$圏外の日乘-『金魚草の池』
(エンターブレイン BEAM COMIX、2012.5.7)

今までタイミングが合わず
紹介できませんでしたが、
須藤真澄のまんがは
第2作品集の『観光王国』(1989)以来
飼い猫ゆず絡みの作品を除き
ずーっと追いかけてます。

第1作品集の『電気ブラン』(1985)も
東京三世社版を古本で探して購いました。
(「電気」の「気」は正しくは正字ですが
 文字化けすると困りますので
 新字にしときました)

こちらもつい先日、近所の本屋で見かけて
出ているのを知りました。


『庭先案内』(2004-2010、全6巻)という
オムニバスまんがの続きである
「庭先塩梅(にわさき あんばい)」シリーズの
2冊目に当たるそうですが、
そしたらなんか
1冊目の『水蜻蛉の庭』(2011)が
第15回文化庁メディア芸術祭〈マンガ部門〉の
審査委員会推薦作品になってたようです。

文化庁のお墨付きが、いいか悪いか
分かりませんがね(苦笑)


Wikipedia にも解説されているように
一点鎖線の描線が特徴的で、
内容はいわゆるファンタジーですが、
時として、ちょっと斜に構えた
少女キャラが出てくるのも
ひとつの味になってるか、と。

『金魚草の池』収録作品でいえば
「この冬、こぞりて」の姉とかね。


「ずっとずっと、好き」は
最近流行りの年齢差カップル・ネタで、
「球形の眠り」と
「東の島より 西の島へ」は
須藤真澄なりの3・11ネタです。

3・11ネタの話は、ユーモアを交えつつ
どちらも切ない。

特に「球形の眠り」は絶品かも。


「夜ふかし姫君」「発酵の人」「幻燈機9」は
『庭先案内』から引き続いての
同じキャラが登場するシリーズもの。

「発酵の人」に出てくる
人形師(とその相棒?)のキャラは
いまだに肌に合わないのですが(^^;ゞ


新刊を見かけたら
ついつい買っちゃいますが、
『振袖いちま』(1993-94、2002、2010)と
『ナナカド町綺譚』(1994)
『アクアリウム』(同)を超える作品には
いまだ出会えていないような
気がしておる次第です。

「球形の眠り」は
単体としてすごいにしても、
『金魚草の池』全体としては
玉石混淆の感がなきにしもあらず、なので。

『庭先案内』のあたりから
ずっとそうなんだよねー。

そろそろ、長編か連作長編の傑作に
出会いたいものです。