節操もない暑さにうんざりしていた大気ではあったが、十五夜過ぎれば、きちんと秋の気配を漂わせ始めた今週。

3年ぶりです、施設を訪ねたのは。

おふくろは息子と認識はしています。が、全く話がかみ合わないず、それでも満面の笑みで、

「ほらほらお父さん!息子よ、ほら息子!」

「そうか。息子か。」と、じっと私を見つめるおやじは、一言「わからん。。」

それでも黙って私を見続けるおやじ。

無表情ですが、なんだろう、何故か心地よく感じる、その目。

10代から40代まで私に向けるおやじの眼は、心配、不安、怒り、諦め、と負の感情を溜めていた印象があります。

ですが、今回、息子とは分からずにでも、こちらが照れくさいほど見つめる目は、安心している?、ような、そんな気が・・・。

最後まで、訳もなく笑顔を絶やさないおふくろと、これまた最後まで、訳が分からずにでも、私の動きを目で追い続ける無表情のおやじを後にする。

施設を出て、状況を報告した姉から、先日電話が。

私が訪問した次の日に、施設から連絡があったと、ただならぬ気配の声で。

(何!?何かあった?)

姉は怒りの声で、施設の経営が厳しいようで、近々に退所をお願いされた、と。

何てこった!!