ感覚かもしれません。
だからディスクユニオンに売った人は
ほんとのほんとのカルト好きでは
なかったんでしょう。ご愁傷さま(-人-)
あ、役者の台詞はもちろん日本語ですが
英語字幕が付いてます。
どう訳しているのかをチェックするのは
面白いのですが
字幕スーパーを消せないのが
ちょっと不満だなあ。