星の時間 -Stella tempus-
 さて昨日の続きを。
しかしこんなことは、人から見たらどうでもよいことなのだろう。
往々にして人の悩みなどというものは、そういうものなのだ。

 昨日のブログで書いた、
あれほどタイトルに
「モロッコ&占いを並列して使ってくれるな、
なぜなら現地にそんなものは存在していないからだ。
ウソは困るよ」との約束をあっさりと破られ、

 表紙に扇情的なモロッコ「月占い」とブチ上げられた事件のことである。

 5時に寝たのだが8時に品川の電話で起こされる。
「ヒドイ!岡本さん。これは絶対にないですよ。
あれほどモロッコ月占いとはしないと約束したはずなのに。
そんなの内容とまったく違うじゃないですか。
でもK氏が故意にやったとは思えませんね。
ちゃんと納得してタイトルを考えていましたよ。奴は」
と品川は怒ってくれた。
「あ、献本が遅れているのは私のせいですから」との報告に、
「ひとつ妄想がなくなってほっとしたわ(笑)。
表紙を見せないためにわざと…。まさかそれはありえないよね」
「不愉快な思いをさせてスミマセン」と品川のせいでもないのに、
品川は謝ってもくれた。
なんだか段々、もうどうでもよくなってきた。
いつものパターンである。

 気を取り直して、寝不足のまま『MOONBOOK2011』の原稿を書いていたら、
担当編集者K氏から電話がある。
開口一番、「あはははは」と大笑いをしてしまった。
K氏、気の毒なくらい消え入りそうな声で、
「お休みの日に申し訳ありません。
表紙のチェックを怠ったのは自分の責任です」と仰る。
「実は僕も知りませんでした。でもそれもこれも、
自分の責任です。すみません」である。
もうひたすら平身低頭だ。
私も、あんなに「それはしない」と約束してくれた彼が、
手のひらを返してあのタイトルをつけていたら、
もう人間不信に陥る。
それこそポール・ボウルズの『孤独の洗礼』を小脇に抱え、
砂漠にでも行って消えてしまいたいくらい(笑)。

 ありがちな展開だ。
編集長の判断らしい。
その頃から私の頭の中では、
あるフレーズが鳴り響いていた。

Resentment can spoil the fun
「憤りは楽しみを台なしにする」

 これは私がMOONBOOKのために作った、
英語のフォーチュンクッキーである。
一時、英語のおみくじ作りにハマっていて、
何百という各星座の月の日にピッタリのフレーズを作っていた。
これは、怒りに支配されやすい牡羊座の月の日用の言葉である。

 とにかくいつまでもこの問題に引っかかっていたのでは、
原稿も書けないし、先にも進めない。
K氏はなおも消え入りそうな声で、
「でも読者からはさっそく反応がいくつもありました」
そう、読者にはまったく関係のない話なのだ。
ますますどうでもよくなってきた。
それよりも、今日の月はどこにあるのか、
早くチェックしたい。
いやもう確信的に、牡羊座にある!という気がしてきた。
「Kさん。おいしいご飯かなぁ。埋め合わせは」
と言って電話を切った。

 当たり!月は7月31日~8月2日夜にかけて牡羊座を運行中だった(笑)。

 8月上旬は、占星術的に見て、
カーディナル・コンプレックス(活動宮に惑星が集合)が起こる。
それは私の天秤座の0度にある金星を刺激する。
山羊座の冥王星、牡羊座の木星、天王星、天秤座の土星&火星
それがこういう形で表出したのかも。

 私の美意識VS売れれば何でもいいじゃん的な発想の戦いか!?
さっそく『MOONBOOK2010』をチェックしてみると、
やっぱり!昨日から月は牡羊座を運行していた。
自分が書いたものに、自分で納得したり、
癒されてみたり…。

 月が牡羊座にある日のフォーチュンクッキーは他にもある。

Forgive and forget
「許し、そして忘れろ」

メッセージ
これは争いを起こさないための基本姿勢かも。
他人に厳し過ぎる態度は、自分に跳ね返ってきます。

 と自分で書いている。

 ますます面白くなってきた。
昨日眠る前に読んでいた漫画版『鬼平犯科帳』のテーマも、
たまたまそんなお話だったのである。
人はいかにいろんなことを許せるか。
月の動きと共に翻弄される私。

 今日はこれからドイツ在住の友人とそのBFを連れて、
スタジオメディナ(山中湖にある別荘です)に行ってきます。
富士山と月でも眺め、ちょっと休養。
東京に戻るのは5日の予定。
その頃にはいつものように「何のことだっけ?」
という具合にけろりと忘れているような気もする。



写真は、新月の夜、サハラ砂漠のホテルにて。
夜空にのぼる金星。