
(ハピネット・ピクチャーズ BIBF-6130、2006.1.27)
パラマウントの
『オリエント急行殺人事件』を紹介するなら、
ぜひ、こっちも紹介せねば~(藁
というわけで、よう分からんけど
あちらのテレビ版?『オリエント急行殺人事件』です。
日本での発売年月日のデータは
例によってAmazonからのものです。
あちらでの制作年は2001年。
監督はカール・シュンケル。
知らん人です(^^;ゞ
こんな作品があると知ったのは
確か、雑誌『ミステリマガジン』(早川書房)で
紹介されてたからだと思いますが、
その紹介記事を読んだとたんに
珍品だと思って注文しました(藁
冒頭、イスタンブールでの事件の
謎解き場面から始まるのですが、
なんとびっくり、その事件に関係してた
美貌の宝石泥棒とポアロとは旧知の仲で
解決後にポアロは女泥棒から求婚されるんです!
その求婚を蹴ってイギリスに帰るポアロは、
級友のブークの勧めで、飛行機をやめて
オリエント急行で帰ることにします。
つまりこれは、現代を舞台とした
オリエント急行殺人事件なわけで、
だから、車内で衛星を介して
インターネットにアクセスできたりしちゃう。
ポアロはパソコン嫌いですが、
乗客にたまたまPCを持っているのがいて、
それを借りて事件の情報を得たりする。
そこらへんはすごく新しいんだけど、
PC使えばどんな情報でも手に入る世の中、
犯人側の情報、というか、
犯行動機となる某事件の情報も
それに関わった人間の情報も筒抜けな訳です。
そこらへんが、いかにも間抜け。
ネット時代にこんな犯行計画、
成功するはずないじゃん、と思っちゃう(藁
というか、この犯行を計画した時点で
某事件の被害者の誕生日パーティのデータを
消しとくべきだろうと。
そりゃ、ポアロが乗ってくるとは思わないし、
過去の某事件に思い至らせる手がかりはない
と思ってたんでしょうけど、
(ベオグラード警察が気づくはずがないだろうとね)
それにしても詰めが甘い(苦笑)
現代風にしたつもりなんでしょうけど、
崖崩れかなんかで(そう! 雪じゃないんです!)
列車が止まった時に、
ネット回線も通じないような田舎にすれば
よかったんでは、と観てて思わずにはいられない。
でもPCは衛星回線でつながる
という設定ですからね(藁
クローズド度が弱いというか。
ただ、ネットもつながらないという風に
情報を制限すると、オリジナルと、
特にパラマウントとの差違を出しにくい
と、制作者が考えたのかどうか。
被害者の刺し傷なんて9つですからね。
原作のキモであった12の刺し傷の意味が
なし崩しになってしまう。
現代風にしようと
がんばってると思うんですけど
パラマウントの映画版を知っていると
やっぱり笑っちゃいます。
いってみれば、ポイントがズレているわけです。
風俗やなんかを現代風にすればいいだけではなく、
当時のシチュエーションを
現代風にする必要があるはずで、
雪に閉ざされた状況下ということの意味を
制作者側が分かってないという感じがします。
何より、なぜポアロと
女盗賊とのロマンスを絡めたのか、
まったく分からない。
これが今風?(藁
アルフレッド・モリナ演じるポアロ、
メグレ警視みたいな感じもするけど(藁
なかなかいいんすけどね~
(大柄なところが今イチですが)
ある関係者の名前をめぐる伏線もそこそこいい。
現代風の豪華列車の描写も
鉄道マニアの琴線に響くものがあるかも。
でもなあ(苦笑)
ちなみに日本語吹き替え版でも
観ることができます。
ポアロを演じるのは銀河万丈です。
珍品好きにはおススメの一本ですな。