久米明が老婆を読む、“ノロエステ鉄道”録音終了!
「ノロエステ鉄道」(1985)は、 大城立裕氏自身が実際にブラジルへ赴き、移民として沖縄から笠戸丸に乗ってブラジルへ渡った大城ウシさんを取材し、その半生を、
全篇老婆自身のひとり語り
という形式で描いた作品です。
“おきなわおーでぃおぶっく”の立ち上げに際し、大城先生から、これがいいのではないかと、まっさきに提案された小説でもあります。それほど大城立裕氏にとって、思い入れの深い作品なのです。
それならばと、当初から「ノロエステ鉄道」をCD化することは決めていたのですが、いったいどのような方にどのように読んでいただくか、ずっと定まらず思案してきました。
当然、読み手は女性を考えていたのですが、どなたに読んでもらっても、生々しいひとりの女性をどうしても聞き手にイメージさせてしまうのです。いくら淡々と読んでいただいても、やはり変わりませんでした。
実は、久米明氏にはじめてお会いしたとき、お読み頂く作品は、全く別のものを考えていました。ところが久米さんとお話ししながら、フッと閃いたのです。
もし久米明さんが「ノロエステ鉄道」を読んだらどうなるんだろう。
きっと、これはいけるに違いない!
そしてその場で久米さんにお願いをしたのです。
その後、久米さんから、「素晴らしい小説です。だが、朗読するのは大変難しい…」といった内容のFAXをいただいたり、大城立裕先生の「男性には難しいかもしれないなあ」という呟きを聞いたりしたのですが、そうした困難を乗り越えて、ついに本日…
録音が終了しました。
(録音を終えて、おきなわおーでぃおぶっくスタッフの宇夫方路と…)
結果は、久米明氏に読んでいただいて大正解でした。
これ以上ないくらい情感豊かに読まれているのだが、具体的な生々しい女性のイメージはない、聞き手に想像する余地を十分に残しながらも、極めて豊かに彩られた朗読。
日本の朗読の第一人者が、齢84にしてたどり着いた世界を、どうか堪能してください。
録音を終えての久米明さんのお言葉をご紹介します。
「いやあ難しかった。でも、本当にすばらし小説だ。最後は涙が出てきてしまってねえ。勉強になりました。移民のこともよくわかったし。大城先生にも、全て疑問点を全て細かく解決してくださって、ほんとうに有難かった。いい経験しました。
記念になった。ありがとう」
このお歳になってこのお言葉、心からの敬愛の念を禁じえません。こちらこそ、ほんとうにありがとうございました。
そして、久しぶりに「ノロエステ鉄道」を読み返してみたという大城先生からメールが届きました。
その一部も、ここで是非御紹介させていただきたいと思います。
「小説の最後にある、『思い直しました。まいります。サンパウロへ』というところ、ウシおばあさんの顔を思い出して、この言葉はフィクションだけれども、真実だと思い、涙が出ました。作者のくせに、お恥ずかしいことです。久米さんの名調子にのって、多くのリスナーを泣かせると思います。たくさん売れるとよいですね」
そして急遽、大城立裕先生のコメントを、ボーナストラックとして加えることも決定いたしました。
おきなわおーでぃおぶっくスタッフ一同、素晴らしい方々に支えられて仕事ができていることを、心から感謝し、みなさんの期待を裏切らぬように、改めて気を引き締めて、これからも努力して参ります。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
⇒おきなわおーでぃおぶっくOfficial Site 「ノロエステ鉄道」のページへ
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